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レーザマイクロダイセクションおよび
プレッシャーカタパルティング (LMPC)
DNA プロトコール
カールツァイスマイクロイメージング株式会社
内容
6 イントロダクション-DNA概要
7 スライド調製
9
メンブレンスライド上のサンプル
9
スライドガラス上のサンプル
9
固定溶媒除去
9
スライド処理
10
加熱処理
10
UV処理
10
Poly-L-リシン 処理
10 切片のスライド固定
10
凍結切片
11
パラフィン包埋切片 (FFPE)
12
サイトスピン
12
血液と組織塗抹
13 染色法
13
ホルマリン包埋切片 (FFPE)
13
凍結切片
13
クレシルバイオレッド
14
ヘマトキリン/エオシン(HE)染色
14
トルイジンブルー
14
メチルグリーン
15
メチレンブルー
15
ヌクレアファストレッド
16 レーザマイクロダイセクションおよびプレッシャーカタパルティング(LMPC)
16 形態学情報を改善するための道具
16
ディフューザ CM (#1210-0320)
17
接着キャップ(#1440-0240; #1440-0250)
17
リキッドカバーガラス(#1440-0600)
18
回収デバイス
18
接着キャップ(#1440-0240; #1440-0250, #1440-0245;#1440-0255)
18
他のマイクロチューブ
19
アンプリグリッド AG480F
20 回収法
20
“乾燥” 回収 (接着キャップ)
21
22
“液体” 回収 (他のマイクロチューブ)
アンプリグリッド AG480F
22 回収確認-キャップに飛ばしたサンプルを確認する
22 回収後のアプリケーション
23
FFPE切片からのDNA回収
23
凍結切片からのDNA回収
25 PCR 準備
25
キャピラリーサイクラによるPCR (20μl)
26
ブロックサイクラによる大容量PCR(50μl)
27
エッペンドルフにおける小容量PCR (1μl)
28
他のプロトコール
イントロダクション
DNAの概要
ヒューマンゲノムプロジェクトにより、生物現象の解明に新たな視点が生まれました。ゲノムを人の
健康へ応用した結果、ゲノム医療の分野が生まれました。遺伝学は病気の診断、画像化、処置に
重要な役割を占めつつあります。
これらの解析結果から得られる有用な情報は生物医学、生物学的研究、薬物毒性、ドラッグデザ
イン、法医学、動植物遺伝子やその他の分野の範囲にまで及んでいます。
全ての分野において、分子試験的手法は急速かつ正確にDNA配列を決定できなければなりませ
ん。一方で可能な限り使いやすく、自動化かつ小型化されなければなりません。
分子遺伝学的なこれらの要求に加え、“解析の元となる質の良いサンプルの作成”の前の段階が
最も重要な段階です。
カールツアイスのレーザマイクロダイセクションおよびプレッシャーカタパルティング(LMPC)はサ
ンプル調製の芸術品です。
-6-
スライド調製
メンブレンスライド上のサンプル
メンブレンスライド 1.0(1mm 厚)⇒1
メンブレンスライド 0.17(0.17mm 厚)⇒ドット
フレームスライドおよびダブルメンブレンペトリディッシュ
⇒ドットと 0 の間
メンブレンスライドは、一方の面がメンブレンで覆われた特別なスライドです。このメンブレンは、サ
ンプルと共にレーザで容易に切ることができ、サンプルを飛ばす時の台として機能します。したが
って、サンプルを壊すことなく、広い領域でもレーザを当てて飛ばすことができます。 単細胞、細
胞小器官、リビングセルや染色体等を分離するのに、メンブレンスライドは特に重要です。
カールツァイスではポリエチレンナフタレン(PEN)メンブレンで覆われた厚さ1mmおよび0.17mmの2
種類のメンブレンスライドを提供しています。このメンブレンスライドはUVを非常に良く吸収する特
性を持っています。これにより、レーザによる切断が容易になります。すべてのアプリケーションで
使用することが可能です。
メンブレンスライド NF(ヌクレアーゼ・フリー)はDNase、RNaseおよびヒトのDNAフリーであることを
保証しています。PEN-メンブレンスライドに加えて、染色体分離の様な特殊処理用のPETメンブレ
ンスライドも準備しています。 S/N比を減らすことで、弱い蛍光シグナルを検出することができま
す。PET-メンブレンスライドの代わりに金属フレーム(フレームスライド PET)も使用することがで
きます。フレームスライド PETは電子レンジの過熱や圧力に耐性があります。
5倍、10倍または20倍の低倍率の対物レンズを使用する時は、厚さ1mmおよび0.17mmのスライド
ガラスを使用することができます。40倍か63倍のような高倍率にも対応するために、弊社では長
作動距離用の対物レンズをお薦めしています。対物レンズの修正リングを動かすことによって、異
なった厚さのカバーガラスに対応させることが可能です。100倍の対物レンズは動作距離が短い
ために、厚さ0.17mmのスライドガラスのみ使用することができます。
-7-
-8-
スライドガラス上のサンプル
大部分のサンプルはスライドガラスからレーザで切り出して回収することができます。カバーガラ
スを外し、固定溶媒を除去した後の病理切片でも回収することができます。脳の組織切片や血管
といった膜に吸着し難いものをスライドに固定する際は、回収しやすくする処理をするか、 “凍結
かつ電荷を帯びたスライド”を使用する必要があります。
固定溶媒除去
キシレンまたは水溶性の固定に使用されている溶媒によって、スライドガラス全体をそれぞれの
溶媒に浸す必要があります。
手順
1.
30℃~50℃に加温したキシレンまたは水を入れた瓶にスライドガラスを浸します
2.
カバーガラスから溶媒を除去するのに数時間から1日かかります
3.
スライドガラスを自然乾燥します
※ 組織にダメージを与えてしまいますので、カバーガラスを無理やり剥がそうとしないでください。
剥がすのに必要な時間は、サンプルの保存時間と固定している溶媒によって決まります。保
存期間が数日間の新鮮なスライドガラスはより早く剥がすことができます。
乾燥させたスライドガラスからサンプルはPALMの”AutoLPC”によって直接回収することができま
す。
スライドの処理
メンブレンスライドを出荷する際は、特に滅菌処理を行っていません。
DNAとヌクレアーゼを除去するために、メンブレンスライドとスライドガラスは同じ処理を行ってくだ
さい。
メンブレンスライド NF(ヌクレアーゼ・フリー)はDNase、RNase、および人間のDNAフリーであること
を保証しています。このスライドを使用すればヌクレアーゼ除去処理は必要ありません。
-9-
加熱処理
メンブレンスライドまたはスライドガラスをヌクレアーゼフリーにするために、180℃で4時間乾熱滅
菌を行ってください。
※0.17mm厚のメンブレンスライドは熱に耐性がありません。他の滅菌法でヌクレアーゼ除去を行
ってください。
UV処理
波長254nmのUVを30分間照射することでメンブレンの疎水性を高めることができます。それにより、
脳細胞の様な組織切片(パラフィンや凍結切片)は、膜に付着しやすくなります。また、UV照射によ
り核酸等のコンタミを減少させることができます。
ポリ-L-リシン処理
ポリ-L-リシン(0.1% w/v)処理は脳組織切片の様なメンブレンに付着しにくいサンプルを扱う時に行
います。また、ポリ-L-リシン(0.1% w/v)処理はUV処理の後に行います。ポリ-L-リシン溶液を膜上
に一滴垂らし、2~3分間室温で乾燥させます。膜とスライドガラスの間に溶液が漏洩しない様にご
注意ください。
切片のスライド固定
凍結切片
切片化
切片は通常ルーチンで行っているのと同じ様にメンブレンスライドに貼り付けることができます。後
に切り出して回収するために、通常使用される包埋剤は使用しないでください。OTCコンパウンド
の様な凍結組織包埋剤は使用することはできますが、使用量を最小限に抑え、サンプルをレーザ
で切り出す前に取り除きます。
- 10 -
凍結溶媒の除去
OTCまたは他の凍結組織包埋剤を使用している場合、それがレーザ効率に影響を与える可能性
があるので、レーザマイクロダイセクションをする前に除去する必要があります。包埋剤は蒸留水
に、5~6回浸すことで、取り除くことができます。もし、切片を染色したい場合は、染色操作時に自
動的に除去されます。
パラフィン包埋切片(FFPE)
切片化
温水上(40℃)で、ホットプレートで行う様に切片を浮かべます。切片をスライド上に固定した後、メ
ンブレンへ固定しやすくするために、56℃で一晩乾燥させます。サンプルをレーザで切り出すため
に、カバーガラスを外します。そのためには固定溶媒は通常使用するものを使用します。
下記に示した方法で、固定溶媒で保存していた切片からカバーガラスを外すことができます。
脱パラフィン化
パラフィンはレーザの効率を減少させ、時に切り出して飛ばす際の妨げになります。したがって、
サンプルを切り出して回収する際にパラフィンを取り除いておくことはとても重要です。通常、標準
的な染色法を採用されている場合は、脱パラフィン化がルーチンに含まれています。
手順
1.
キシレンに3~10分間2回浸します
2.
100%エタノールに1分間浸します
3.
96%エタノールに1分間浸します
4.
70%エタノールに1分間浸します
※厚さ0.17 mmのメンブレンスライドは有機溶媒に耐性がないのでご注意ください。また、上述した
様な最小限の除去法を採用ください。
11
- 11 -
サイトスピン
サイトスピンはスライドガラスまたはメンブレンスライド上で作製することができます。細胞を遠心
操作で回収した後に室温乾燥させます。次に100%エタノールで5分間浸して固定します。染色前
に室温でサイトスピンを乾性させてください。
血液と塗抹標本
血液かスメア状のサンプルはスライドガラス上に塗抹してください。固定および洗浄操作中に膜を
破らない様にご注意ください。膜を破ってしまうと、サンプルを飛ばして回収しにくくなってしまいま
す。スライドガラスを短時間室温乾燥し、70%エタノールで2分間(最大5分間)固定を行います。
- 12 -
染色法
高純度のDNAを抽出するには、実験直前に調製し、オートクレーブした溶媒を用います。
パラフィン包埋切片(FFPE)
脱パラフィン化した後は、実験目的によって染色法を選択します。凍結切片の用いられる大部分
の染色法はFFPF切片でも使用可能です(次項:凍結切片をご参照ください)。
凍結切片
DNAを扱う時は、HE、メチルグリーン、クレシルバイオレット、ヌクレアファストレッドのような標準的
な組織染色を行うことができます。弊社ラボで検討する際はクレシルバイオレッドとヘマトキシリン
/エオシン染色を行っています。
保存
染色したスライドはすぐにも使用できますし、サンプルを切り出して回収するまで-80℃で保存す
ることもできます。スライドガラスは、溶ける際の余分な水分凝縮を避けるために、50mlのファルコ
ンチューブの様な密封された容器中で凍結し、再融解します。
クレシルバイオレット染色
※クレシルバイオレット染色法は大部分の実験において細胞を同定するのに有効です。もし、より
染色により組織を明確化されたい時は、クレシルバイオレッド染色の前後にそれぞれ50%エタノー
ル操作を追加します。クレシルバイオレッド染色液を含むアンビオン社製のLCM Staining Kit (Cat.
No.1935) も販売されています。このキットを使用される場合は、キシレンが細胞を壊し、凍結切片
のPENメンブレンスライドへ付着しにくくしてしまうので、キシレン処理を行わないことをお薦めして
います。
- 13 -
ヘマトキリン/エオシン(HE)染色
HE染色は通常の病理検査室のルーチンで使用されており、RNAの実験の妨げになりません。核
は青に染まり、細胞質は赤/ピンク色に染まります。
手順
1. 固定後に、すばやくスライドで5~6回、蒸留水に浸します。
2. 1分間メイヤーズヘマトキシリン溶液(例:シグマ社、Cat.No.MHS-32)
3. 蒸留水または洗浄溶液に1分間浸します。
4. エオシンY溶液(例:シグマ社、Cat.No.ZHT110-2-32)で10秒間染色します。
5. 濃度を上げたエタノール(70%、96%、100%)に浸します。
6. 短時間室温乾燥します。
トルイジンブルー
手順
核は紺色に染まり、細胞質は淡青色に染まります。
Staining Procedure
1. 70%エタノールで2分間固定化処理した後に、蒸留水で5~6回スライドを洗います
2. トルイジンブルー溶液(0.1 %濃度水、SIGMA社、Cat.No.T-0394)に30秒間染色します。
3. 蒸留水で洗います。
4. エタノール溶液(70%→96%→100%)に浸します。
5. 室温で1~2分間乾燥させます。
メチルグリーン
核は紺色に染まり、細胞質は淡青色に染まります。
手順
1. 70%エタノールで2分間固定化処理した後に、蒸留水で5~6回スライドを洗います。
2. メチルグリーン溶液(DAKO社、Cat.No.S1962)に5分間染色します。
3. 蒸留水で洗います。
4. 室温で1~2分間乾燥させます。
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メチレンブルー
核は紺色に染まります。
手順
1. 70%エタノールで2分間固定化処理した後に、蒸留水で5~6回スライドを洗います。
2. メチレンブルー溶液(0.05 %濃度水、SIGMA社、Cat. No. 31911-2) に5~10分間染色します。
3. 蒸留水で洗います。
4. 室温で1~2分間乾燥させます。
ヌクレアファストレッド
核は濃赤色に染まり、細胞質は淡赤色に染まります。
手順Staining Procedure
1. 70%エタノールで2分間固定化処理した後に、蒸留水で5~6回スライドを洗います。
2. ヌクレアファストレッド溶液(DAKO社、Cat.No. S1963)に5~10分間染色します。
3. 蒸留水で洗います。
4. 室温で1~2分間乾燥させます。
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レーザマイクロダイセクションおよびプレッシャーカタパルティング
(LMPC)手順
詳細はMicroBeamユーザーマニュアルをご参照ください。
形態学的情報を改善するためのツール
サンプルを切り出して回収する際は、切片を包埋してカバーガラスを乗せる必要はありません。切
片または組織表面をカバーしないので、組織が壊れている様に見えることがあります。
ディフューザ CM (#1210-0320)
ディフューザ CM は、全てのキャップムーバーのホルダーに付いています。その不透明なガラス
は顕微鏡の余計な光を拡散することでコントラストを良くし、核や細胞の境界をより明確にします。
ちょっとした色の違いも見える様になります。詳細はディフューザマニュアルをご参照ください。
ディフューザ CM
(注文 No.415101-2100-320)
PALM CombiSystem
- 16 -
接着キャップ(#1440-0240; #1440-0250)
不透明な接着キャップは、色のバランスとコントラストを改善することで、サンプルの形態をより明
確に見ることができます。不透明な接着キャップは200μl用と500μl用の2種類あります。詳細は
接着キャップ商品情報をご参照ください。
接着キャップ 500不透明-500μl
(注文No.415101-4400-250)
接着キャップ 200不透明-200μl
(注文No.415101-4400-0240)
リキッドカバーガラス N (#1440-0600)
ポリマーで粘性のあるリキッドカバーガラスNは、スライドガラス上にセットした組織の表面を滑らかにし、
形態を見やすくします。カバーガラスの様に表面を覆い、組織を見やすくするだけでなく、水やヌクレア
ーゼ等から切片を守ることができます。
リキッドカバーガラス
(注文No.415101-4400-600)
- 17 -
回収デバイス
接着キャップ(#1440-0240; #1440-0250, #1440-0245;#1440-0255)
接着キャップを使用することで、サンプルを切り出して飛ばす際に、回収するチューブに液体を満
たすことなくサンプルを回収することができます。これにより、ヌクレアーゼによる分解を最小限に
抑えることができます。簡単にサンプルを回収できることに加え、回収したサンプルがどこかに行
ったり、結晶を形成してしまうのを防ぐことができます。また、キャップにシリコンゴムを満たしてい
ることで、スライドガラスと回収するキャップの距離が短くなるので、より低いレーザエネルギーで
サンプルを回収することができます。詳細は接着キャップ商品情報をご参照ください。
※ 接着キャップは全てのRNA回収操作にお薦めしています。
接着キャップ 500不透明-500μl
(注文No.415101-4400-250)
接着キャップ 200不透明-200μl
(注文No.415101-4400-0240)
接着キャップ 500 -500μl
(注文No.415101-4400-255)
接着キャップ 200 透明-250μl
(注文No.415101-4400-0245)
他のマイクロチューブ
市販の実験用チューブも使用することができます(例:ABgene社製0.5mlチューブ、
Cat.No.AB-0350)
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アンプリグリッドAG480F
Advalytix社のAmpliGrid technologyと組み合わせたスライドコネク
タ 48を使うことで、連続的に48サンプルをハイスループットで回収
することが可能になりました。
AmpliGrid technologyにより、スライドガラス上で1μlという少量の
容量でDNA解析が可能になりました。
詳しくはパンフレットをご参照ください。
- 19 -
回収法
PALM MicroBeamユーザーマニュアルをご参照ください。
※Proteinase Kによる消化時間はサンプルの種類と量に依存します。Proteinase K消化後の操作
はQIAamp DNA Micro Kit(キアゲン社、Cat.No.56304)のプロトコールをご参照ください。
“乾燥” 回収 (接着キャップ)
※ 接着キャップは全てのサンプル回収操作にお薦めしています。
1.
接着キャップを回収デバイスの正しい位置に付けます(18ページ参照)。
2.
レーザマイクロダイセクションでサンプルを回収します。
3.
サンプルを回収した後に、マイクロチューブの内側に Llysis buffer (QIAGEN社、QIAamp
DNA Micro Kit、Cat.No.56304)を15μl加えます。
4.
Proteinase K (20 mg/ml) 溶液を10μl 加え、15秒間 vortex します。
5.
インキュベータ中でマイクロチューブをローテータに固定します。攪拌しながら 56℃ で2~18
時間インキュベーションします。
6.
最高回転数で5分間遠心分離します。この時点で-20℃保存が可能です。
※Proteinase K による消化時間はサンプルの種類と量に依存します。Proteinase K 消化し、不
活化処理後は、各自の実験を進めてください。もし、すぐに実験を行わないのであれば、-20℃で
保存してください。
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Collection Procedure
“液体” 回収 (他のマイクロチューブ)
市販のマイクロチューブを使用される場合は、細胞を捕らえるためにキャップに液体を少量加える
必要があります。capturing buffer中のIgepal CA-630 はマイクロチューブキャップ全体にある液体
をスメア状にすることができます。
※回収時間が長くなると、キャップ中の液体が蒸発しますので、ご注意ください。
capturing buffer組成Prearrangements - Capturing Buffer
0.05 M EDTA pH 8.0
20 μl
1 M Tris pH 8.0
200 μl
Igepal CA-630 (SIGMA #I-3021)
50 μl
(Proteinase K 20 mg/ml)
100 μl
ddH2O fill up to 10 ml
Proteinase K Solution
20 mg/ml
(Qiagen #19131)
Final Concentration: 20 mM Tris, 0.1 mM EDTA, 0.5% Igepal, 1% Proteinase K
※Capturing Buffer と Proteinase K は使用直前に混合してください。
手順
1.
オートクレーブしたマイクロチューブを取り出します。
2.
Proteinase K を含まない Capturing Buffer または蒸留水を 3-15μl キャップの中央に加
えます。
3.
マイクロチューブをコレクタに取り付け、正しい位置にあるかどうかを確認します。
4.
選択した細胞を飛ばして回収します。
5.
最高速度で5分間遠心します(Hettich Centrifuge, Universal 32R)。
6.
Proteinase K を含むCapturing Bufferを 10-15μl 加え、軽く15秒程度 vortex します。
7.
ローテータを使って 56℃ で2~18時間インキュベーションします。
8.
最高速度で5分間遠心します(Hettich Centrifuge, Universal 32R)。
9.
Proteinase K を不活化するために 90℃ で10分間インキュベートします。
10. 最高速度で5分間遠心します(Hettich Centrifuge, Universal 32R)。
- 21 -
アンプリグリッド AG418F
AmpliGrid上の48反応サイトに1% Glycerol水溶液を1μlアプライするだけで、サンプルを回し、DNA
増幅まで行うことができます。Ampligrid スライド上の各48 wellにサンプルを回収する操作は
PALM RoboSoftwareで自動的に行うことができます。
Slide48テクノロジーを応用することで、DNA増幅の際にテンプレートを別のチューブに移す必要が
なくなりました。PCRやシークエンス等の分析を全てAmpliGrid AG480F上にアプライした1μlという
少量で行うことができます (27ページ参照)。
回収確認 –キャップに飛ばしたサンプルを確認する
回収したことを確認するために、キャップを直接5、10、40、63倍の対物レンズで確認することがで
きます。パソコン表示画面上で”go to check point”ボタンを押すとキャップが対物レンズ上に移動
し、キャップ上にトラップしたサンプルを見ることができます。
- 22 -
回収後のアプリケーション
FFPE切片からのDNA回収
脱パラフィン化と染色法は通常使用される方法を用います(11、13~15ページ参照)。
※FFPE切片から回収する場合はプロテアーゼK処理が特に重要です。プロテアーゼKによる最適
なインキュベーション時間は、細胞の種類、固定方法や回収したサンプルの大きさ等の多くの要
素によって決まります。一晩インキュベーションするのは、安全な方法と言えますが、より短い時
間も検討する必要があります。弊社の経験では、どの様な抽出方法や試薬を使ったとしても、少
なくとも3時間インキュベーションする必要があることが明らかになっています。
凍結切片からのDNA回収
DNAを分離するための様々な実験法があります。弊社では接着キャップとQIAamp DNA Micro
Kit (キアゲン社、Cat.No.56304) を組み合わせた方法をお薦めしています。これらの組み合わせ
により、量および質のよいDNAを得ることができます。このQIAamp DNA Micro Kitは少量の組織か
らの回収に向いています。また、後述の方法は、シングルセルにも対応しています。
※ 遠心前にQIAamp MinElute Columnに水をアプライし室温で5分置きます。こうすることで一般的
にDNA収量が増加すると言われています。
スタンダード溶液を希釈した核酸溶液は一回使用分を小分けにしておき、一度だけ使用する様に
してください。もし可能であればシリコン処理したチューブに少量保存しておくことをお薦めします。
これにより核酸がチューブの壁に吸着することを防ぐことができます。さらに、溶液中に核酸が凝
縮することを防ぐことができます。
手順
1.
接着キャップに回収したサンプルにバッファーATLを 15μl 加えます。
2.
Proteinase K を 10μl 加え、15秒間軽くボルテックスします。
3.
インキュベータ中で 0.2 ml マイクロチューブをローテータに固定します。攪拌しながら 56℃
で2~18時間インキュベーションします。
※ Proteinase Kによる消化時間はサンプルの種類と量に依存します。
- 23 -
4.
バッファーATLを25μl、バッファーALを 50μl 加え, 15秒間軽くボルテックスします。より溶解
しやすくするために、サンプルとバッファーALを完全に混ぜて、均一にすることが重要です。
5.
96-100% エタノールを 50μl 加え、15秒間軽くボルテックスします。室温(15-25℃)で5分間イ
ンキュベートします。もし、室温が25℃を超える様であれば、チューブに加える前にエタノール
を氷上で冷します。
6.
0.2ml チューブの蓋に付いている溶液を遠心で落とします。
7.
注意深くサンプルを、蓋を湿らせない様に QIAamp MinElute column にアプライし、6000 g
(例. Eppendorg 5415Dでは8000 rpm) で1分間遠心します。QIAamp MinElute Column をきれ
いな 2 ml collection tube にセットし、溶出液を捨てます。もしも、サンプルが完全にカラムを
通りぬけていない場合は、QIAamp MinElute Column が空になるまで、より高い回転数で回
します。
8.
注意深く QIAamp MinElute Column の蓋を開け、蓋を湿らせない様に Buffer AW1 を500
μl アプライします。蓋を閉めて、6000 g (8000 rpm) で1分間遠心します。QIAamp MinElute
Column をきれいな 2 ml collection tube にセットし、溶出液を捨てます。
9.
step 8を繰り返し行います。
※QIAamp MinElute column と溶出液が触れない様にご注意ください。遠心機によっては減速中
に振動し、結果として QIAamp MinElute column と溶出液が触れることがあります。QIAamp
MinElute Columnとcollection tube をロータから取り出す時は QIAamp MinElute column と溶出
液が触れない様に注意深く取り出してください。
10. カラムを乾かすために最高回転数 (20,000g; 14,000rpm) で3分間遠心します。エタノールが
溶出液に残っていると後の実験の邪魔になってしまうので、この操作は必要です。
11. QIAamp MinElute Column を新しい 1.5 ml チューブに付け、溶出液を含む collection tube
を捨てます。注意深く QIAamp MinElute Column の蓋を開け、蒸留水 20μl を column
の中心にアプライします。蒸留水が室温であることをご確認ください。Column に結合してい
る DNA を完全に溶出するために蒸留水を column の中心にアプライしてください。
※QIAamp MinElute Columns の溶出液量は自由に変えることができます。後の実験の目的に合
わせて溶出液量を設定してください。回収される溶出液量は、カラムにアプライした溶出バッファ
ー量よりも 5μl (最高)少なくなります。
12. チューブの蓋を閉めて室温(15-25℃)で1分間インキュベートします。最高回転数(20,000 xg;
14,000 rpm)で1分間遠心して、DNA を溶出します。
- 24 -
PCR準備
抽出したDNA濃度によって、増幅方法が決まります。つまり、反応液調製時における目的DNA量
は限られるので、キャピラリーサイクラにおける標準的なPCRに適用される容量 (20μl)はDNA濃
度が高い時に有効です。通常抽出したDNAの30~50%しか解析することができません。一つの細
胞から回収する様な、DNA濃度が非常に低いときは96-well ブロックサイクラの様な高容量(50μ
l)の時に有効です。回収したDNAを全て使用することができます。エッペンドルフマスターサイクラ
では、少量のDNA(1μl)で分離操作や移す操作なく、直接解析することが可能です。また、一つ
のスライドでサンプルを回収し、少容量でPCRを行うことができます。
キャピラリーサイクラにおける標準PCR (20μl)
弊社の実験では、QuantiFast SYBR Green PCR (QIAGEN社、Cat.No.204052) を使うと正確な増
幅産物を得ることが分かっています。
PCR Procedure
1.
2倍濃度の QuantiFast SYBR Green PCR Master Mix、template DNA、プライマーおよび水を
準備します。
2.
手順書に添って各試薬を混合します。ホットスタートを行うので、反応を開始するまでは、反
応液を氷上に置いておきます。
※マグネシウム濃度は 2x QuantiFast SYBR Green PCR Master Mix 中の濃度で行うことをお薦
めします。
2x QuantiFast SYBR Green PCR Master Mix
10μl
Primer A (10μM)
0.5μl
Primer B (10μM)
0.5μl
Template DNA
100ng/reaction
蒸留水
必要量
Total
20μl
3.
反応液をよく混合してPCRキャピラリーに適当量アプライします。
4.
反応液を含むそれぞれのキャピラリーに template DNA (100 ng/reaction) を加えます。
5.
設定したプログラムに従ってPCR反応を開始します。DNA polymeraseは、PCR開始時に95℃
で5分間行うことで活性化します。
- 25 -
2段階反応
変性反応:95℃10秒、アニーリング/伸張反応: 60℃、30秒(サイクル数:32)
6.
PCR装置のキャピラリーにサンプルを置き、PCR反応を開始します。
7.
オプション:アガロースゲル電気泳動で特異的なPCR産物のバンドをご確認ください。
96-well ブロックサイクラにおける高容量PCR(50μl)
RNA抽出した全溶出物 (20μl) のPCR反応を行うには、50μlの容量必要です。
PCR Procedure
1.
2倍濃度の QuantiFast SYBR Green PCR Master Mix、template DNA、プライマーおよび水を
準備します。反応を開始するまでは、反応液を氷上に置いておきます。
2.
手順書に添って各試薬を混合します。
10x Buffer
5μl
2mM dNTP-Mix
5μl
Primer A (10μM)
1μl
Primer B (10μM)
1μl
template DNA
必要量
Qiagen HotStarTaq Polymerase
0.5μl
蒸留水
必要量
Total
50μl
3.
反応液をよく混合してPCRキャピラリーに適当量アプライします。
4.
反応液を含むそれぞれのキャピラリーに template DNA (100 ng/reaction) を加えます。
5.
手順書に添って各試薬を混合します。
変性
95℃、30秒
アニーリング
50℃、30秒
伸張反応
72℃、30秒
サイクル数
35
6.
PCR装置にサンプルを置き、PCR反応を開始します。
7.
オプション:アガロースゲル電気泳動で特異的なPCR産物のバンドをご確認ください。場合に
よっては最初のPCR産物を元に 96-well ブロックサイクラで nested PCR を行い、次に内
部プライマーを使用します。
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エッペンドルフにおける小容量PCR (1μl)
シングルセルの様な少量のDNA増幅やシーケンスにおいてはアンプリグリッドtechnologyを使って、
非常に少容量(1μl)で行うことが可能です。 細胞をチップに飛ばして回収するだけで、テンプレ
ート等準備することなく直接チップ上で反応を行うことができます。
PCR Procedure
1.
PCR buffer、dNTPs、template DNA、プライマーおよび水を準備します。反応を開始するまで
は、反応液を氷上に置いておきます。
2.
手順書に添って各試薬を混合します。
AmpliTaq Gold
0.1μl
15mM MgCl2を含む10x GeneAmp Buffer
0.1μl
(各5pmol/μl) Primer
0.1μl
(各2.5μM)dNTP-Mix
0.1μl
蒸留水
0.6μl
Total volume
1.0μl
3.
反応液を混合し、AmpliGrid slide 上に細胞を回収した反応部位に 1μl 加えて混合します。
4.
PCR反応液を 5μl sealing 溶液で覆います。
5.
Eppen-dorf Mastercycler に AmpliGrid をセットします。
6.
設定した条件でPCRを開始します。
Step Time Temp.
開始反応
95℃、10分
変性
94℃、40秒
アニーリング
56℃、30秒
伸張反応
72℃、30秒
サイクル数
最終反応
32
72℃、10分
アガロースゲル電気泳動で特異的なPCR産物のバンドをご確認ください。場合によっては最初の
PCR産物を元に96-well ブロックサイクラで nested PCR を行い、内部プライマーを使用します。
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他のプロトコール
生細胞
RNA
染色体
詳しくは、カールツァイスマイクロイメージング(株)各営業所へお電話もしくは E-mail にて、または
弊社機器製品取扱店へお問い合わせください。
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