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第 4 章 第一種事業に係る計画段階配慮事項に関する調査、予測及び評価の結果
4.4 総合的な評価
騒音及び超低周波音、風車の影、動物、生態系、景観について、表 4.4-1 及び図 4.4-1
に示すような環境影響が懸念された。
A案については、設置する風力発電機の基数が多く、現時点では騒音及び超低周波音、
動物、生態系への影響が大きくなる可能性があると評価されたが、図 4.4-2 に示すように
出力の高い風力発電機を組み合わせることにより、影響の低減を図れる可能性がある。ま
た、B案についても、騒音及び低周波音、風車の影、動物、生態系への影響が大きくなる
可能性があると評価されたが、同様の検討により影響の低減を図れる可能性があると考え
られる。そのため、方法書以降の手続き等では、このような機種の組み合わせも含めた案
を複数案に追加することを検討する。
このように、今後、方法書以降の手続き等において、より詳細な調査、予測を実施した
うえで、風車配置及び機種を検討し、環境保全措置を検討することにより、重大な影響を
回避又は低減できる可能性が高いと評価する。
表 4.4-1
環境要素
騒音及び
超低周波
音
風車の影
重大な環境影響が考えられる項目についての比較評価の結果(1/3)
予測評価の結果
方法書以降の手続き等における留意事項
【予測結果】
風車配置か ら最も距離 が近くなる 可能性があ る住宅
は青尾集落にあり、風車配置からの距離は、A案が約
750m、B案が約 770m、C案が約 1,220m と予測された。
【評価結果(3 案の比較)】
風車配置か ら配慮が特 に必要な施 設及び住宅 までの
距離はA案、B案、C案ともに 600m 以上離れており、
「田原市風力発電施設等の立地建設に関するガイドラ
イン」における基準を満足していると評価された。
また、風車 配置からの 距離はA案 が最も近く 、次い
でB案、C案の順であり、A案については、事業実施
想定区域内の西部の風車配置の確定にあたっては留意
が必要と評価された。ただし、A案及びB案では、C案
よりも出力の小さい風力発電機を配置できることか
ら、環境影響の大小を判断するためには、方法書以降の
検討を踏まえる必要があると考えられる。
【評価結果(重大な環境影響の有無)】
事業実施想定区域は自社工場内であり、設定したライ
ン上での風車配置の自由度は比較的高いことから、右に
示す事項に留意することにより、重大な影響を回避又は
低減できる可能性が高いと評価された。
【予測結果】
風車配置か ら最も距離 が近くなる 可能性があ る住宅
は青尾集落にあり、風車配置からの距離は、A案が約
750m、B案が約 770m、C案が約 1,220m と予測された。
また、風車の影による影響が生じる可能性がある範囲
に含まれるのは、A案が 27 戸、B案が 118 戸、C案が
37 戸と予測された。
【評価結果(3 案の比較)】
影響が生じ る可能性が ある範囲に 含まれる住 宅の戸
数はB案が最も多く、A案及びC案が同程度であり、
B案については、事業実施想定区域内の南西部の風車
配置の確定にあたっては留意が必要と評価された。
【評価結果(重大な環境影響の有無)】
事業実施想定区域は自社工場内であり、設定したライ
ン上での風車配置の自由度は比較的高いことから、右に
示す事項に留意することにより、重大な影響を回避又は
低減できる可能性が高いと評価された。
・配慮が特に必要な施設及び住宅か
らの距離に留意して風車配置、機
種等を検討する。
・方法書以降の手続きにおいて、超
低周波音を含めた音環境の現況を
把握し、風力発電機の選定状況に
応 じ た パ ワ ー レ ベ ル (発 電 機 か ら
発 生 す る 音 の 大 き さ )を 設 定 し た
上で適切に騒音及び超低周波音の
影響の程度を予測し、必要に応じ
て環境保全措置を検討する。
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・配慮が特に必要な施設及び住宅か
らの位置関係に留意して風車配
置、機種等を検討する。
・方法書以降の手続きにおいて、適
切に風車の影の影響の程度を予測
し、必要に応じて環境保全措置を
検討する。
表 4.4-1
環境要素
動物
重大な環境影響が考えられる項目についての比較評価の結果(2/3)
予測評価の結果
方法書以降の手続き等における留意事項
・方法書以降の手続きにおいて、動
【予測結果】
物の生息状況の現況を現地調査等
<重要な種>
により把握し、適切に重要な種、
風車配置を高度Mで通過した例数は、A案が 27 例(約
タカの渡り、水鳥、カワウへの影
2.8%)、B案が 23 例(約 2.4%)、C案が 8 例(約 0.8%)と
響の程度を予測し、必要に応じて
予測された。
環境保全措置を検討する。
このうち、繁殖行動及びねぐら入り行動が確認された
チュウヒについては、A案が 16 例(3.0%)、B案が 13 例 ・風車配置の確定にあたっては、鳥
類の飛翔経路や営巣地等に配慮し
(2.5%)、C案が 3 例(0.6%)と予測された。また、風車配
た配置計画等を検討する。
置から営巣地までの距離は、____________
_______であり、ねぐら入り行動が確認された地
区の高茎草地までの最短距離は、__________
________と予測された。
<注目すべき生息地>
事 業 実施 想 定区 域 に注 目す べ き生 息 地は 分 布し てお
らず、直接改変による影響はないと予測された。
<タカの渡り>
サ シ バは 春 秋と も に事 業実 施 想定 区 域及 び その 周辺
の上空を通過する可能性があると予測された。
また、ハチクマは秋に事業実施想定区域及びその周辺
の上空を通過する可能性があると予測された。
<水鳥(ガン・カモ類、シギ・チドリ類等>
風 車 配 置 を 高度 M で 通過し た 例 数 は 、A 案 が 18 例
(3.3%)、B案が 13 例(2.4%)、C案が 6 例(1.1%)と予測
された。
<カワウ>
風車配置を高度Mで通過した例数は、A案が 115 例
(24.7%)、B案が 101 例(21.7%)、C案が 72 例(15.5%)と
予測された。また、風車配置からコロニーまでの最短距
離は、A案が約 1m、B案が約 33m、C案が約 55m と予測
された。
【評価結果(3 案の比較)】
A案及びB案は、C案と比較して鳥類の風車への衝突
リスクが比較的高い場所があり、事業実施想定区域内の
南部に東西のライン上に設定した風車配置において、風
車配置の確定にあたっては留意が必要と評価された。
また、A案及びB案は、C案と比較して______
___________________、カワウのコ
ロニーからの距離が近く、同様に風車配置の確定にあた
っては留意が必要と評価された。
ただし、A案及びB案では、C案よりもローター直径
の小さい風力発電機を配置できることから、鳥類の風車
への衝突リスクの大小を判断するためには、方法書以降
の検討を踏まえる必要があると考えられる。
【評価結果(重大な環境影響の有無)】
事業実施想定区域は自社工場内であり、設定したライ
ン上での風車配置の自由度は比較的高いことから、右に
示す事項に留意することにより、重大な影響を回避又は
低減できる可能性が高いと評価された。
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第 4 章 第一種事業に係る計画段階配慮事項に関する調査、予測及び評価の結果
表 4.4-1
環境要素
生態系
景観
重大な環境影響が考えられる項目についての比較評価の結果(3/3)
予測評価の結果
方法書以降の手続き等における留意事項
【予測結果】
・方法書以降の手続きにおいて、現
<地域を特徴づける生態系>
地調査等により植生判読図を更新
事業実施想定区域内には、地域を特徴づける生態系と
して「高茎草地」及び「低茎草地」
して「高茎草地のまとまり」及び「低茎草地のまとまり」
の分布状況を把握するとともに、
そこに生息・生育する動植物を把
が分布している。このうち、特に「高茎草地のまとまり」
は、_______________________
握したうえで、適切に上位性、典
____ほか、多くの種類の動植物が生息・生育してい
型性等への影響の程度を予測し、
ると考えられ、生態系の基盤として重要と考えられる。
必要に応じて環境保全措置を検討
これらの環境を環境類型区分で整理した結果、風車配置
する。
の周辺における「高茎草地」及び「低茎草地」の分布割 ・方法書以降の手続きにおいて、現
合は、A案が最も高く、次いでB案、C案の順と予測さ
地調査等により、特殊性の観点か
れた。
らの生態系が確認された場合は、
<重要な自然環境のまとまりの場>
影響の程度を予測し、必要に応じ
事 業 実施 想 定区 域 に重 要な 自 然環 境 のま と まり の場
て環境保全措置を検討する。
は分布しておらず、直接改変による影響はないと予測さ ・風車配置の確定にあたっては、地
れた。
域を特徴づける生態系の基盤環境
【評価結果(3 案の比較)】
となる「高茎草地」の改変面積の
A案及びB案は、C案と比較して風車配置の周辺にお
最小化等を検討する。
ける「高茎草地」及び「低茎草地」の分布割合が高く、
事 業実 施想 定区 域内 の南部 に東 西のライ ン状 に設定 し
た風車配置において、風車配置の確定にあたっては留意
が必要と評価された。
【評価結果(重大な環境影響の有無)】
事業実施想定区域は自社工場内であり、設定したライ
ン上での風車配置の自由度は比較的高いことから、右に
示す事項に留意することにより、重大な影響を回避又は
低減できる可能性が高いと評価された。
・主要な眺望点からの位置関係に留
【予測結果】
意して風車配置、機種等を検討す
風力発電機の垂直見込角が 1 度以上となる範囲に位置
る。
する 11 カ所の主要な眺望点からは、A案、B案、C案
と もに 風力 発電 機が 視認さ れる 可能 性が ある と予測 さ ・方法書以降の手続きにおいて、主
要な眺望点から撮影した写真に発
れた。
電所完成予想図を合成する方法
ま た 、風 力 発電 機 の見 えの 大 きさ が 最も 大 きい 地点
(フォトモンタージュ法)により主
は、「9.三河港大橋」であり、見えの大きさは、A案が
要な眺望景観への影響の程度を予
約 5.2 度、B案が約 6.1 度、C案が約 5.9 度と予測され
測し、必要に応じて環境保全措置
た。
を検討する。
【評価結果(3 案の比較)】
主要な眺望点からの風力発電機の垂直見込角は 、「3.
笠山」、「7.汐川干潟」、「9.三河港大橋」では、B案
が最も大きく、次いでC案、A案の順と評価され、その
ほかの主要な眺望点では、C案が最も大きく、次いでB
案、A案の順と評価された。
また、主要な眺望点からの風力発電機と景観資源との
重なりは、いずれも違いがないと評価された。
【評価結果(重大な環境影響の有無)】
事 業 実施 想 定区 域 は自 社工 場 内で 既 に人 工 的な 景観
であり、いずれの案も主要な眺望点からの眺望景観に与
える影響は極めて小さい可能性が高く、右に示す事項に
留意することにより、重大な影響を回避又は低減できる
可能性が高いと評価された。
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(騒音)
集落との距離が近く風車配置の
確定にあたっては留意が必要
(動物・生態系)
以下の 3 点から風車配置の確
定にあたっては留意が必要
・鳥類のねぐら、コロニー等と
の距離が近い
・鳥類の飛翔経路との重なりが
多い
・動植物の生息・生育基盤とな
る「高茎草地」、「低茎草地」
との距離が近い
(風車の影)
集落の東部にあたり風車配置の
確定にあたっては留意が必要
図
図 4.4-1
4.4-1
3風車配置A案、B案、C案の比較
案の環境影響の比較評価の結果
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第 4 章 第一種事業に係る計画段階配慮事項に関する調査、予測及び評価の結果
【A案】
機種及び基数: 2,000~ 2,100kW×12 基
総出力:24,000~25,200kW
【A改良案】
機種及び基数: 2,000~2,100kW×7 基
5,000~5,100kW×2 基
(2 機種の併用)
総出力:24,000~25,100kW
基数を減らすことにより、風力
発電機の設置範囲を縮小し、環
境影響の低減を図る。
※風力発電機の設置範囲を縮小
する範囲は、方法書以降の手
続き等により検討する。
図 4.4-2
周辺環境に配慮した
風車配置のA改良案
419
(白紙のページ)
420