7月21日

建設材料施工学
小テスト
2016 年 7 月 21 日
外部拘束によって生じるコンクリートの温度ひび割れのメカニズムと損傷の特徴を説明しなさい.
外部拘束による温度ひび割れは,図 1 に示すように既設部材に新設部材を打継ぐ場合に生じやすい.
まず,セメントの水和発熱によりコンクリートの温度が上昇して体積が膨張する.その後,発熱が小
さくなり放熱が卓越すると温度が低下し,コンクリートの体積が収縮する.このとき収縮変形(収縮
ひずみ)が既設部材に拘束されると新設のコンクリートに引張応力が発生する.この引張応力がコン
クリートの引張強度を上回るとひび割れが発生する.
既設の基礎の上に壁を構築する場合(図 1),部材全体の温度が低下して引張応力が発生するので,
打込み後 1~2 週間以降にひび割れが生じる.また,ひび割れは等間隔に発生し,壁を貫通しているこ
とが多い.
一方,体積の大きなコンクリートブロック(マスコンクリート)をつくる場合(図 2),コンクリ
ートの内部と表面で温度差が生じるが,内部と表面部で同じ変形量となるように(変形の適合条件),
内部には圧縮力,表面部には引張力が作用する.このとき断面内で力が釣り合うので,表面部の引張
力と内部の圧縮力の大きさは等しい.このように断面内における変形量の差を抑制し,変形の適合条
件を成立させるために力が作用する状態を内部拘束という.
内部拘束によるひび割れは内部の温度が高い時期に発生しやすいので,打込み後 2~4 日程度で発生
する.特に脱枠時期が早い場合は,表面が急速に冷却されてひび割れが生じやすい.内部拘束では,
引張応力は断面の表面部分だけに発生するため,この範囲にひび割れが発生する.したがって,表面
ひび割れとなる.
放熱
壁(新設)
等間隔のひび割れ
拘束
拘束
発熱
温度:高
膨張:大
圧縮応力
基礎(既設)
図1
7/21
学生番号:
外部拘束
図2
氏
内部拘束
名:
解答例はこちら http://www.civil.kyutech.ac.jp/pub/hibino/index.htm