X 線タイコグラフィ - SLit-J

X 線タイコグラフィ
X-ray Ptychography (XPG)
●X 線の位相差を利用し、物質の内部構造を高分解能(10nm 程度)イメージング
●薄い試料や軽元素で構成される試料(生態軟組織など)に対して有用
●X 線のエネルギーを選択することにより、元素選択的な分析が可能
測定原理 試料に光を照射し,試料背面における光の波
動場を試料関数と照射関数の積で記述できる場合、遠方
で観測される回折強度パターンは試料関数と照射関数の
フーリエ変換の畳みこみで表すことができる。XPG 測定
では、試料にコヒーレント X 線を照射した際に観測され
る回折強度パターンに位相回復計算を実行し、試料像を
取得する。
得られる情報 微小試料(10 マイクロメートルサイズ)
に対して、10 ナノメートル程度の高分解能で、位相コ
ントラストに基づくイメージングを行うことができる。
特徴 従来の X 線吸収イメージングで十分な像コント
ラストが得られない、薄い試料や軽元素で構成される
試料(生態軟組織当)に対して有用な手法である。
図 1 位相コントラスト測定装置
(Spring-8, BL29XUL)*1
応用例 マルチスライス法を利用した高分解能 X 線タイコグラフィ(SPring-8):XPG により Pt
蒸着窒化ケイ素膜の、表面・内部層構造をイメージング
https://www.jrias.or.jp/books/pdf/201409_RIYOUGIJYUTU_SUZUKI_TAKAHASHI.pdf
図 2 元素識別X線タイコグラフィの概念図*2
図 3 軟 X 線タイコグラフィによる生体細
胞の透過観察図*3
東北放射光施設における展開 XPCS には位相の揃った高輝度の X 線が不可欠である。東北
放射光においては、これらの条件を満たす XFEL(X 線自由電子レーザー)がアップグレードオプ
ションとして検討されている。
既存ビームラインとの基本スペック比較
XPG
SPring-8
SLiT-J
XFEL
BL40XU
BL29XU
光源
-
準単色ヘリカルアンジュレータ
超長尺アンジュレータ
エネルギー範囲[keV]
-
8~17
4.4~37.8
エネルギー分解能 ΔE/E
-
~10-2
1.3×10-4
ビームサイズ [μm]
-
250×40
-
光子数(集光位置) [photons/sec]
-
~1015
6×1013
*1 : https://openi.nlm.nih.gov/detailedresult.php?img=3042331_s-18-00293-fig2&req=4
*2 : http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2011/110928/
*3 : http://www.nature.com/ncomms/journal/v4/n4/full/ncomms2640.html