例2: ディジタルインパルス信号 (n が 0の場合)

例 2: ディジタルインパルス信号 (n が 0 の場合)
ある 0 以上の正整数 n に対し、

1
f [i] =
0
(i = n)
(i ̸= n)
である信号のことを「ディジタルインパルス信号」といって記号 δ[i − n] で表します。
これから計算手順に従って δ[i − n] の Z 変換を求めてみますが、n が 0 か 0 で無いかで結果が代わりますので、ここ
ではまず n = 0 の場合を考えます。
さて n = 0 の場合は δ[i − 0] = {1, 0, 0, · · · } になりますので、
(手順 1) 変換対象となる時間領域ディジタル信号 f [i] が周期的だったら DFT を行う。非周期的かつ無限の長さだった
場合は (手順 2) に進む。
が成立するので (手順 2) に進みます。
(手順 2) とりあえず f [i] を定義にそのまま代入して F(z) を求める。
δ[i − 0] = {1, 0, 0, · · · } を Z 変換の定義に代入すると
F(z) =
∞
∑
{f [i] · z −i } = 1
i=0
になります。すると
(手順 3) 無限級数のままだと何かと都合が悪いので場合分けをして収束後の式を求める。同時に収束領域も求める。
は明らかに
(場合 3-1) (手順 2) の段階で既に無限級数で無くなっている場合
が適用されますので、F(z) = 1 がそのまま収束後の式になります。また z を代入しても必ず Z 変換は F(z) = 1 となり
ますので収束領域は Z 平面全域になります。
(手順 4) 具体的な z の値を代入する
試しに z = 1 + 2j を代入してみますが、z の値が何であろうが必ず収束領域に含まれますので、
(場合 4-1) z が収束領域に含まれる場合
を適用して、F(1 + 2j) = 1 となります。
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