第12回:マンデル=フレミング・ モデル(3) 国際金融論I 1 概要 1. 2. 3. 4. 今回のねらい 変動レート制のMFモデル 国際金融のトリレンマ 例題 国際金融論I 2 1. 今回のねらい • 変動レート制のマンデル=フレミング・ モデルを理解する。 • 国際金融のトリレンマについて理解す る。 国際金融論I 3 2. 変動レート制のMFモデル • 変動レート制のMFモデル 「総合収支不均衡⇒為替変動圧力⇒貿 易収支変動」が理解のカギ。 • 不胎化と非不胎化 変動レート制では為替変動により必ず 𝐵𝑃 = 0、 となるため、不 胎化or非不胎化の議論は出てこなくなる。 国際金融論I 4 総合収支不均衡と為替変動 • 𝐵𝑃黒字(赤字)=邦貨超過需要(供給) • 邦貨高(安) • マーシャル=ラーナー条件のもとで、貿易 収支赤字化(黒字化) • 𝑋0 − 𝑀0 が減少(増大) 国際金融論I 5 MFモデル • MFモデル 為替変動によって変化 IS曲線 v Y sm LM曲線 i C0 I0 G X 0 M 0 sm 1 Z i Y L0 l lP k BP曲線 i 為替変動によって変化 m k Y 1 k ( X 0 M 0 KA 0 ) i 国際金融論I * 0 6 2-1. 変動レート下の財政政策 資本可動性ゼロのケース i BP’’ BP • 財政拡大、IS右シフト。 ↓ • A:財・貨幣市場均衡、TB赤 字、KA均衡。BP赤字。 LM B • 邦貨安。IS右シフト、BP右 シフト。 ↓ • B:財・貨幣市場、BP均衡。 • Y上昇、i上昇。 • 財政政策の効果を為替の 変化が増幅する。 IS’’ A E IS’ IS Y 0 国際金融論I 7 低資本可動性のケース i BP BP’’ • 財政拡大、IS右シフト。 ↓ • A:財・貨幣市場均衡、TB赤 字>KA黒字。BP赤字。 • 邦貨安。IS右シフト、BP右 シフト。 ↓ • B:財・貨幣市場、BP均衡。 • Y上昇、i上昇。 • 財政政策の効果を為替の 変化が増幅する。 LM B IS’’ A E IS’ IS 0 Y 国際金融論I 8 2-2. 変動レート下の金融政策 資本可動性ゼロのケース i • 金融緩和、LM右シフト。 ↓ • A:財・貨幣市場均衡、TB赤 字、KA均衡。BP赤字。 BP’’ BP LM LM’ • 邦貨安。IS右シフト、BP右 シフト。 ↓ • B:財・貨幣市場、BP均衡。 • Y上昇、i?。 • 金融政策の効果を為替の 変化が増幅する。 E B A IS’’ IS Y 0 国際金融論I 9 高資本可動性のケース i • 金融緩和、LM右シフト。 ↓ • A:財・貨幣市場均衡、TB赤 字、KA赤字。BP赤字。 LM LM’ BP • 邦貨安。IS右シフト、BP右 シフト。 ↓ • B:財・貨幣市場、BP均衡。 • Y上昇、i?。 • 金融政策の効果を為替の 変化が増幅する。 BP’’ E B A IS’’ IS 0 Y 国際金融論I 10 3. 国際金融のトリレンマ • 為替安定、完全資本移動、金融政 策独立性の3つの目標は同時達成 出来ない(2つまで)。 • 完全資本移動のMFモデルから、トリ レンマの存在が明らかになる。 国際金融論I 11 完全資本移動のケース • k→∞のケース。 i m k Y 0 1 k ( X 0 M 0 KA 0 ) i ii 0 * 0 * 0 • BP曲線が横軸と並行になる。 • 為替が変化しても • 潜在的な資本流出入が無限であるため、固定 レート下で、当局は不胎化を行うことが出来ない。 国際金融論I 12 固定レート下の金融政策(k→∞) i • 金融緩和、LM右シフト。 ↓ • A:財・貨幣市場均衡、TB赤 字、KA赤字。BP赤字。 LM LM’ i * • MB減少。LM左シフト。 ↓ • E:財・貨幣市場、BP均衡。 • Y不変、i不変。 • 金融政策の効果をMBの変 化が完全に相殺する。 BP E A IS Y 0 国際金融論I 13 変動レート下の金融政策(k→∞) i • 金融緩和、LM右シフト。 ↓ • A:財・貨幣市場均衡、TB赤 字、KA赤字。BP赤字。 LM LM’ i * • 邦貨安。IS右シフト。 ↓ • B:財・貨幣市場、BP均衡。 • Y増大、i不変。 • 金融政策の効果を為替の 変化が増幅する。 B BP E A IS’ IS Y 0 国際金融論I 14 トリレンマのイメージ 完全資本移動 ハードペッグ 自由変動 金融政策独立性 為替安定 ソフトペッグ 国際金融論I 15 為替相場制度の分類 自由変動(35) 変 動 相 場 制 度 ソフトペッグ(104) 管 理 フ ロ ー ト 制 度 B B C ル ー ル バ ス ケ ッ ト ・ ペ ッ グ ド ル ・ ペ ッ グ ハードペッグ(48) カ ド 通 レ ル 貨 ン 化 同 シ 盟 ー ・ ボ ー ド ()内は国の数(http://www.imf.org/external/np/mfd/er/2004/eng/1204.htmを参照) 国際金融論I 16 欧州通貨同盟 • 1999年、欧州の共通通貨ユーロが誕生。 • 通貨同盟はハードペッグの一例。 • ユーロ域内は完全資本移動+固定相場制 のもとで、加盟国が独立的金融政策を放 棄している状態にある(トリレンマの一例)。 • 財政政策面での協調が進んでいないこと が問題とされている。 国際金融論I 17 4. 例題 • 変動レート制のMFモデルで、 高資本可動性のケースの財政拡大 が、所得、金利に与える影響につい て、図を用いて説明せよ。 低資本可動性のケースの金融政策 についても同様に説明せよ。 国際金融論I 18
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