アイビー

〈那 須 通 信
〉
アイビー
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もっと変わった植物を期待しているのだろうか、アイビーという名に、なぜか人々は無反応。
迷 わ ず ア イ ビ ー な ら 安 心 と 、 答 え る 。
こんな時、その話を思い出す。
水の結晶からうかがえるのは、ひどい言葉をかけるよりいっそうダメージを受けるのは、無視す
るこ と で あ る ら し い 。
愛のあるやさしい言葉をかけると水は美しい結晶をつくる。そんな水の結晶に込められたメッ
セー ジ を テ ー マ に し た 興 味 深 い 本 が あ る 。
せめてながめてから判断してくれても良さそうなものだが、ほとんどは、ああそうと言うだけで
終わ っ て し ま う 。
加藤文子 展景 No. 82
庭を訪れる客人から、丈夫で育てやすいのはどーれと、聞かれることがある。
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実際のところ、アイビーが人の反応をどう受けとっているのかわからないけれど、いつの頃から
か、聞かれてもアイビーを推薦するのはやめた。
町の緑化やお店のグリーンによく使われていて、昔からあまりにポピュラーなので興味がわかな
いの だ ろ う か 。
アイビーと聞いた瞬間、あたり前すぎて関心の対象から除外されてしまうのか。
で誰もが目にしているであろうごく一般的な種類である。
ちまた
街の花屋で購入してから二十年以上になる。
私 が 育 て て い る の は 、 巷
丸味を帯びた葉は、いつの間にか細長いハート型になった。長いあいだに茎も木化して飛びはね
たり 、 た わ ん だ り 自 由 気 ま ま に 育 っ て い る 。
寒さは苦手といわれながら、厳寒期も特別保護をしなくても元気でいる。
ふち
の部分を小豆色に染める。それがまた風情があって雪景色
常 緑 の グ リ ー ン の 葉 は 、 冬 に な る と 縁
によく似合う。寒さで変色した小豆色は、春のぬくもりとともに再びみどりになる。
茎の先端からうすみどりの新芽をのぞかせる春、みどりの充実する夏から秋、そうして冬の静か
な色、気候を反映して四季それぞれに葉の色を変化させながら愛らしく生きている。
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展景 No. 82
展景 No. 82
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私にはキュートな存在にほか
他の人からキレイネェ、ステキネェとほめられることはなくても、 なら な い 。
アイビー 育てはじめて 20 年以上になる。 Photo : Kato Fumiko