ニケーション」「貢献意欲」「共通目的」のどれか1つが欠けてしま 5 ワークショップ組織の罠からの回避 うことです。残り2 要素では組織として機能しなくなってしまいま す。裏を返せば、3 要素が維持される範囲内であれば許容できると いうことです。では、起こった出来事が、アクシデントや脱線なの か、それともワークショップ組織の崩壊につながる罠なのか、どの ように見極めればよいでしょうか。状況によると言えば簡単ですし、 見極めるにはある程度の熟達が必要です。ただ、熟達者でさえ罠に 5−1 ワークショップ組織を取り巻く罠 陥ることがあります。しかし、手の打ちようがないかというとそう 4 章までは、ワークショップの組織構造を踏まえた組織デザイン ではありません。 「どのような罠があるのか」「罠に陥るとどうなる の考え方を示してきました。これに沿ったワークショップのデザイ のか」「罠を回避する方法はあるのか」は知っておいて損はありま ンは、熟達者が経験則や暗黙知で行っているノウハウであり、これ せん。成功例を知ることも大事ですが、失敗例から学ぶことは、即 を実践すれば失敗の可能性が減ることもお伝えしました。 興的な対応力向上へのヒントを与えてくれます。 しかし、実際には、初対面の者同士が集うワークショップでは、 そこで、本章ではワークショップ組織を取り巻く罠をみていきま どのようなメンバーが集まり、どのような意見が出て、どのような す。罠は「ファシリテーターが陥る罠」「参加者が陥る罠」「組織全 変化が起こるかなど、当日の表舞台でやってみないと分からない部 体が陥る罠」の3つに大別しています。さらに、図表 5−1の罠の全 分が多々あります。だからこそ、ワークショップに可能性や価値を 置く意味があるのかもしれません。 物理的空間失敗の罠 このような状況依存性を有するワークショップという場で、あら かじめ想定していない出来事が起きたとき、ファシリテーターには 即興的な対応が求められます。たとえ、プログラムを作り込んだ研 修であっても、その場その場の出来事に対処する場面が随時に起き ます。ワークショップの価値の一端が状況依存性であるだけに、あ Fの関係性過剰の2つの罠 Pの関係性過剰の4つの罠 主役欲求の罠 仕切欲求の罠 疑心暗鬼の罠 属性立場の罠 集団思考の罠 手柄自慢の罠 Fの参加者化の罠 F O P Pの協力関係放棄の罠 る程度のアクシデントや、本題からの脱線は許容するべきです。参 加者の状況をみずに時間を厳守したり、議論の方向性を誘導したり すると、ワークショップ本来の魅力を損なってしまいます。 Fの関係性放棄の罠 Pの役割放棄の罠 理念不在の罠 ただし、ワークショップの組織が崩壊するような罠に陥ってはい 思考停滞現象の発生 けません。 「組織が崩壊する」とは、組織成立の3要素である「コミュ 図表5−1 ワークショップ組織を取り巻く罠 106 ワークショップ組織の罠からの回避 107
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