ミクロの世界

香楽塾テキスト
化学のお勉強
香料について勉強していると化学の言葉がたくさんでてきます。
だからといって、理科系のひとでないと調香師になれないわけではありませんが、化学の
知識があると有利なことも少なくありません。
そこで今回は香料を扱うものとして最低
必要な化学の基礎の基礎をおさらいしてみましょう。
1・目に見えないミクロの世界
1・1
原子
あらゆる物質は原子でできています。
原子はわずか100種類程度しかありませんが、
原子の種類と組み合わせで無限といっていいくらいの物質ができているのです。
原子の大きさは 0.0000000001mほどで、顕微鏡でもみえないくらい小さいのですが、たく
さん集まってはじめて目で見える大きさになるのです。
んから例えてみましょう。
原子の小ささの実感がわきませ
ゴルフボールの大きさを地球の大きさに拡大したとき、ゴル
フボールを構成している原子の大きさが、ちょうどゴルフボールくらいに相当します。
ゴルフボール
原子
⇔ 地球
⇔ ゴルフボール
原子が物質の素ですが、それも実はもっと小さなものからできています。
原子は原子核や電子からできており、さらに原子核は陽子や中性子というものからでき
ています。
どこまでいくのか、きりがありませんが、究極的には素粒子の世界の話で、
クォークやレプトンなどが物質の基本的構成要素であるとされています。
1・2
分子
目に見えない原子がたくさん集まって目に見える世界ができています。
原子がいくつか集まって小集団をつくった状態は分子とよばれます。
たとえば水素原子は二つで水素分子に、酸素原子も二つで酸素分子に、そして水素分子
2つと酸素分子1つがくっつけば、水分子が2個できます。
もちろん分子でもまだ小さすぎて目には見えません。
いったいどのくらい集まれば目
に見えるのかといえば、たとえば水の分子は6020(該)0000(京)0000(兆)00
00(億)0000(万)0000個あつまってはじめて18gの水になるのです。
1・3
化学式
物質の分子構造をあらわしたり、物質の化学変化(化学反応)を表したりするために考
案されたのが化学式です。
物質は原子のあつまりですから原子の種類とそれらのつながり方を記号で表現すること
になります。
まずは、原子はアルファベットをつかった元素記号であらわします。
はO、炭素はC、窒素はNなどですね。
水素をH、酸素
では香水をつくるときの香料をとかすのに必須
のエチルアルコール分子はどのように表しますか?
エチルアルコールは炭素2、水素6、酸素1個でできていますが下図のように目的によ
って表現のしかたがいくつかあります。
1.3.1
一般式(組成式):物質の元素組成を表す。
C2 H5OH
1.3.2
示性式(構造式):原子のグループ(基)をつなげて示す。
CH3CH2 OH
1.3.3
-CH3, -OH などを(基)という
構造式:化学結合を線で表す方法。
a
b
a、b 図のように、エタノールの分子の構造を 3 次元モデルとして表す方法もあります。
(青は炭素 C、赤は酸素 O、黄色は水素 H)