回リハ病棟 実態調査の意義 - 回復期リハビリテーション病棟協会

回リハ病棟協会では、2001 年より全国の回リ
ビジョン」が都道府県で策定されつつある。患者
ハ病棟の状況に関してデータを蓄積してきた。毎
ニーズに関しては、回リハ病棟は適応疾患と病期
年、60%を超える病院の皆様の協力を得て、世界
が規定されているため自ずと需要には上限がある
的に見てもユニークな病棟の変遷を客観的に俯瞰
はずである。事実、回リハ病棟で脳卒中患者の占
し分析できることは、当協会や日本のリハ医療に
める割合は、脳卒中発症の疫学を反映して人口あ
とっても大きな強みである。結果は実態調査報告
たりの回リハ病床数と線形関係にある。
書としてお届けしているが、病院の各スタッフに
2014年に特定入院料として導入された地域包括
まで行き届いているとはいえず、ベンチマークと
ケア病棟にも“回復期”としての役割への期待が
して利用しにくい側面もあるので、本号p6∼
大きいが、同病棟には原疾患の規定がない。地域包
p20 にポイントを
読み物として簡潔
にまとめてみた。
その中で懸念さ
れるのは、回リハ
病棟に投入された
括ケア病棟(病床)
巻頭言
は 1 年間で 3 万床
以上増加したが、
回リハ病棟
実態調査の意義
回リハ病棟は 3 万
床になるに 6 年か
かっている。回リ
右肩上がりの医療
ハ病棟が「回復期」
費と比較し、ADL
として、特異的な
改善度や在院日数
役割を果たすため
などに変化が少な
には、チーム医療
い点であろう。
の素地となる多職
種の専従要件、出
そこで、アウト
カムに関して2016
年度改定で導入さ
れた「実績指数」
宮井 一郎
来高の高単位リハ、
当協会副会長 保険・調査委員長(森之宮病院 院長代理、医師)
入院料における重
度障害者の受け入
に関する分析を追
れとその改善、リ
加した。実績指数
ハ出来高算定に対
は疾患構成の補正により病棟間比較が可能なこと、
するアウトカム要件(実績指数)など、地域包括
FIM改善と在院日数のトレードにより最適なゴー
ケア病棟との比較においてコントラストがある部
ル達成期間を設定する指標になり得ることが利点
分で突き抜けている必要があろう。2013年度より
である。FIMが正確に評価されていることが前提
導入した実態調査の情報公開、入院料1に対する
であるので、その上でアウトカム改善に取り組む
第三者評価の導入の提言も、同じ文脈での回リハ
ことが必要である。
協会の取り組みである。実際、
2015年度実態調査で
次の懸念は回リハ病床数と地域ニーズのミスマ
も認定病院のアウトカムの優位性が示されている。
ッチである。2014 年の医療介護総合確保推進法
今後とも調査へのご協力と報告書や情報公開の
により、病床機能報告制度が導入され、
「地域医療
ベンチマークとしての活用をお願い申し上げたい。
回復期リハビリテーション◆ 2016.7
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