事例1:乳用牛部門 「食品製造残渣等を活用した飼料費の低コスト化」 山形県上山市:奈良崎ファーム 1 地域概要 上山市の酪農は、稲作・果樹などとともに複合経営の基幹的な作目として発 展している。 また、同市は過去に多数の乳製品製造工場等が立地していたことなどの歴史 的な背景もあり、県内でも主要な酪農地域となっている。乳用牛飼養農家戸数 は平成20年度現在22戸、飼養頭数は成牛(2歳以上)589頭、育成(2歳未 満)113頭となっている。 2 取組を行なっている畜産農家 名 称:奈良崎ファーム 飼養規模:経産牛110頭 所 在 地:上山市中生居 代 表 者:奈良崎 進 氏(実労働3名) 労 働 力:3.0人 3 取組の特徴 奈良崎ファームでは、食品製造残渣等を活用した自家配合による飼料費の低 コスト化を実現している。 <現在の飼料給与状況> TMR:1日1頭あたりの飼料 ルーサン4㎏、スーダン3㎏、オーツヘイ 2㎏、配合9.5㎏、パン屑3㎏、ビール粕2.5㎏、豆腐粕2㎏、加熱大豆 1㎏となっている。 近年の配合飼料価格の高騰を受けて、上記のような飼料内容となっており、 1日1頭あたり1,200円を目安に給与している。上記給与内容のとおり、 配合飼料約3.5㎏相当をパン屑、ビール粕、豆腐粕等の食品残渣、また加熱 大豆等の加工食品残渣で補っており、1日あたり約20,000円のコストダ ウンが実現している。 パン屑、豆腐粕等は安価で契約配送してもらっている。 4 取組の工夫 飼料摂取量を効率的に増やすことを目的に、 「餌寄せ機」を導入している。本 作業を行うことで、飼料摂取量を効率的に増やすことはもとより、牛の体力も 向上し、病気の疾患率を下げ、繁殖率を高めかつ乳量を増やす効果を飛躍的に 高めることを今後期待している。 これまで餌寄せは手作業でやっていたので機械を導入したことにより省力化 に繋がった。TMR飼料設計によって、どんなにその餌の栄養バランスが優れ ていても、牛が食べてくれなければ意味がない。餌を寄せる事は、ただ物理的 に餌を寄せるという事だけではなく、牛にとって 食べる 動機付けになるこ とを重要視し、「基本に忠実」をモットーに実施している。 5 取組の効果(畜産農家の声) ①TMRは1日1回給与とし、乳成分 においても、乳脂肪分率、無脂固形 分率の低下を緩和することができた。 ②食品残渣の給与による効果⇒パン屑 は配合飼料に匹敵する栄養分があり、 ビール粕、豆腐粕の配合により乾物 量がアップし、1頭あたり産乳量は 20㎏代であったものが約32㎏と なり、生産費用コストダウンにも繋がった。もちろん、牛の嗜好性は抜群に 良い。これらを上手に使いこなすことが重要である。 ③飼養管理面では、昨年の9月頃からイージーブリード利用も併用したことに より繁殖成績がアップした。 6 取組のフロー図 <食品製造残渣等活用の流れ> 食品メーカー (豆腐粕・ビール粕) 牧 場 食品工場 (パン屑) 運搬業者(配送) 毎週月・水・金
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