基本的に部分対策の「修繕」が該当する。

5.下水道長寿命化計画の策定(管渠・ポンプ場・処理場)
概要
下水中に含まれる硫酸塩還元細菌により生成される硫化水素ガスが、結露中での好気性の硫黄酸化細菌により硫酸を発生する事
により、コンクリート構造物の腐食が起こる。下水道施設の腐食程度が異なるのは、硫酸を生成する硫黄酸化細菌の繁殖状況が各環
境条件によりことなることから、違いが生じている。
この流下水素による腐食対策としては、硫化水素そのものを発生抑制する「発生源対策」と、発生した硫化水素から施設を守る「防
食対策」がある。「発生源対策」としては、空気注入、過酸化水素、塩化第二鉄及びポリ塩化第二鉄を添加する事により、硫化水素の
発生を抑制する。また、「防食対策」としては、コンクリートや金属を硫酸等の腐食環境条件から遮断する手法として防食被覆がある。
コンクリートの防食被覆工法としては、塗布型ライニング工法とシート型ライニング工法がある。
業務実施のメリットや効果
① コンクリート構造物、金属類の腐食対策による延命化
② 硫化水素発生の抑制による臭気対策
本業務では、主に下水道構造物における、硫化水素に起因したコンクリート腐食に対し、その劣化調査・診断に基づく改善対策の検
討を行います。また、必要に応じて、下水道長寿命化計画との連携により、調査結果のデータベース化やシステム構築の検討を行い
ます。
管渠とポンプ場、処理場の各施設に対して、下水道施設における腐食対策は異なってくる。豊富な下水道施設の設計経験を生かし
て、各施設における「発生源対策」と「防食対策」提案を行う。
例えば、管渠施設に対する施設腐食対策として、新設管路に計画する施設であれば段差、落差を極力抑えた縦断計画を行うと共
に、発生が予想される部位に関しては、耐酸性の材質を採用する事を提案する。また、既存の施設に関しては、防食被覆を行って「防
食対策」を行うと共に、ポンプ場やマンホールポンプ施設において空気注入、過酸化水素、塩化第二鉄及びポリ塩化第二鉄を添加す
る等の「発生源対策」を提案する。
ポンプ場、処理場の施設に対しては、硫化水素が発生し易い下水、汚泥の滞留箇所を最低減に抑えた施設形状を心がけた提案を
基本とし、既存施設の対策としては、防食被覆を計画する際には必要に応じて現地調査による硫化水素濃度の測定や、腐食状況を確
認する為の中性化試験の実施を提案して、実際の環境条件に合致した具体的な対策を図り下水道施設の延命化に努める。
また、これらに計画には、単に腐食対策を提案するのではなく、施設の耐震化や設備再構築を視野に入れた総合的な整備計画を
視野に入れてより良い提案を行う。
【スパン全体の評価による対策工法の決定フロー】
※1)健全度2(重度)の場合、基本的に部分対策の「修繕」が該当する。但し、①管の腐食 ②上下方向のたるみについては、aランク
程度の異常が発生していれば、スパン全体での劣化原因(①管の腐食:硫化水素、②上下方向のたるみ:不等沈下等)が発生し、スパ
ン内の他の管きょにも常時影響を与えていると考える。よって、「改築」が必要と判断する。