サイトの生活環境を反映した被ばく経路の設定 と評価技術の高度化 仕様書

サイトの生活環境を反映した被ばく経路の設定
と評価技術の高度化
仕様書
2016年8月
原子力発電環境整備機構
1. 委託件名
サイトの生活環境を反映した被ばく経路の設定と評価技術の高度化
2. 委託業務の内容
2.1 背景・目的
原子力発電環境整備機構(以下、「機構」という)では、 これまで、一般的な生活圏環
境を反映した生活圏評価モデルの確立を目指して第2次取りまとめの検討成果を利用し、国
内外の最新知見を反映して、わが国の生活圏環境を類型化、単純化しながら評価・検討を実
施してきた。しかしながら、候補サイトが特定された段階においては、サイト特有の地質環
境中の核種移行に応じて放射性物質の地表圏への流出域とフラックスが複雑になることが
想定される。そのため、わが国の表層水理状況および生活圏環境を詳細に反映した評価が可
能となるよう、より精緻で具体的な評価解析モデルの構築が必要となる。
さらに、既往検討では、代表的な被ばく者として、最大被ばくを受けると想定される屋外
での第 1 次産業従事者のみを評価対象としているが、現代日本で大多数を占める第 1 次産業
以外の従事者や屋内作業従事者の評価ができていない。そこで、食物生産地の多様化による
市場希釈や、影響評価検討地域の拡大などに対応するため、わが国の多様な生活様式を具体
的に模擬した影響評価事例の提示が求められる。
本検討においては、 将来の具体的なサイトにおける生活圏被ばく評価の準備として、3次
元地質環境モデルを基に地表面への放射性核種の排出領域を考慮し、空間分布を含めた現実
的な被ばく線量結果が提示できるよう、地質環境およびその時間的変遷を考慮した生活圏モ
デルを整備する。
2.2 委託業務の項目
① サイトの生活圏環境を反映した生活圏評価モデルの構築
② 評価パラメータの整備および線量への換算係数への影響把握
③ 本検討成果に基づくDCFの算出および既往成果との比較分析
④ 国内外の専門家の知見の収集・整理
3. 委託業務の概要
3.1 サイトの生活圏環境を反映した生活圏評価モデルの構築
(1) 国内外の地表水理状況および生活圏環境の評価手法の調査および適用性検討
わが国の地表水理状況および生活圏環境をより詳細に反映した具体的な評価モデルを構築
するため、国内外の地表水理状況および生活圏環境の評価手法に関する情報(スウェーデン
における使用済み燃料地層処分に関する評価事例や青森県における低レベル廃棄物処分に
関する評価事例等)を収集し、生活圏評価モデルへの適用を検討する。
(2) わが国の地表の地質環境および生活環境を詳細に反映した生活圏評価モデルの構築
わが国の地表の地質環境および生活環境をより詳細に反映した下記生活圏評価モデルを構
築する。
①詳細化した地表地質環境における水理状況を反映した核種移行プロセスモデル
1
複数の流出点を反映できるように地質環境コンパートメント群を細分化し、任意のフラ
ックスに対する核種移行状況を解析するための核種移行プロセスのモデル(1 ケース)を
構築する。
②多様な生活様式を模擬した被ばくプロセスを解析するためのモデル
多様な生活様式を具体的に模擬した評価を実施できるよう、既往モデルで考慮している
第一次産業従事者 3 グループに加え、標準的な生活をするグループ(都市生活者や屋内作
業従事者,等 2 グループ以上)を想定し、市場希釈を考慮した標準的な生活と被ばくプロ
セスを様式化(市場希釈:有/50%/無の 3 パターン程度)して設定する。
3.2 評価パラメータの整備および線量への換算係数への影響把握
3.1で構築された詳細な生活圏評価モデルに使用するパラメータ(別添 既往モデルで使用
するパラメータ参照)を収集・整備する。さらにサイトが特定された際に速やかに当該地域
情報を取り入れた安全評価を実施できるよう、線量への換算係数(以下、
「DCF」という)
への影響度の大きい評価パラメータを特定する。
3.3 本検討成果に基づくDCFの算出および既往成果との比較分析
わが国の代表的な地表の地質環境および生活圏を設定し、3.1で構築された評価モデルと3.2
で整備された評価パラメータを用いてDCFを算出し、既往の単純化されたモデルでの評価結
果と比較分析するための資料を作成する。
3.4 国内外の専門家の知見の収集・整理
国内外の専門家の知見や国際的な生活圏評価のプロジェクト(BIOPROTAやMODARIA
等)における成果を踏まえて、生活圏評価研究に関する最新知見を収集・整理し、その適用
可能性を検討する。
4. 報告書の作成
3.1~3.4の成果を報告書としてまとめる。
5. 実施期間
契約締結日 ~ 2017年3月17日
6. 委託者側実施責任者
原子力発電環境整備機構 技術部長 出口 朗
〔担当箇所:技術部 性能評価技術グループ〕
7. 実施場所
受託者にて適切な実施施設を準備して使用する。
2
8. 提出書類等
提出書類等一覧表
提出書類等
提出期限
提出先
提出部数
実施計画書注1)
契約締結後速やかに
技術部
1部
印刷物
委託成果報告書
2017年3月17日
技術部
1部
印刷物
各報告書の電子
ファイル
2017年3月17日
技術部
一式
マイクロソフトWord形式及
びPDF形式でCDまたはDVD
に保存して提出
一式
整備したデータセット,上記
報告書に使用した図表,描画
等のデータはppt,excel等適切
なファイルで作成し、上記報
告書とともに保存して提出
整備したデータ
セット,図表,描
画等データ注2)
2017年3月17日
技術部
備考
注1)実施計画書は、仕様書に記載された委託業務の範囲を実行するうえで、具体的な計画,
実施工程,実施体制(再委託を含む)
,品質保証計画等を記載したものとする。
なお、実施計画書は、企画書に記載された内容を反映して作成するものとする。
委託成果報告書は、機構の「業務委託及び役務調達における技術報告書作成マニュア
ル」に準拠して作成するものとする。
注2)解析モデルや入力データセット,解析結果は、作業に進捗に応じて提出し、提出期限
には、それらをまとめて提出すること。なお、期限前の提出に関する内容と期限は、
機構と協議の上決定する。
9. 特記事項
① 本仕様書に記載されている事項及び本仕様書に記載のない事項について疑義が生じた
場合には、機構と協議のうえ、その決定に従うものとする。
② 機構が既に行った調査資料で、本業務に必要なものは随時提供する。
③ 納入日より1年以内に受注者の責任に帰すべき瑕疵及び不都合が発見された場合には、
無償にて速やかに必要な措置を講じること。
以上
3
別添
表 既往の生活圏評価モデルで使用するパラメータの種類
パラメータ
コンパート
メント諸量
コンパート
メント間の
移行プロセ
スに係るパ
ラメータ
深さ
面積
体積
間隙率
体積含水率
浮遊物堆積量
水の密度
コンパートメントの密度
灌漑水量
年間浸透/流出量
年間洪水量
河川流量
地下水流量
海洋拡散による希釈水量
侵食速度
浚渫/蛇行により堆積する堆積物量
河川堆積層からの再浮遊量
河川における堆積物の年間沈殿量
ベッドロード量
沿岸海域での生物擾乱による拡散係数
沿岸海域における堆積物の年間沈殿量
年間の正味の沈殿量
半減期
内部被ばくに対する実効線量換算係数
外部被ばくに対する実効線量換算係数
食物等の
摂取量
農作物
kg/y
畜産物
kg/y
淡水産物
kg/y
海産物
kg/y
その他
ダスト
レベル
備考(パラメータ種類等)
河川,河川堆積層,深井戸,
表面土壌,下部土壌,沿岸
海水域,沿岸海域堆積層の
各コンパートメントにつ
いて設定
評価対象核種毎
評価対象核種毎
評価対象核種毎
根菜,葉菜,穀物,米,果
物
牛肉,羊肉,豚肉,鶏肉,
牛レバー,鶏レバー,鶏卵,
牛乳
淡水魚,淡水甲殻類
海水魚,海洋甲殻類,軟体
動物,海藻類
m3/y
水
土壌
kg/y
m3/h
h/y
kg/m3
kg/m3
kg/m3
呼吸率
滞在時間
人間活動
単位
m
m2
m3
kg/m3
kg/m3
kg/m3
m3/y
m/y
m3/y
m3/y
m3/y
m3/y
m/y
m3/y
m/y
m/y
kg/y
m/y
m/y
m/y
y
Sv/Bq
(Sv/h)/(Bq/m3)
農業従事者
淡水漁業従事者
海洋漁業従事者
m3/m3
エアロゾルレベル
4
農業従事者,淡水漁業従事
者,海洋漁業従事者
河川水,表面土壌
河川堆積層
沿岸海域堆積層
家畜に関するデータ
農作物の栽培
飼料摂取量
kg/d
牛,羊,豚,鶏
土壌摂取量
kg/d
牛,羊,豚,鶏
3
m /d
牛,羊,豚,鶏
3
水摂取量
呼吸率
m /h
牛,羊,豚,鶏
放牧時間
h/d
牛,羊,豚,鶏
2
飼育密度
1/m
農作物への土壌の付着量
kg/kg
農作物の栽培密度
kg/m2
農作物に利用される単位面積あ
たりの灌漑水量
農作物による灌漑水の付着割合
m/y
m /kg
農作物への移行係数
根菜,葉菜,穀物,牧草,
米,果物
3
土壌などの分配係数
牛,羊,豚,鶏
評価対象核種毎
(Bq/kg)/(Bq/kg) 評価対象核種毎
牛肉
d/kg
評価対象核種毎
豚肉
d/kg
評価対象核種毎
鶏肉
d/kg
評価対象核種毎
牛乳
d/kg
評価対象核種毎
鶏卵
d/kg
評価対象核種毎
羊肉
d/kg
評価対象核種毎
牛レバー
d/kg
評価対象核種毎
鶏レバー
d/kg
評価対象核種毎
淡水産物への濃縮係数
ℓ /kg
評価対象核種毎
海産物への濃縮係数
ℓ /kg
評価対象核種毎
ウェザリング率(根菜,葉菜,穀物,牧草,米,果物)
1/y
評価対象核種毎
転流割合(根菜,葉菜,穀物,牧草,米,果物)
-
評価対象核種毎
農作物表面汚染の調理時ロス割合(根菜,葉菜,穀物,
米,果物)
-
評価対象核種毎
エアロゾルにおける濃縮係数
-
評価対象核種毎
畜産物への濃縮係数
5