第1学年「繰り下がりのひき算」の導入の指導

関算研通信
第1学年「繰り下がりのひき算」の導入の指導
伊賀市立新居小学校
1
教諭
藪中俊典
研究の目的
日常の生活における繰り下がりのある場面では、バラ(1 位数)を取った後、不足分を
10のまとまりから取ることが多い。しかし、式で答えを求める場合には、10のまとま
りから減数を引いた残りと 1 位数をたす「減加法」の考え方の方が思考しやすい。
本報告では、導入において、「減加法」のよさに気づかせる指導のあり方を検証する。
2
目的達成に向けての手立て
①課題解決の意欲を引き出す問題やその提示を工夫する。
②学習内容を自らの言葉で「再現」させる
3
実践
図1
導入では、11から16までの数図カード(図1)を次々に提示して、「9個を取った
ときの残りの個数」を答えさせた。何枚か提示するうちに、子どもたちは、素早く答えを
出す方法に気がつき、「わかった。」と声をあげた。「わかった。」と言う声が多く出始めた
ところで、
「何がわかったのですか。」とたずね、その気づきを14個の数図で説明させた。
子どもたちからは、「4の次」「4に1をたす。」などの説明をしたので、「どうして1をた
すのですか。」と尋ね、
「10から9をひく」という考えを「百玉」を用いて説明をさせた。
(板書参照)その後、再び、数図カード
を次々に提示し、答えを言わせながら、
「どうしてそんなに早く残りの数を見つ
けることができたのですか。」とたずね、
「10から9を引く」考えを繰り返し説
明させた。
次時では、8個や7個を取る場合の求め方を考えさせた。
4
研究の成果と課題
減数を「9」に固定し、被減数を変数としたことにより、被減数が変わっても、答えは、
「1位数に1をたせば求められる」という「-9の秘密」にすぐに気づく子どもが見られ
た。そうした友だちの気づきが他の子どもの「解決したい」という意欲を引き出した。そ
の「秘密」を「百玉」を用いて説明をさせたことで、
「秘密」の仕組みが理解できていなか
った子どもも理解することができた。その後、再び、数図を提示したことで、最初、答え
を求められないでいた子どもも素早く答えられるようになり、さらに、友だちの説明を「再
現」させる活動を行ったことで、考えの定着を図ることができた。
ただし、子どもが具体物等を操作する活動がなかったことや、被減数を変数としたこと
で、理解が難しかった子どもも見られた。