友が島水道シップウォッチング 事務局長 池田良穂 港や船の見える家が欲しかったのですが、勤務地が大阪の堺市とあってなかなか実現し ませんでした。一時、堺の旧港の近くのマンションに住み、7 階の部屋からは少しだけ海が 見えましたが、コンビナートが近く、風向きによっては異臭が漂うので、ずいぶん以前に内 陸に転居しました。その代わりに、大阪湾の入口の「友ケ島水道」が見える和歌山の加太の 山の上に小さな別荘を構えることとし、今でも、ここで週末には船を眺めながら原稿書きや 論文つくりをしています。ここのベランダから、500mm のレンズで大阪湾に出入りする 200m 以上の船はファインダーいっぱいに捉えることができますが、よほどクリアな日でな ければ、双眼鏡ではよく見えても、なかなかよい写真にはなりません。淡路島の南に浮かぶ 沼島や阿南がくっきり見える日には、結構、よい写真が撮れます。 加太の漁港の一画から、友ケ島に渡る連絡船がでています。かつて、南海電鉄が、友ケ島 をレジャー開発していて、かなり大きな客船が就航していましたが、この計画が断念された 後、加太の人々が有限会社を設立して、小型客船での定期運航を継続しています。島には、 かつては宿泊施設が夏季限定ですが 3 軒あったのですが、今では 1 軒だけとなっています。 キャンプ場があり、そこを利用する人も多いようです。島の観光資源としては、明治時代に 作られた砲台が朽ち果てた状態ですが残っているのと、燈台が現役で活躍しており、ほかに は自然だけがあるだけですが、意外に最近人気がでてきています。また、私たち船ファンに とっては、大阪湾に入る船を間近に見られるシップウォッチングのベストプレースと言え ます。午前中は順光ですが、昼すぎると逆光になるのと、南下する船は航路がやや遠くて、 なかなかよい写真になりません。 さて、上海を出港した「MSC Lirica」が、8 月 1 日の 13 時に神戸港に入ることになって おり、このスケジュールでは 10 時頃に友ケ島水道を通過するのではないかと予測していま した。別荘からの撮影を考えていましたが、朝起きると、天気はよいのですが、もやってい て沼島も見えません。そこで、友ケ島まででかけて、燈台の近くから同船を撮影することに しました。 友ケ島に向かう友ケ島汽船の始発は 9 時発の便で、前日の日曜日に乗り場を覗くと、積 み残しがでるほど混んでいたので、出港一時間前には乗り場について切符売り場の前で並 びました。船賃は、往復 2000 円です。船は、神原海洋開発(現ツネイシクラフト&ファシリ テーズ)建造の 19 総トン型の「ともがしま」で、最近もう一隻「らぴゅた」という船が増え ました。 加太港で出港を待ちながら、スマホで AIS 情報を確認すると、 「MSC Lirica」は紀淡海峡 の入口にまで来ており、船速は 16 ノットでした。これだと、友ケ島水道は 10 時くらいの 通過になりそう。9 時発の「ともがしま」が 20 分で友ケ島に到着するので、撮影ポイント の燈台付近には 9 時 45 分には着けると読みました。桟橋からはでこぼこの細い山道です が、1km なのでなんとかなりそう。 船は予定通りに友ケ島に着き、撮影ポイントに向かいました。第 2 砲台跡に到着したの は 9 時 40 分で、AIS で確かめるとそろそろ友ケ島水道の入口に差し掛かっていました。9 時 50 分に、純白の船体が目の前に登場し、あっという間に大阪湾へ消えていきました。 友が島水道を通過して神戸へ向かう「MSC Lirica」 加太の友ケ島汽船の乗り場 大阪湾に入るバルクキャリア「たちばな」 ともがしま コンテナ船「SITC Guangxi」 「らぴゅた」 南下するコンテナ船「EVER UNIFIC」 第 2 砲台跡(左)と芝生(大阪湾側を望む) 第 2 砲台跡から友ケ島水道の入口を望む
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