加古川市公設地方卸売市場整備方針調査業務報告書 平成 28 年3月 株式会社 都市・計画・設計研究所 1.はじめに 1-1.調査業務の目的 本市場は、少子高齢化・人口減少等による社会構造の変化、食料消費・小売形態の変化や消費者ニー ズの多様化などにより、全国の卸売市場と同様に取扱量の減少が続いている。 また、市場開設後約 40 年を経過し施設の老朽化が進むほか、場内事業者の廃業や店舗等の返還により 未利用部分も発生している。 このような課題がある中でも、本市場は、市民に生鮮食料品等を安定供給するだけでなく、生産者に 販路を確保する機能も担っており、今後の市場の方向性を検討する基礎資料とするため、食品の安全・ 安心の確保や効率的な市場経営を目指した施設機能、将来需要を見据えた最適な規模、整備手法ごとの 事業費やスケジュール等の比較を加えた調査を行う。 1-2.市場の概況 本市場は、昭和 48 年に加古川市により現在の場所(野口町長砂 707、43,630 ㎡)に開設され、平成 28 年 3 月 1 日現在で市場入場者は、卸売業者 3(青果部:1、水産部:2) 、仲卸業者 5(青果部のみ) 、関連事 業者 12、生産者 2 となっている。 【市場入場者】 ■卸売業者 青果部 : 1 水産部 : 2 ■仲卸業者 青果部 : 5 ■関連事業者 :12 ■その他 生産者 : 2 1 2.現況把握及び将来予測 2-1.本市場を取り巻く外部環境の分析・評価 (1)人口・世帯の動向 図-年齢3区分別人口の推移 加古川市の人口は、平成 27(2015)年 10 月の国勢調査では 267,434 人になってい るが、国立社会保障・人口問題研究所が平 成 25(2013)年3月に公表した推計では平 成 42(2030)年に 243,508 人になると見込 まれている。今後、高齢人口の伸びは鈍化 するものの、平成 42(2030)年には高齢化 率が 29.3%となる。 実績 値 (千 人 ) 300 250 推計 値 261 266 185 186 267 267 264 259 252 240 227 200 168 152 179 172 244 162 155 151 145 66 71 71 71 150 100 57 直近 10 年間で人口に概ね変化は無いも 50 のの、平成 24 年以降減少傾向に転じてい 0 49 45 18 22 S60 る。一方、世帯数は増加傾向が続いており、 30 H2 H7 総人 口 1世帯当たりの人員数は減少傾向が続い 55 45 36 43 41 H12 H17 39 36 33 30 27 H22 H27 H32 H37 H42 15歳未 満 15∼64歳 65歳以 上 ていると言える。 表-加古川市における世帯数の推移 年度 世帯数 S48 H17 H18 H19 H20 H21 42,910 94,605 95,952 97,390 98,963 H22 100,313 H23 99,645 H24 101,360 H25 102,138 H26 102,989 103,733 図-国民1人1年当たりの品目別消費量の推移 (2)食料消費の動向 国民1人 1 年当たり品目別消費量は、昭 和 40 年から昭和 60 年頃まで野菜、果実、 魚介類ともに増加傾向にあったが、直近 (kg/年) 野菜 120 110.7 106.2 94.8 10 年間は、いずれもやや減少傾向にある。 また、本市場開設時期である昭和 50 年頃 魚介 類 111.7 108.1 100 果実 93.5 93.3 94.3 90.9 90.5 80 92.7 88.1 91.7 と比べると、いずれも8割前後まで減少し ている。 60 国民1世帯当たり年間家計消費支出額 (総世帯平均)の推移を見ると、消費支出 42.5 40 全体は、この 10 年間で 5.6%減少してい る。品目別に見ると生鮮魚介類は、19.4% 28.5 38.2 34.9 35.3 28.1 20 42.2 39.9 41.1 40.0 38.8 36.6 37.1 38.3 36.8 34.9 39.3 32.8 31.9 31.4 30.0 29.4 H19 H21 28.5 28.9 27.4 と減少率が大きく、果実も 3.7%の減少と なっている。一方で、生鮮野菜は、5.9% 0 S40 増加している。 2 S60 H23 H25 27.3 2-2.本市場内部環境の分析・評価 (1)本市場取扱量の推移 昭和 60 年以降の青果・水産物の取扱高の推移を見ると、いずれも平成3年をピークにその後減少傾 向が続いている。青果部門の取扱高合計は、平成3年時点の約 54 億円から平成 25 年時点の約 15 億円 まで減少しており、ピーク時の約 27%となっている。また、水産部門の取扱高合計は、平成3年時点 の約 49 億円から平成 25 年時点の約 18 億円まで減少しており、ピーク時の約 37%となっている。 図-青果部・水産部年間取扱高の推移 (千万円) 600 500 539 477 430 400 300 485 364 179 200 100 青果部計 146 水産部計 0 S60 H1 H5 H9 H13 H17 H21 H25 (2)本市場の流通実態 ■ 青果部 ■ 水産部 卸売業者の販売方法は、相対取引が9割以上を 占め、せり売りは1割未満となっている。 卸売業者は取扱高の 66.8%を他市場から仕入 れている。 卸売業者は場外事業者へ取扱高の約4分の1を 水産部には仲卸業者がおらず、卸売業者自らが 販売する一方、仲卸業者は取扱高の約5割弱を場外 スーパーや小売業者等へ販売している。内訳は、 業者(他市場等)から仕入れている。卸売業者の取扱 スーパーが 66%、小売業者等が 34%となってい 高を 100 とすると、 仲卸業者の取扱高は 141 となる。 る。 3 (3)アンケート調査の結果(事業者の意向) ・近年の経営状況は良くなく、今後の事業継続について不透明な事業者が半数程度である。 ・コールドチェーンは、事業者ごとの対応となる。 ・施設の広さについては、検討する必要がある。 (4)決算から見た卸及び仲卸業者の状況 ・自己資本比率がマイナスの事業者は4社、30%を超え財務的に安定している事業者は2社。 ・最近2期に関し、売上の微増、経費削減による経営改善は見られる。 ・キャッシュフローの最近3期の平均で施設整備に対しある程度の投資体力を持つ企業は1社。 (5)事業者ヒアリング調査の結果 ・各施設が分散しており、効率の悪い施設配置となっている。 ・各社とも最優先課題として経営体質の改善が急務のため、大きな投資は控えたいとの意向が強い。 ・各施設の老朽化、雨漏り、舗装の劣化・破損への対応など、日常的な施設の維持管理の範囲を超 える対応が必要となっている。 (6)施設の耐震性、老朽度の現況 ■ せり場棟 ■ 小型店舗棟 ・耐震診断の結果、十分な耐震性を有していない ・新耐震基準より前に建築されており、将来の安 ことを確認した。 全を担保できる構造と思われない。 ・せり場棟を活用するには耐震性を強化する必要があ ■ 大型店舗棟 うる。その方策として、ブレースなどにより補強す ・新耐震基準より前に建築されており、十分な耐 る方法が考えられる。 震性を確保できていないと思われる。 ・外壁の下地等の2次部材は錆が生じているので 補修する必要がある。 ■ 仲卸棟 ・現行の耐震基準に適合しており、荷重の増加が ・1階の床はひび割れ、部分的なたわみが見られ、 無ければ問題無いと思われる。 使用上問題が生じる場合はスラブの打ち替え が必要となる。 図-せり場棟 2 階:鉛直ブレースによる補強の詳細 図-せり場棟1階: 方杖による補強の詳細 4 3.整備の方向性検討に向けた整理 3-1.条件整理 (1)都市計画条件 本市場は、敷地全てが準工業地域(建ぺい 率 60%、容積率 200%)に指定されている。 また、当敷地全てが特別用途地区(大規模集 客施設規制地区)にも指定されている。大規 模集客施設規制地区内においては、法別表第 法別表第 2(わ)項に掲げる建築物 劇場、映画館、演芸場若しくは観覧場又は店舗、飲食 店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場 その他これらに類する用途で、政令で定めるものに供する建 築物でその用途に供する部分(劇場、映画館、演芸場又は 2(わ)項に掲げる建築物は、建築してはならな 観覧場の用途に供する部分にあっては、客席の部分に限 い。なお、当敷地に隣接する用途地域は第一 る。)の床面積の合計が 1 万㎡を超えるもの 種中高層住居専用地域となっている。 (2)道路現況 本市場の敷地は、都市計画道路 尾上小野 線、野口線他2つの道路に面しており、周囲 を道路に囲われている。しかし、都市計画道 路 尾上小野線以外は敷地との高低差や水路 が間にあり、出入りできないほか、開発時に 最低限必要となる道路幅員(6m)を満たして いない。なお、都市計画道路 尾上小野線と は約 26m の幅で接道している。 3-2.事業コンセプト 現在、卸売市場を取り巻く環境は非常に厳 しく、本市場においても取扱数量・金額の減少や施設・設備の老朽化等、経営面・施設面双方で大き な課題がある。 しかしながら、流通構造が変化する現代社会において、地方卸売市場は地域住民の食や地域の外食 産業、給食産業などを支える礎となっており、生鮮食料品等の流通拠点として安全・安心な生鮮食料 品等を安定的に供給し続けることが社会的使命となっている。 そのため、将来にわたって本市及び周辺市町の食に貢献し続ける生鮮食料品等の流通拠点としての 役割を維持していくことを前提に、施設整備のコンセプトを以下のとおり設定する。 【コンセプト】 地域の食の礎となる生鮮食料品等の流通拠点の維持 5 3-3.最適規模 施設の再整備について検討するにあたり、概ね 10 年後を目処とした、取扱数量の推計から必要な施 設規模についての将来予測を行う。施設規模の将来予測の検討フローは以下のとおりである。 (1)人口推計・将来動向に基づく将来予測 ・人口推計・将来動向に基づく将来予測の結果、目標年度において必要となる施設規模の合計は 7,314 ㎡ (2)取扱量の推移に基づく将来予測 ・取扱量の推移に基づく将来予測の結果、目標年度において必要となる施設規模の合計は 7,011 ㎡ (3)事業者の意向調査に基づく将来予測 ・ヒアリング、経営状況等の結果を踏まえた将来の施設規模を予測した結果は 7,925 ㎡ 6 (1)から(3)の結果から、将来(概ね 10 年後)に必要な施設 規模は、7,000 ㎡∼8,000 ㎡であると予測される。 将来予測の結果と現状の施設規模を踏まえて、本検討において は、再整備の施設規模を次のように設定する。 業種別の施設規模(延べ床面積) 卸・仲卸 6,000 ㎡ 関連事業者 1,800 ㎡ 管理事務所 200 ㎡ 3-4.施設配置 ■ 施設配置の考え方 各事業者が効率的な営業ができるような施設配置とするため、可能な限り物流の動線が長くならな いように配慮し、卸業者に搬送された商品が、せり場や荷置き場を経て、仲卸業者、そして小売業者 の元に届くような動線計画とする。 また、加工場や冷蔵庫・冷凍庫についても、卸・仲卸業者の近くに配置できるような計画とする。 図-施設配置のイメージ 搬入場所 青果卸 水産卸 青果仲卸 関連事業者 冷蔵庫・冷凍庫スペース 3-5.整備手法の比較 ①敷地内で全て再整備する場合、②既存のせり場棟を改修して活用する場合、③新敷地へ全部移転 する場合の3つのパターンを比較すると下表のようになる。 ①敷地内で全て再整備する場合、②既存のせり場棟を改修して活用する場合の整備イメージについ ては、営業を継続しながら整備を行う必要があるため、段階的な整備を行うこととする。 なお、各事業者が所有する冷蔵庫などの施設の解体除却費や新設整備費は、各業者が負担するもの と考える。 7 整備手法の比較 とりまとめ パターン1 パターン2 パターン3 敷地内再整備 せり場棟改修 新敷地への全面移転 約 35.8 億円 約 21.2 億円 【内訳】 【内訳】 ・用地購入費 0 【内訳】 円 ・用地購入費 事業費 ・施設整備費 (市負担) ・解体撤去費 20.38 億円 ・敷地整備費 事業 期間 円 ・用地購入費 18.60 億円 ・施設整備費 6.43 億円 ・施設整備費 20.38 億円 8.98 億円 ・解体撤去費 4.76 億円 ・解体撤去費 8.44 億円 6.04 億円 ・敷地整備費 6.70 億円 ・敷地整備費 9.04 億円 ・用地売却益 −6.50 億円 ・用地売却益 ・事務費等 ・事務費等 6.90 億円 約7年間 70 年※ 使用 可能 年数 約 44.2 億円 0 0 円 3.31 億円 約 3 年間 十数年程度 ・用地売却益 −21.00 億円 ・事務費等 8.74 億円 約 2 年間 70 年※ 基本的に既存施設の全てが更 既存せり場棟は築後40 年を経過 基本的に既存施設の全てが更 新されるため、各施設は長期的 しており、他の 2 パターンに比べ長 新されるため、各施設は長期的 な使用に耐え得る。 期的な使用は難しい。 ※適切な維持管理を実施した な使用に耐え得る。 ※適切な維持管理を実施した 場合の年数 場合の年数 残地 残地は接道しているため売却可能 残地は非接道のため売却不可 活用の 公的な活用に限定 可能性 敷地全てを売却可能 パターン2に比べ、使用料の値 総事業費が最も少なく、使用料 総事業費が最も多く、使用料の 上げへの影響は大きい。 事業者 の値上げへの影響が最も小さい。 値上げへの影響が最も大きい。 各事業者は既存の冷蔵庫棟を 各事業者は既存の冷蔵庫棟を 各事業者は冷蔵庫棟を新設す 継続利用できる。 継続利用できる。 るための負担が発生する。 の負担 他の 2 パターンに比べて移転費用 が大きい。 新しい場所のため従業員に負担 が発生する。(通勤など) 8 9 3-6.事業実施手法の検討 本事業における事業実施手法別のメリット・デメリットを整理すると下表のようになる。 事業実施手法別のメリット・デメリット 発注 方式 従来方式 (個別発注方式) DB(デザインビルド)方式 DBO方式 PFI方式 ・基本設計、実施設計、施工、 ・設計と施工を一括して発注する ・民間事業者が調達する資金で 維持管理をそれぞれ個別に発 方式 設計、施工を行い、その後の維 注する方式 持管理、運営も併せて発注する 概 要 ・基本設計を包括するか選択可 能。 方式。 ・設計、施工に加え、施設の維持 ・BTO方式は施設完成後に、 管理も包括する方式(DBO BOT方式は事業期間終了後 方式) に施設の所有権を市に移管する ・段階ごとに仕様を確認して発注 ・設計能力のある大手ゼネコンの ・ノウハウの高い大手ゼネコンの受 するため、求める性能を確保し やすい。 メリット ・維持管理、運営が別途発注の ため、環境変化に対する長期リ スクに対応しやすい。 ・1 つの工事額が低いため、地元 業者が参加しやすい。 受注となるため信頼性が高い。 注となるため信頼性が高い。 ・基本設計を包括した場合、求め ・民間事業者のノウハウにより効 る性能を確保するための工夫が 必要となる。 ・維持管理、運営が別途発注の 率的な運営が期待できる。 ・BOTの場合、固定資産税収 入が見込める。 ため、環境変化に対する長期リ *実例では建設費の縮減効果を スクに対応しやすい。 狙った BOT が多い。 ・各業務が分割して発注されるた ・大手ゼネコンしか対応できないた ・大手ゼネコンを中心としたグルー め、一体的なコスト縮減効果へ の期待が低い。 ・各業務で完結するため、工期が 長期化する。 め、地元業者の参入が困難。 ・基本設計を分割した場合、コス る。 金を活用するため、建設及び維 ための工夫が必要。 のための方策を別途検討する必 デメリット の参入が困難。 ト縮減 効 果への 期 待が 低くな ・起債よりも金利の高い民間資 ・維持管理を考慮した設計をする ・維持管理を考慮した設計をする ための工夫が必要。コスト縮減 プの対応となるため、地元業者 持管理のコスト縮減効果が相 殺される可能性がある。 ・施設の仕様が全て事業者に委 要がある。 ねられるため、求める性能を確 保するための工夫が必要となる。 長期契約のため、環境変化に 対するリスクがある。 ・事業開始前にPFI可能性 調査が義務付けられているた め、庁内体制と調査費が余分に かかること及び、建設時期が1 年程度遅れる。 10 3-7.管理運営体制の比較 管理運営体制別の特徴と期待される点を整理すると下表のようになる。 管理運営体制別の特徴と期待される点 公設民営化 (指定管理者) 公設民営化 (PFI)※1 公有民営化※2 第3セクター より質の高い公共サー 公共施設等の建設、維 公設公営の卸売市場に 公的な目的を有し、運営 ビスを効果的に提供 持管理、運営等を、民 つ い て、開 設自 治体 が に民間のノウハウの活用が 概要 することを目的に、民 間の資金、経営能力、 土地・施設を所有したま 有効な事業を、国や地方 間 の 能 力 を 導 入 す 技術的能力を活用して ま民間業者に施設を使 公共団体と民間が出資し る。 行う。 用してもらう。 て設立する法人が実施す る。 開設者/ 管理運営 地方公共団体/ 民間企業 地方公共団体/ 民間企業 (指定管理者) 運営会社と の資本関係 民間企業 資本関係なし 資本関係あり 事業契約による 団体の監督 遣によりコントロール 行政指導(間接的) ・業者の事務負担が軽減。 体制の変更 により期待 される点 事例 (行政主導の経営体) 株主として、または役員派 地方公共 管理運営 第3セクター会社 ・公設市場に準ずる公共 ・取引規制の緩和など、経営の自由度が高まり、新たな事業展開も可能。 性を確保しながら、商法 ・民間の管理運営により、施設の有効利用、市場全体の魅力向上に期 法人としての意思決定と 待。 企業会計に基づく財務 ・専任の市職員は不 ・経営戦略を踏まえた施 ・資産を保有せずに事業 の独立性を保持。 要。 設整備提案を受け付 を行える点は事業者の ・単純な業務委託より けるため、より効果的な 負担軽減になる。但し、 は自由度があるが、 戦略展開が期待でき 施設の補修や更新には 制限は大きい。 る。 注意が必要。 釧路、鳥取、稚内、 藤沢 龍ヶ崎、高崎 (一部導入:神戸中央) 伊勢崎 (一部導入:尾張東、神 戸中央) ※1 民間の資金力と経営力を活用する手法。計画・整備段階から民間が関与することで、より効果的な整備と活用が可能 になる。 ※2 開設自治体が土地施設を保有したまま、施設を卸売業者に賃借して民営化する方式 11 3-8.とりまとめ これまでの検討結果のとりまとめとして、整備バターンごとの特性を次のように整理した。 ① 整備パターン1:敷地内で全て再整備する場合 最適な 事業実施手法 従来方式(個別発注方式) ・段階的な整備となるため、単年度の事業費が少ない。 主なメリット ・既存の冷蔵庫などをしばらくは活用できる。 ・再整備後の残地を活用できる。 主なデメリット ・残地は使い勝手の良い敷地ではない。 ・段階的な整備であり、既存の冷蔵庫なども活用できることから、長期的な視点で考えれば、施 総評 設整備を行う市にとっても、事業者にとっても負担が少ない案と考えられる。 ・現在の事業者を基本として卸売市場を長期的に維持していくのであれば、この案が最も良いと 考えられる。 ② 整備パターン2:既存のせり場棟を修復して活用する場合 最適な 事業実施手法 主なメリット 従来方式(個別発注方式) ・総事業費が最も少ない。=各事業者の使用料等の負担増加が最も少ない。 ・既存の冷蔵庫などをしばらくは活用できる。 ・現在のせり場棟は、耐震補強したとしても長期的な使用は難しいと考えられ、いずれ再整備 主なデメリット が必要となる。 ・再整備後の残地を活用できない。 ・現せり場棟を長期的に使用し続けることは難しいが、事業期間、事業費の面から見ると、この 総評 案が最も良いと考えられる。 ・ヒアリングの結果を踏まえると、事業者が望む再整備の形に近いと考えられる。 ③ 整備パターン3:新敷地へ全部移転する場合 最適な 事業実施手法 主なメリット 主なデメリット DB 方式または PFI 方式 ・現在の敷地全てを跡地として活用できる。 ・近年の流通ニーズに対応した長期的に使用可能な施設を整備できる。 ・総事業費が最も高い。また、事業者にとって負担が最も大きく、現在の事業者の多くが事業を 継続できなくなる可能性がある。 ・事業者にとって負担が最も大きいが、再整備を機に新たな事業者を募集するなど環境の一新 総評 を図るのであれば、この案が最も良いと考えられる。 ・再整備とあわせ、公設民営方式の導入などの可能性も考えられる。 12 13
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