例 1: 有限長の時間領域ディジタル信号 正整数 L が有限の時、f [0] から f [L − 1] まで値が入っていて、残りは全て f [i] = 0, (i = L, L + 1, · · · ) である時間領 域ディジタル信号の Z 変換を、前ページで示した手順に従って計算してみましょう。 (手順 1) 変換対象となる時間領域ディジタル信号 f [i] が周期的だったら DFT を行う。非周期的かつ無限の長さだった 場合は (手順 2) に進む。 非周期的でかつ無限の長さなので (手順 2) に進みます。 (手順 2) とりあえず f [i] を定義にそのまま代入して F(z) を求める。 i が L を超えると f [i] は全て 0 となるので F(z) = ∞ L−1 ∑ ∑ f [L − 1] f [1] f [2] + 2 + ··· + {f [i] · z −i } = {f [i] · z −i } = f [0] + z z z L−1 i=0 i=0 となります。 (手順 3) 無限級数のままだと何かと都合が悪いので場合分けをして収束後の式を求める。同時に収束領域も求める。 明らかに (場合 3-1) (手順 2) の段階で既に無限級数で無くなっている場合 が適用されるので、上で求めた F(z) がそのまま収束後の式になります。そこで引き続き F(z) が発散する z の値を求め ますが、おもむろに z = 0 を代入すると F(0) = f [0] + f [1] f [2] f [L − 1] + + ··· + →∞ 0 0 0 となるので F(0) は発散します。しかしそれ以外の z の値なら発散しないので、収束領域は「原点 z = 0 を除く Z 平面 全域」となります。図で表すと図 1 の原点 z = 0 を除く斜め線で表した領域です。 Im[Z] 0 z=1 Re[Z] 図 1: 収束領域 (原点 z = 0 を除く斜め線の領域) (手順 4) 具体的な z の値を代入する まず試しに z = 1 を代入してみます。図 1 に z = 1 の Z 平面上の位置を示していますが、図を見る限り (場合 4-1) z が収束領域に含まれる場合 1 が適用されますので、F(z) の式にそのまま z = 1 の値を代入して F(1) = f [0] + f [1] + f [2] + · · · + f [L − 1] が求める答となります。 次に z = 0 を代入してみますが、z = 0 は図を見る限り収束領域に含まれませんので、 (場合 4-2) z が収束領域に含まれない場合 が適用され、「z = 0 の時、 F(0) は発散する」が求める答となります。 2
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