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免疫生物学教室へようこそ
マスト細胞の成熟
免疫系とは何だろう?
「自己」の組織
花粉
食品
ハウスダスト
免疫系
微生物
ウイルス
寄生虫
造血幹細胞
自己複製(増殖)
腫瘍(がん細胞)
炎症反応
マスト細胞前駆細胞
免疫系とは「自己」と「非自己」を区別するシステムです。ヒトの身体は、毎日、
病原体との戦いを行っています。敵を区別して攻撃するためには、まずは味方が区別
できなければいけません。また、いくら「非自己」といっても、普段からなじみ深い
食物や、環境物質(その中には花粉もあります)を敵として認識して攻撃する必要は
ないわけです。免疫系はこのようになかなか難しい判断のもと、ヒトの身体を病原体
から防御しているわけです。
免疫系がうまくはたらかないと・・・
免疫系
成熟
末梢組織
(「自己」の一部)
細胞
自己免疫疾患
細胞外マトリックス
マスト細胞の成熟する過程に関しては判らな
いことがたくさんあります。アレルギー疾患を
克服するためには、私たちはこの細胞のことを
もっとたくさん知らなければいけないでしょう。
マスト細胞
研究室で最近判ったこと
(病原性のない異物)
花粉
アレルギー疾患
食品
ハウスダスト
I
E が結合することによるマスト細胞の活性化
サイトカイン
ケモカイン
免疫系の基本的な機能である「自己と非自己の識別」がうまくいかないとどうなるで
しょうか?例えば自己の組織を敵と見なすことによって、自己免疫疾患と呼ばれる病気
が発生します。一方で、病原性を持たない「非自己」に対して過剰な攻撃が行われるこ
とによりアレルギー疾患が発生します。
I
E 濃度の亢進
ヒスタミン合成の促進
サイトカイン産生の増大
接着の促進
I
E 受容体数の増加
アレルギー反応とは?
抗原
培養日数
脱顆粒
サイトカイン
ケモカイン
慢性アレルギー患者ではしばしば血中の I
E 抗体の濃
度が、健常者の数十倍から百倍以上に上昇することが知ら
れています。また、血中 I
E の濃度を下げることでアレ
ルギーの症状が軽減することも判っていますが、何故 I
E
濃度が高いとアレルギー症状がひどくなるのかは不明でし
た。私たちは、I
E が未成熟なマスト細胞に結合するだけ
で、抗原が存在しなくてもマスト細胞の機能が強化される
こと、特にアレルギーで主要なメディエータであるヒスタ
ミン合成が促進されることを世界で初めて見つけました。
I
E
(イムノグロブリン E)
SCF
-
免疫系を構成する細胞は、血液中の白血球が
その殆どを占めます。血球系細胞と呼ばれるこ
のグループは、全て骨髄中に存在する造血幹細
胞という1種類の細胞に由来します。
多くの免疫細胞は骨髄中で成熟しますが、マ
スト細胞は未成熟なまま血流にのって、末梢の
組織に侵入した後に、成熟します。そのため、
マスト細胞の性質は存在する環境の影響を強く
受けます。
ヒスタミン
プロテアーゼ
血管透過性の亢進
発赤
膨疹
気管支の収縮
未成熟
マスト細胞
私たちはマスト細胞が皮膚において最終的な成熟を遂げ
る過程を実験室でほぼ再現することに成功しました。そこ
で、この過程でどのような遺伝子発現の変化があるかを調
べ、約 20,000 の遺伝子から特徴的な変化パターンを示
す遺伝子群をピックアップしました。この中には、将来ア
発現が低下した
レルギー治療の標的となるタンパク質をコードする遺伝子
遺伝子
が含まれているはずです。現在、これらの遺伝子群の解析
を進めており、興味深い知見を得つつある状況です。
発現が増加した
遺伝子
脂質メディエータ
アレルギー応答、特に花粉症のような現象では、マスト細胞(肥満細胞ともいいます)
が主役としてはたらきます。マスト細胞は全身の様々な組織に分布し、I
E 抗体の受容
体を持っています。通常マスト細胞は I
E と結合した状態で存在していますが、ここ
にその I
E が認識できるもの(抗原)が表れると、活性化が起こります。活性化した
マスト細胞は様々なメディエータを放出することにより、アレルギーの諸症状を引き起
こします。
例えば花粉症の場合は、花粉を構成するタンパク質に対する I
E 抗体が体内で産生
されており、花粉が抗原となってマスト細胞が活性化します。
成熟マスト細胞の性質を決定する遺伝子群の同定
成熟
マスト細胞
マイクロアレイ解析
助教授:田中 智之、助手:阪中 麻利子
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