岡山大学大学院自然科学研究科 博士前期課程 物質生命工学専攻 物質応用化学系 平成21年度入学学力試験問題 専門科目無機化学 (注意) ●各解答用紙の全てに受験番号と氏名を記入のこと。 無機化学 (50点) 問題1 以下の問いに答えよ。 (1)水素様原子の2S軌道および2P軌道の動径分布関数を図示せよ。 (2)O原子の2S電子の有効核電荷は4.49であるのに対し、2p電子の有効核 電荷は4.45である。この違いを説明せよ。 (3)2個の価電子をもつLi2の電子配置は、Li2:(1。g)2となる。これにならい、 02。(超酸化物イオン)の電子配置を示せ。 (4)02.(超酸化物イオン)の分子軌道エネルギー準位図を図示せよ。 (5)02.(超酸化物イオン)の結合次数はいくらか。 (6)02(酸素分子)、02.(超酸化物イオン)、022.(過酸化物イオン)の結合 長の順序を予測せよ。 無機化学 (50点) 問題2 二種類の原子からなる分子の構造に関連した以下の問題に答えよ。 惨 一 惨 X X A2 A3 H3 H2 D3h、C§v群に属する分子の投影図。図2NH3分子の投影図。 ( 1 ) 2つの分子はA原子3個、B原子1個から構成されており、A原子、A1、 A2、A3は正三角形を形づくるとする。図1のようにこの正三角形をxy 平面におき、その重心をz軸の原点、A1をy軸上におくと、二つの分子 のB原子はともにz軸上にあった。これらの分子の点群は、D3hと&v に帰属された。それぞれの分子のB原子の位置を区別して述べよ。 ( 2 ) (1)で、3h群に属する分子の振動の自由度をXy平面内と面外に分け て考えた。「面外では4個の原子についてz軸方向にのみ移動が許される ので、原子変位の自由度は4個であるが、x軸、y軸回りの回転の自由 度2個とz方向の並進の自由度’個を差し引き’個が面外の振動の自由 度である。」これにならって面内の振動の自由度を求めよ。 ( 3 ) アンモニア分子NH3の属する点群の指標表の一部を以下に示す。アン 図1 モニア分子の属する点群は何か。 12 A AE ワ ● E2q30.V 1 1 1 1 1 − 1 2 − 1 0 h=6 Z X 2 + y 2 Z 2 凡 (X,y)、(凡,凡)(X2-y2、Xy)(ZX,yZ) (4)NH3分子の3つの水素を図2のようにそれぞれH1、H2、H3とすると それらの1s軌道の線形結合は、 のl=のH1s+のH2s+(力H3s‘2=2のH1s−のH2s−のH3s巾3=のH2s−‘H3s で表される。の,に亙&、0.vの対称操作を行ったときの符合変化(1: 変化無し、−1:逆符合)を示し、対称型を決定せよ。 (5)の1、‘2、の3のうち窒素の2py軌道と結合し分子軌道に寄与するものを 全て示せ。 無機化学 (50点) 問題3 酸化と還元に関する、以下の設問に答えよ。 (1)右図のEllingham図のC→COの直 線は、温度上昇にともない、標準 反応ギブスエネルギーが減少し 一一一一手=・一画一一一マーーーーニ一一=一一一一一一‐-■やー÷一一一一◆。 A9yO CuO 十125 ている様子を示している。この変 化の理由を、化学反応式をかいて ) ( 熱力学的観点から説明せよ。 ヘ ヘ 、. 0 5 2 ︽参1−.E夏︶ヘ︲○訂 ヘヘー S i O 2 ∼ c . c ケ ー . A I 今 〆 フ / i A g o 徳ツク/iA 話 リツ ‘ 4 窓 6 −500 一一』‐I‐‐』‐‐1,−1.−−上−−−1−−」一一.」--.一-'一一 ”010001&XjO2000瓢》00 浬侭/℃ (2)このEllingham図を参考にしてアルミニウムが酸化カルシウムを還元でき ると思われる条件があるかどうかを決め、その理由を熱力学的観点から説 明せよ。 (3)下図のLatimer図の空欄(a),(b)の標準電位を小数点以下第二位まで求めよ。 その際、計算式を示すこと。 ( b ) N O 3 F 2 型 L N 2 0 4 型 L H N O 2 型 L N 2 0 ユ ュ N 2 三 2 里 N 2 H 5 + 哩 一 N H 4 ・ I(a)1 (4)このLatimer図から、N03-,N20,N2,NH4+について、解答用紙の方眼紙上 にFrost図を作成せよ。 (5)(4)で作成したFrost図より、溶液中におけるN03-,N20,NH4+の挙動を説 明せよ。 ● 無機化学 (50点) 問題4 塩化クロム(Ⅲ)のアンモニア錯体には、色の異なる4種類の化合物A∼Dが存 在し、それら化合物の水溶液に硝酸銀を加えると、異なった量の塩化銀が沈殿 した。また、化合物C、Dには、それぞれ幾何異‘性体が存在する。 色 化学式 0011 CrC13.4NH3 3210 CrCl3・SNH3 量 黄赤紫青 △ロ△ロムロ△口 ABCD 物物物物 化化化化 CrC13.6NH3 塩化銀の沈殿異性体の数 CrC13.3NH3 (1)化合物A∼DにおいてCr3+イオンの配位数は全て等しい。化合物A∼Dの 立体構造をそれぞれ図示せよ。ただし、異性体が存在する場合は、両方 の構造を図示すること。 (2)化合物Aのクロム(Ⅲ)イオンについて、化合物中の3.軌道エネルギー準 位図を示し、エネルギー準位がそのようになる理由を3.軌道の形に基づ き説明せよ。 (3)化合物Bの場合、クロム(Ⅲ)イオンの3.軌道エネルギー準位図はどのよ うになるか。化合物Aの場合と比較して答えよ。 (4)化合物A∼Dにおいて、化学式中のNH3数が変化すると、化合物の色は 系統的に変化している。化合物の色が変化する理由を定性的に説明せよ。 (5)図は、化合物Aの水溶液の可視吸収スペクトルである。(2)の3.軌道 エネルギー準位図を用いて、図のスペクトルの形を説明したい。どのよ うに考えれば、スペクトルの形を説明できるか、その考え方を述べよ。 4 戸、 ◎EのEロ︶琶一昌男︾一 20 § 200 400 600 (50000cm−1〉 (25000cm−1) (17000cm ') A/nm
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