平成 28 年度農作物病害虫発生予察技術資料第９号 平成 28 年(2016 年)８月 12 日 山 口 県 病 害 虫 防 除 所 ダイズのハスモンヨトウ及び吸実性カメムシ類の発生と防除対策 ダイズのハスモンヨトウ及び吸実性カメムシ類の発生が平年に比べやや多く、今後も発 生の増加が予想されるため、以下のとおり防除対策の徹底をお願いします。 Ⅰ ハスモンヨトウ １ 発生状況 （１）８月上旬の巡回調査では、ダイズでの発生ほ場率 47.6％（平年 16.7％）、１ａ当 たり白変か所数は 0.4 か所(平年 0.2 か所)で平年に比べやや多かった。主な齢期は 若齢～中齢であった。 （２）山口市大内のフェロモントラップにおける７月 11 日～８月 10 日の誘殺数は、 2,695 頭(平年 1,450 頭)で平年に比べ多く、７月下旬及び８月上旬に誘殺ピークが 認められた(図１)。 ２ 今後の予想 （１）対象地域 （２）発 生 量 （３）予想内容 県内全域 多 気象予報では、今後 1 か月の気温は高いと予想されていることから、 本虫の発生増加により被害の発生が懸念される。 ３ 防除対策 （１）防除時期 ８月中旬及び８月下旬～９月上旬（若齢幼虫最盛期）（図２） （２）防除の目安 白変か所数が１ａ当たり５か所以上 ４ 防除上注意すべき事項 （１）発生量は地域やほ場によりばらつきがあることから、ほ場をよく観察し、若齢幼 虫期に薬剤防除を実施する。 （２）薬剤抵抗を発達させないため、同一系統の薬剤の連用を避け、ローテーション散 布を行う。 ハスモンヨトウ幼虫 ハスモンヨトウによる白変葉 500 H28年 H27年 平年 400 誘 殺 虫 300 数 （ 頭 ） 200 100 0 図１ 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 1 1月 (平成22年5月20日更新) ハスモンヨトウのフェロモントラップ誘殺数（山口市大内：移動平均） ＪＰＰ－ＮＥＴ病害虫発生予測システム ８月 ９月 飛来日 1 5 1 0 1 5 2 0 2 5 1 5 1 0 1 5 2 0 2 5 ハスモンヨトウ ○ 6月25日 + A A A A A A - - - @ @ @ @ @ o o o o o o o o o o o o + + + + + + + + + + A A A A A A A - - - - - @ @ @ @ @ @ @ o o o o ○ 7月14日 o o o o o o o + + + + + + + + + + A A A A A A - - - - @ @ @ @ o o o o o o o o o o o o o o + + + + + + + + + + + + + + A 防除適期 予測日 2 0 1 6年 8月 1 2日 凡例 A : 成虫 - : 卵 o : 幼虫 + : 蛹 ☆ 主要な飛来 ◎ 多飛来 ○ 並飛来 △ 少飛来 図２ Ⅱ １ @ : 防除適期 ハスモンヨトウの防除適期予測 吸実性カメムシ類（ホソヘリカメムシ、イチモンジカメムシ、アオクサカメムシ等） 発生状況 （１）８月上旬の巡回調査（払い落とし調査）では、発生ほ場率は 38.1％ （平年 35.5 ％）、１㎡当たり虫数は 0.4 頭（平年 0.2 頭）で平年に比べやや多かった。 （２）県内４か所の予察灯における７月１日～８月５日のダイズ吸実性カメムシ類の誘 殺数は 14 頭(平年 30.6 頭)で平年並みであった。 ２ 今後の予想 （１）発生地域 （２）発 生 量 （３）予想内容 県内全域 やや多 気象予報では、今後 1 か月の気温は高いと予想されていることから、 莢伸長期～子実肥大期（８月下旬～９月）に本虫の発生増加が予想 される。 ３ 防除対策（防除時期等） 莢伸長期（開花期後３０日頃）と、子実肥大期（開花期後４５～５０日頃）に防除を 実施する。 表 防除の目安 防 除 時 期 播種月日 開 花 期 莢伸長期 （開花期後30日頃） 子実肥大期 （開花期後45日頃） 6月15日 7月4日 7月30日 8月13日 ８月６半旬 ９月３半旬 ９月３半旬 ９月６半旬 注；調査場所は山口市 （参考）用語解説 ○ 開花期とは、全株数の４０～５０％の株が開花始（初めて開花を見た日）に達した 日。 ○ 半旬とは、旬日の半分であり具体的には次のとおり。 １半旬は１～５日、２半旬は６～１０日、３半旬は１１～１５日、４半旬は１６ ～２０日、５半旬は２１～２５日、６半旬は２６～３０(３１)日 ４ 防除上注意すべき事項 防除の際はダイズの莢に薬剤が充分かかるよう散布する。 ホソヘリカメムシ（成虫） ホソヘリカメムシ（幼虫） イチモンジカメムシ（成虫） アオクサカメムシ（成虫） イチモンジカメムシ（幼虫） アオクサカメムシ（幼虫）
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