546 修繕費と資本的支出の区分の考え方

平成 28 年 7 月 25 日
No.546
修繕費と資本的支出の区分の考え方
賃貸物件をリフォームした場合、その支出が修繕費として経費となるのか、資本的支出として資産計上となるのか悩むケース
があると思います。今回は、修繕費と資本的支出の違いをご紹介します。
(1)修繕費・資本的支出とは
固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分
の金額は、修繕費として支出した時に必要経費・損金算入が認められます。ただし、その修理、改良等が固定資産の使用可能期間
を延長させ、又は価値を増加させるものである場合は、その延長及び増加させる部分に対応する金額は、修繕費とはならず、資本
的支出として資産計上する必要があります。
【賃貸物件における修繕費と資本的支出の一般例】
区分
修繕費
資本的支出
資産の価値を増加させる費用
内容
修理・維持管理に通常要する費用
使用可能期間を延長する費用
・外壁の塗装の塗り替え
・外壁を吹きつけからタイルに変更
・床や壁の修理
・用途変更のための模様替え
一般例
・畳の表替え
・間取りの変更
・防水工事
・増築等物理的に付加した費用
修繕費になるか資本的支出となるかどうかの判定は名目や金額の多寡によって判断するのではなく、その実質によって判定す
ることが重要となります。
(2)修繕費と資本的支出の区分フローチャート
修繕費と資本的支出の判定について法人税法基本通達 7-8-3、7-8-4、7-8-5 において、下記の判定基準が示されていま
す。
リフォーム費用
3年周期又は 20 万円未満か?
資
資本的支出
本
NO
資本的支出と修繕費の区分が明確か?
不明
的
60 万円未満か?
支
YES
修繕費
修
YES
NO
出
前期末取得価額の 10%以下か?
70%
YES
繕
費
NO
7:3 で区分(継続経理が要件)
30%
(3)相続税との関係
家屋の相続税評価額は固定資産税評価額を基に計算します。しかし、家屋を増改築等した場合、その増改築等が固定資産税評価
額に反映されていないケースがあります。このような場合、増改築等に係る部分以外の部分の固定資産税評価額に、その増改築等
に係る部分の価額として、その付近の家屋と構造・経過年数・用途等の差を考慮して評定した価額(付近に状況類似家屋が無い場
合は、その増改築等に係る部分の再建築価額から相続時点までの償却費相当額を控除した価額の 100 分の 70 に相当する金額)
を加算した価額に基づき評価します。
ただし、その増改築等が軽微であり財産性が無いと判断されるような場合は、相続財産として計上する必要があるかどうか、増
改築等の内容を検討する必要があるものと考えられます。
(担当:大久保 雅之)