デジタル・ニッポン2016 が目指す未来像 ~まず、やってみよう~ 2016年7月25日 自民党IT戦略特命委員長 衆議院議員 平井たくや 0 インターネット前提社会の到来 1 • 全ての産業がインターネット前提産業へ • インターネット前提社会は、インシデント前提社会でもある 全産業に関わるセキュリティ 重要インフラやIT関連がターゲットだった標的型攻撃も今後は全ての産業がターゲットに 安全を確保すべき情報の種類・性質・保管場所等が多様化 省庁横断的に考える必要性(横串) 農 業 ・ 林 業 製 造 建 設 金 融 ・ 保 険 医 療 ・ 福 祉 流 通 インターネット 電 気 ・ 水 道 教 育 ・ 研 究 … 公 務 自民党ICT戦略「デジタル・ニッポン」の流れ 自民党は2001年から徹底的に産業界と議論してICT戦略を磨いてきた。自民党ICT政策提言「デジタル・ニッポ ン2016」をまとめるに際しても多くの企業・団体・関連省庁からヒアリング*し、最新動向を研究してきた。本提言で は、日本のICTが直面する新たな局面に対応するため、最新テクノロジーの社会実装によるIT国家実現を提言す る。 2015年 新ICT戦略 デジタル・ニッポン2010 IoT・マイナンバー時代のIT国家像とパブリック・セー フティに関する提言 デジタル・ニッポン2015 2016年 最新テクノロジーの社会実装による世界最先端IT 国家実現に向けた提言 デジタル・ニッポン2016 デジタル・ニッポン2011 絆バージョン ~復興、そして成長へ~ 2012年政権復帰 デジタル・ニッポン2013 - ICTで、日本を取り戻す- 2020年世界最先端IT国家の具体像 に関する提言 デジタル・ニッポン2014 IoTやマイナンバーによる新たな国家像 2020年に想定されるIoE/CPS時代 を見据えたIT国家像 サイバーセキュリティが発展したパブリッ ク・セーフティ 新たなIT利活用基盤 新たな経済モデル 国家的なセキュリティの確保 社会課題の解決 「デジタル・ニッポン2016」の経済貢献目標 自民党ICT政策提言「デジタル・ニッポン2016」は最新テクノロジーの社会実装が主目的で、これによるGDP増加 貢献は40兆円にのぼる。 40兆円=第4次産業革命分30兆円 +10兆円(健康立国10兆円、農業改革5.3兆円、 観光立国4.5兆円の合計19.8兆円の約5割) 名目GDP増加分 約100兆円 第4次産業革命 (30兆円) 健康立国 農業改革 観光立国 「デジタル・ニッポン 2016」の貢献目標 40兆円 (10兆円) 既存名目GDP 約500兆円 出所:産業競争力会議 2020年目標 GDP600兆円 H28.4.19. 名目GDP600兆円に向けた成長戦略(次期「日本再興戦略」)案 URL: http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai26/siryou1.pdf その他 増加分約100兆円 の内訳 新たな経済モデルの本格化 シェアリングエコノミー シェアリングエコノミーは新しい経済モデルであり、従来の施策とは違った角度から「1億総活躍社会」や「地方創 生」といった政策課題への貢献が期待できる。 「1億総活躍社会」に貢献するシェア×スキルサービス例 出所:一般社団法人シェアリングエコノミー協会 H28.2.16.当委員会説明資料 「地方創生」に貢献するシェアサービス例 新たな経済モデルの本格化 Fintech 日本でも一通りのFinTechサービスが立ち上がっているが、バンキングアプリや中小企業向け融資はまだあまり進んで いない。 出所:一般社団法人FinTech協会 H27.12.15.当委員会説明資料 新たな経済モデルの本格化 ブロックチェーン 各社が独自にシステム開発を進めた場合、コストの高止まりや開発期間長期化の可能性があるため、IoTサービスと 同様にプラットフォームの実現が求められる。「売買」や「所有者情報の記録」等ブロックチェーンに記録する取引を予め 類型化し、標準機能(モジュール)として提供することで、モジュールの組み合わせによるシステム開発が可能になり、ア プリケーション開発効率化や、事業者参入促進によるIT産業活性化に寄与すると考えられる。 出所:デロイトトーマツコンサルティング合同会社 H28.4.28.当委員会説明資料 自民党のサイバーセキュリティへの対応 ICTの発展には、その負の側面であり急速に高まるサイバー脅威への対策が不可欠だが、自民党は常に積極的 に具体的な提言をしてきた。これらの提言により2014年「サイバーセキュリティ基本法」が実現し、さらに最新状況 に応じて提言を継続し、2016年にはその改正を実現した。 自民党のサイバーセキュリティ対策提言 2011~2012年 情報セキュリティ対策提言 2014年 サイバーセキュリティに関する提言 急速に高まるサイバー脅威への対処 国の主導的な役割の明確化 基本理念等の確立、司令塔の強化 NISCの法制化 情報セキュリティ緊急提言 2015年 サ イ バ ー セ キ ュ リ テ ィ 基 本 法 4月 今後のサイバーセキュリティ政策 の在り方に関する提言 12月 サイバーセキュリティ関係予算確 保に向けた決議 政府機関の保有する情報システムに係るセキュリティ 対策強化に向けた予算の確保 マイナンバー制度のセキュリティ確保のための予算の 確保 平成28年5月の伊勢志摩サミット開催に向けたセ キュリティ対策の強化 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の抜本的 な機能強化 セキュリティ人材の育成に向けた府省連携による積極 的な取組の強化 セキュ リティ関連技術開発への積極的な取組 2016年4月 改正サイバーセキュリティ基本法 サイバーセキュリティ基本法の一部 改正 情報処理の促進に関する法律の 一部改正 国立研究開発法人情報通信研 究機構法の一部改正 監視、監査、原因究明調査等の対象範囲を、国の みならず、独法、指定法人(特殊法人・認可法 人)の一部に拡大 (独)情報処理推進機構(IPA)が独法、指定法 人の一部におけるサイバーセキュリティに関する監査、 原因究明調査等の実施(その他、情報処理安全 確保支援士制度の創設等を規定) (国研)情報通信研究機構(NICT)が国、独法、 重要インフラ事業者、自治体等に対し、NICTが有 する技術的知見や大規模設備を活用したサイバー セキュリティ演習を実施(サイバーセキュリティ戦略本 部に意見を求める) 我が国におけるサイバーセキュリティの取組 ~サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案~ 日本年金機構の情報流出事案等を踏まえ、政府機関等のサイバーセキュリティ対策の抜本的強化を図るため、 サイバーセキュリティ基本法等の改正を行う必要。 国が行う不正な通信の監視、監査、原因究明調査等の対象範囲を拡大 サイバーセキュリティ戦略本部の一部事務を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)等に委託 中央省庁 監査 基 本 法 独立行政法人 特殊法人・認可法人 拡大 現行法 原因究明調査 現行法 拡大 監視(GSOC) 現行法 拡大 サイバーセキュリティ戦略本部が指定 (日本年金機構等を想定) ※ 当該法人におけるサイバーセキュリティが確保され ない場合に生ずる国民生活又は経済活動に及ぼ す影響を勘案 一部事務を委託 (秘密保持義務等を規定) IPAその他政令で定める法人 情 促 法 サイバーセキュリティ対策の強化に係る観点から、以下の規定の整備を行う。 • 本部から委託を受ける事務に係るIPAの業務追加 • 情報処理安全確保支援士制度の創設(名称独占、更新制、秘密保持義務等) • ソフトウェアの脆弱性情報等の公表の方法・手続を整備 8 新たな経済モデルの本格化 ~サイバーセキュリティ保険~ サイバーに関する事故(加害・被害)は、注意しても防ぎきれず、今後増加、社会的問題として深刻化するという 意味では交通事故と類似している。また、1次被害者が2次被害者に賠償責任を問われるリスクも存在する。大企 業のみならず、サプライチェーンを意識して、中小企業のセキュリティレベルの向上にも資する保険制度を推進するべき。 サイバー攻撃対策としての保険の効用(シナリオ) 出所:三井住友海上火災保険(株) H28.3.31.当委員会説明資料 IoT時代を見据えた我が国のセキュリティ政策の在り方 IoT時代を見据え、市場の維持と安定に向けた次世代セキュリティ対策の基盤を官民が 連携して技術開発を行うことにより、インターネット上における「安全」を提供し、他国との 差別化を図り、競争優位をもたらす。 競争政策 ネット ワーク ソフト ウェア サービ ス 研究 技術 開発 サイバーセキュリティにおける協調政策 ~市場の維持と安定~ 10 マイナンバー制度利活用推進ロードマップVer.2 2016年5月24日 自由民主党 政務調査会 IT戦略特命委員会 マイナンバー利活用推進小委員会 2016(H28)年 2017(H29)年 2018(H30)年 2019(H31)年 2020(H32)年 ▽10月:個人番号通知 ▽7月:情報連携・マイナポータルの本格運用開始 ▽1月:番号利用開始 マイナンバーカード交付開始 ▽3月末:カード3,000万枚 ▽3月末:カード8,700万枚 新技術にも対応したITイノベーション社会 ワンカード化の促進 マイナンバー制度導入 マイナンバーカード ICチップの活用 ▽3月末:カード6,000万枚 公務員、独立行政法人、国立大学法人等の職員証、民間企業の社員証としての利用促進 オリンピック会場 入館規制 (7・8月) 印鑑登録証、公共施設利用カード、自治体ポイントカードなど市町村発行の各種カードのワンカード化推進 本人確認後に死亡や住所・氏名の変更があった場合、JLISから事業者へプッシュ通知 金融機関での口座開設、電話契約、古物品販売、などあらゆる本人確認に活用 マイナンバーカードの交付 に当たっては、厳格な本人 確認を行う必要があることか ら、市町村職員の目視に加 え、最新の顔認証システム を補助的に活用する 興行チケット販売時・入場時の本人確認、興行チケットに利用 ⇒ダフヤ対策、2次マーケット育成により新たな産業に貢献 資格試験や入学試験での本 人確認・受験票として利用 ⇒替え玉受験対策 マイナンバーカードに旧姓(通称)や氏名 のふり仮名・ローマ字記載を可能に 公的個人認証法の見直し 公的個人認証の利用を検討 する事業者向け各種ワンス トップサービス窓口の開設 番号制度見直し (利用範囲の拡大) マイナンバーカード 公的個人認証の活用 ⇒イノベーションの鍵 個人番号カードもスマホも持たずに 予め本人確認のうえ登録した生体情 報で代用も可能に! デビッドカード、クレジットカード、キャッシュカード、ポイントカード、診察券、タスポカード、お薬手帳などとして利用 ⇒ワンカード化の促進 ⇒スマホ等のデバイスにダウンロードして代用できるよう研究・関係者との協議のうえ実現 公的個人認証の 民間開放 公的資格証明 ⇒公的資格管理の適正化 マイナンバーカードを活用してCATVやデジタルテレビから マイナポータルをはじめ、官民の様々なサービスを受けられるように! オンラインショッピング、オンラインバンキング、ネット証券の認証に活用 住民票、印鑑登録証明書、戸籍謄本のコンビニ交付の推進 ⇒28年中に対象人口6000万人へ バーチャルレジデント サービスの提供 海外転出者のマイナンバーカード(公 的個人認証)を継続利用可能に 社会保険料・税以外の 公金等の徴収・滞納整理に利用 在外邦人管理制度の創設 選挙制度の見直し 選挙の公正確保のための技 術的課題の克服 在外邦人が国政選挙にネッ トで投票可能に! 旅券制度の見直し マイナンバーカードと 運転免許証と機能一体化 マイナンバーカードによる医 療専門職資格確認 マイナンバーカードによる教員資 格及び研修受講記録確認 証券振替業務など法律に基づき民間事業者が行う公共性の高い業務のうち利 用するメリットの大きい事務へのマイナンバーの利用範囲拡大 医療機関、介護施設等の間での医療・介護・健康情報の管理・連携 ⇒無駄のない、高品質な医療の実現、ビッグデータの活用で医学に貢献 死亡ワンストップサービスの実現 ⇒予め本人が登録した事業者等と死亡情報を共有し、相続手続等を円滑化 健康保険証オンライン資格確認開始⇒2020年までに順次マイナンバーカードを健康保険証として利用 マイナポータル 社 会 保 障 ・ 税 の 手 向続 上の 簡 素 化 ・ 利 便 性 戸籍制度見直し 公的個人認証電子証明書を携帯電話・スマートフォン等のSIMカードに搭載 住民票を有しない在留邦人や 訪日外国人に在外公館等にお いて個人番号カード交付 認証連携/トラストフレームワーク ⇒確定申告に必要な各種書類の電子交付・電子保存推進 公金決済ポータル運用開始 ⇒国税のクレジットカード納付開始(2月) 年金保険料の ワンクリック免除 情報提供等記録開示システム 情報提供 ネットワー クシステム を通じた情 報提供記 録(ログ) の確認、 自己情報 開示、プッ シュ型お 知らせ サービス 全国民がマイナンバーカードを保有できる ⇒すべての国民が安心安全にネット環 境を利用できる権利を有する世界最先 端IT国家へ! 医療費控除の簡素化 安全安心な官民のオンラインサービスの拡充と利便性向上 各種給付申請時に所得証明書や住民票などの添付書類が不要へ 子育てワンストップサービスの実現 ⇒子育て施策を網羅的に検索・閲覧(7月) ⇒保育所に入園手続のオンライン化(10月) ⇒児童手当の現況届のオンライン化(6月) 所得連動型奨学金制度の実現 公金振替口座、公金入金口座の指定 及び変更のオンライン化を実現 災害ワンストップ サービスの検討 災害ワンストップサービスの実現 ⇒必要な制度やシ ステムの整備 生命保険契約、損害保険契約のうちマイナンバーを取得できるものは災害時に備えて順次取得 法人ポータルの本格運用開始 安心安全にビッグデータ・パーソナルデータを利活用し、 国民利益に還元する社会 国民が情報を管理される社会から、 自己情報を管理・コントロールする社会 災害時の利用も念頭に預貯金付番を推進。役所から保険料や税の口座振替依頼書等を通じて金融機関へのマイナンバーを提供 国、地方公共団体等の既存の法人情報サイトとの連携APIを公開 官民データ活用推進基本法案の位置付け 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年成立) ITの進展により生じている社会経済構造の変化への対応の緊要性に鑑み、基本理念、国及び地方公共団体の 責務を明らかにし、主にインフラ整備の側面から、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の迅速かつ 重点的に推進することを目的に制定。 社会環境の変化に伴う補完・拡張 個人情報の保護に 関する法律 (平成十五年成立、平成二十七年改正) 個人情報の適正な取扱い サイバーセキュリティ基本法(平成二 十六年成立) 官民データ活用推進 基本法案 社会基盤のサイバーセキュリティ強化 データを活用した、安全・安心、快適に 暮らすことができる社会の実現 NISCによる 独法・重要インフラ等への 監査権限等 官民データの活用の推進等 個人情報(マイナンバー(個人番号)を 含む。)の有用性に配慮しつつ、その適 正な取扱いを確保するために設置 個人情報保護委員会 の設置 (平成二十八年発足) サイバーセキュリティ戦略本部の 設置 (平成二十七年発足) 官民データ活用推進本部の 設置 官民データ活用推進基本法案の概要 未定稿 目 的 官民データの活用の推進に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにするとともに、官民データの活用の推進に関する 施策の基本となる事項を定めることにより、官民データの活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって我が国が直面する課題の解決、新た な事業の創出等を通じて、国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与する。 法案の構成等 第2章 官民データ活用推進基本計画 第1章 総則 ◆ 法律の目的(1条)、定義(2条)、基本理念(3条)、国、地方公共団体、事業者の責務(4 ~6条)、法制上、財政上の措置等(7条) ◆「官民データ」とは、電磁的記録(※1)に記録された情報(※2)であって、国、地方公 共団体又は事業者によりその事務又は事業の遂行に当たり管理され、利用され、又は提 供されるものをいう。(2条) ※1 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で 作られる記録をいう。 ※2 国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来す ことになるおそれがあるものを除く。 基本理念 官民データの活用の推進は、 ①少子高齢化の進展等の我が国が直面する課題の解決(3条1項) ②個性豊かな地域社会、活力ある日本社会(3条2項) ③新産業の創出、国際競争力の強化(3条3項) ④施策の企画立案における官民データに基づく根拠の活用(3条4項) ⑤IT基本法、個人情報保護法等による措置と相まって実施(3条5項) ⑥安全性及び信頼性の確保、個人及び法人の権利利益の保護、国の安全等への 配慮(3条6項) を通じて、安全・安心・快適に暮らすことのできる社会の実現に寄与することを旨として、 行われなければならない。 官民データの活用の推進に当たっては、 ⑦行政分野等での情報通信技術の更なる活用等(3条7項) ⑧個人等の権利利益の保護を図りつつ、円滑に流通することが確保される基盤の 整備(3条8項) ⑨規格の整備や互換性の確保等による多様な主体の連携確保(3条9項) ⑩AI、IoT等の先端技術やクラウドの活用(3条10項) を行わなければならない。 施行期日 公布日 政府による官民データ活用推進基本計画の策定(8条) 都道府県による都道府県官民データ活用推進基本計画の策定(9条) 市町村による市町村官民データ活用推進基本計画の策定(努力義務)(9条) 第3章 基本的施策 ア.行政手続等に係るオンライン利用の原則化(10条) イ.民間事業者等の手続に係るオンライン利用の促進(11条) ウ.国・地方公共団体・事業者が自ら保有する官民データの活用の推進等、 関連する制度の見直し(コンテンツ流通円滑化含む)(12条) エ.個人の関与の下での適正に官民データが活用できる基盤の整備(13条) (データ流通における個人の関与の仕組み等) オ.情報システムに係る規格の整備、互換性の確保、業務の見直し、 多様な分野における官民の情報システムの連携及び協調のための基盤 の整備(サービスプラットフォーム)(15条) カ.地理的な制約、年齢等その他の要因に基づく情報通信技術の利用機会 又は活用に係る格差の是正(16条) キ.国及び地方公共団体の施策の整合性の確保(20条) ク.その他、マイナンバーカードの利用(14条)、研究開発の推進(17条)、人材の 育成及び確保(18条)、教育及び学習振興、普及啓発等(19条) 情報利用開発等事業者 第4章 官民データ活用推進本部 計画の策定及びこれに基づく施策の実施等に関する体制の整備(本部長によ る重点分野の指定等(24条3項))(21~31条) 本部長による関係行政機関の長に対する勧告等(24条5項) 地方公共団体への協力(28条) ご参考 官民データ利活用の事例 1.災害時におけるSNSによる情報共有 防災・減災 熊本地震の際、自治体や住民がSNSを活用し、救助や生活支援において情報共有(震度5弱以上 の80団体のうち28団体(28.7%))(東日本大震災の際はSNSを活用した自治体は6%) 【概要】 災害 課題 安否情報、支援物資情報、水漏れ情報等の様々 自治体 の情報 提供 な生活情報を共有。 併せて、震災直後から迅速かつリアルタイムに情報 【成果等】 SNSを活用し、迅速な安否確認のみならず、ボラン 熊本地震(2016.4.14) 仙台市など停電やアクセス集中で、自 治体ホームページが一時喪失した 熊本市など非常用電源の使用や、Yahoo が自治体の代理サーバを立てるなどし、継続 運用された 情報発信がホームページ中心であった ため、情報の拡大・周知ができなかっ た 緊急メールやSNSを組み合わせ、多様なメ ディアで情報を拡大・周知できるようになっ た ⇒避難所の開設情報や水道の漏水箇所の確認 などに利用 (SNSを活用した被災地域の自治体は震度 5弱以上の80団体うち28.7%) (SNSを活用した被災地域の自治体 は6%) 発信を継続。 活用データ:ソーシャルネットワーク 東日本大震災(2011.3.11) 安否確 認や被 災者の 需要把 握 主に電話・Faxで、 ・避難先の安否確認や避難所の支援要 望を把握 ・家族・知人・学級などで安否確認を 実施 一部はSNSを活用し、 ・支援要望の把握や支援のマッチングをWE B上で実施 ・安否確認はリアルタイムに実施 複数の安否確認WEBサービスが開始 されたが、迅速性や確実性にばらつき があった 発災後2時間程度で安否確認WEBサービス が開始され、サービス間での連携も進む ⇒利用者は一度に登録・検索・確認が可能に なる ティアによる支援物資の円滑な運搬等にも寄与。 SNS緊急情報を受信した人口は想定390万人。 15 2.ナイト・ストリート・アドバイザー 防犯 自治体の保有する街路灯に関するデータを活用し(オープンデータ)、街路灯の場所を地図上にヒート マップ化。(高等専門学校生らが、地域課題の解決に向け開発) 【概要】 自治体(名古屋市)から提供された街路灯のデー タを活用し、明石高専の「Code for KOSEN」チーム によって開発。 暗い夜道では、犯罪率が高まるとのデータに基づき、 防犯対策として、街路灯の場所を地図上に明示する とともに、明るいルートを検索して表示することが可能。 活用データ:オープンデータ 【成果等】 市民に対し、暗い夜道を歩かなくても目的地に着くこ とのできる安心を提供。 同システムについては、静岡県にも横展開中。 16 3.イーグルバス 地方創生 バスに簡易なセンサーを設置し、データを活用したバス路線の最適化等を通じ、事業経営を黒字化。 さらに、新しいハブ停留所を設置し、生活関連施設を整備するなど、地域活性化にも寄与。 【概要】 バスの入口と出口にセンサーを配置し、区間毎・時 間帯毎の乗車率を把握(運行状況の見える化) この区間毎・時間帯ごとのデータを基に、最適なルー ト、時間を設定し、ルートの改廃及び新たなハブ停留 所を設置。 輸送の効率化、経営の安定化とともに、銀行ATM、 コンビニ、郵便局等の整備により地域活性化。 活用データ:IoT 【成果等】 車両数を増加させることなく、輸送量を1.5~3倍に 拡大。企業としての収益改善と同時に、地域住民の 利便性を高めた。 同システムは、函館市及びミャンマー・ヤンゴン市のバ スにも採用。 17 4.Proteus Digital Health(米国) 医療・ヘルスケア ICチップとスマートフォンを活用し、患者の服薬状況に関するデータを収集。服薬忘れや過剰服薬を防止 し、特に、慢性疾患患者における医療費の削減を目指す。 【概要】 錠剤に、胃液と反応すると微弱な電波を発するIC チップを組込み、スマートフォンを通じ、服薬の有無を 医療機関に送信する技術。 当該技術を活用した、大塚製薬の抗精神薬「エビリ ファイ」が、米国FDAから認可を取得。 活用データ:IoT 【成果等】 患者にとっては、服薬忘れ及び過剰服薬の防止。 慢性疾患患者の約半数は処方通り服薬していない との指摘もあり、米国での服薬不良による過剰支出は 1,000~3,000億ドルと推定。 18 5.呉市国保の健康管理推進システム 医療・ヘルスケア 呉市では、市民(国保被保険者)のレセプト・健診データの解析を行い、①糖尿病重症化高リスク群、 ②生活習慣病予備群、③先発医薬品利用者を抽出。集中指導やジェネリック医薬品への変更勧奨を 実施、呉市国保全体で年間約2.9億円の医療費削減に成功。 【概要】 国保被保険者のレセプト・健診データを、大学発ベ ンチャーに提供して解析。医療費の増要因となり得る 被保険者(①糖尿病重症化高リスク群、②生活習 慣病予備群、③先発医薬品利用者)を抽出。 重症化リスクの高い糖尿病患者等を訪問して食事・ 生活指導、先発医薬品利用者へジェネリック医薬品と の差額通知等、様々な取組を実施。 活用データ:パーソナルデータ 【成果等】 被保険者の重症化リスクを抑え、また生活習慣病を 予防することで、市民の金銭的負担、生活面での負 担を抑制。差額通知によってジェネリック医薬品へ8割 が切替え。 その他の取組も合わせて、年間約2.9億円の医療 費削減に成功。 19 6.ルナルナ(エムティーアイ) 子育て支援 スマートフォンのアプリを通じ、体温計(IoT機器)のデータを活用し、「妊活」アドバイスを提供。 (実績データに基づき新たなアルゴリズムを開発、一人ひとりに合わせた最適な提案を配信) 【概要】 古くから活用されてきた荻野式に代替するものとして 開発。 スマートフォンのアプリを通じて個人のデータを収集。 実績データの解析によって生み出した、独自アルゴリズ ムを採用し、提案の精度を向上。 活用データ:パーソナルデータ/IoT 【成果と拡がり】 会員数は540万人(2014年時点) 利用者の妊娠率を1割以上向上させているとの報告 もあり。 20 7.Total Weather Insurance(米国) 農業の高度化 気象や土壌に係るデータを活用し(オープンデータ)、耕作地及び作物毎の収穫被害の発生率を精緻 に算出。(このデータに基づき、きめ細かく保険料率を設定し、個々の農家、作物ごとにきめ細かい農業保 険を展開) 【概要】 米の国立気象サービスがリアルタイムに提供する地域 毎気象データ、農務省が提供する過去60年の2平方 マイル単位の収穫量や土壌情報の解析により、地域 や作物毎の収穫被害発生確率を精緻に算出。 この確率に基づき、個々の農家、耕作地に合わせた きめ細かい農業保険をリアルタイムで提供。 活用データ:オープンデータ 【成果等】 きめ細かい保険料の設定、悪天候の際の支払いの 自動化等、農家の手続等における負担減。 分析技術を活用し、天候の予測等、Climate Pro (有料)/Basic(無料)の2つの農業ダッシュボー ドサービスも開始。 21 8.e-kakashi(PSソリューションズ・日立製作所) 農業の高度化 農地に設置したセンサーで収集される様々なデータを活用し、最適な作業内容をアドバイス。 (実際の環境に合わせた栽培技術や篤農家のノウハウを蓄積することにより、技術継承にも期待) 【概要】 圃場に設置したセンサーから温度・湿度、日射量、 土壌内の温度・水分量・CO2量等のデータを収集。 これらのデータと、現場で蓄積されてきた栽培技術、 過去の論文等の知見を照らし合わせ、各々の農家、 作物に応じたきめ細かい指導を実現。 活用データ:IoT 【成果等】 2008年から自治体(京都府与謝野市)や農業 協同組合(JA栗っこ等)、研究機関等、全国15カ 所でフィールド実証を実施。2015年10月より販売。 収量や品質向上のみならず、農業技術継承のため のツールとしても期待。 22 9.midata – GoCompare.com(英国) フィンテック 官民共同で、個人が本人のデータを自らコントロールし、他社に渡すことのできる仕組みを構築。 (具体的には、個人向けの金融アドバイスを行うサービスを開始中) 【概要】 2011年から英国政府主導で、事業者が集めた個 人の金融取引、公共料金、通信費履歴などのデータ に、消費者がmidataのウェブサイトを通じて自らアクセ スし、他社に渡すことのできるプロジェクト。 2015年3月より、GoCompare.com社がこの仕 組みを活用し、金融アドバイス事業を開始中。 活用データ:パーソナルデータ/オー プンデータ 【成果等】 GoCompare.com社が金融取引データを分析し、 最適な金融サービスを提案。ユーザーの取引手数料 の削減等を実現。 一般的ユーザーで年70ポンド(約1.1万円)、ヘビー ユーザーで年270ポンド(約4.4万円)の削減効果。 23 10.マネーフォワード フィンテック 個人から金融機関等のIDとパスワードを預かり、金融資産や購買履歴等を一元的に閲覧できる仕組み を構築。(これらのデータの分析に基づき、顧客ごとに「ムダ遣い」防止等のアドバイスを実施) 【概要】 個人から金融機関等のIDとパスワードを預かり、各 金融機関やポイントカード等の情報をネット上で取得、 一人ひとりの金融状況を簡易に確認できるよう一元化。 収取される 情報 これらのデータを統合的に分析することにより、平均 的な支出額、支出割合等を算出、個人に対して使途 別の利用金額削減等のアドバイスを実施。 活用データ:パーソナルデータ 【成果等】 個人の資産や買物状況の把握を容易にし、適切な 管理を提案。 現在の、アクティブユーザーは350万人。 24 11.スマートドライブ その他 自動車に標準装備されているOBDポートを活用、デバイスとスマートフォンを介して運転情報を蓄積。 (運転情報に基づき、顧客ごとの損害保険(テレマティクス保険)の実現に向け準備中) 【概要】 全ての自動車に装備されるOBDポートに専用のデバ イスを装着し、速度や加速等自動車の様々な運転情 報を収集。スマートフォンを介して蓄積し、アプリや Web上で本人の運転情報を確認できるアプリを提供。 運転情報に基づき、個人の特徴を把握、自動車保 険(テレマティクス保険)に反映。 活用データ:IoT 【成果等】 スマートドライブ社はアクサ損害保険と提携し、テレマ 将来的展開 ティクス保険の具体的なサービスを準備中。 運転情報に加え、外部事業者から過去の車両整備 情報を取得することにより、車のライフサイクル全体への サービスを提供することについて検討中。 25
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