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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
長崎縣下の風土病分布概觀
Author(s)
後藤, 正彦; 吉田, 静磨; 田中, 徳郎
Citation
長崎大学風土病研究所業績 2. p.937-944, 1953
Issue Date
1953-09-25
URL
http://hdl.handle.net/10069/4834
Right
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937
長崎医学会雑誌 第28巻第9号937-944頁
長崎縣下の風土病分布概觀
長崎大学風土病研究所臨林部(指導兼任所員 横田教授)
長崎大学医学部内科学第一教室(主 任 横田教授)
後藤正彦 吉田静磨 田中徳郎
1.緒 昌
風土病とは或特殊の気候風土を原因として
に於ける風土病として取上げられたものであ
特殊の疾患が存在するのを意味する.従て其
る.私共は風土病として問題になりさうな疾
の地域が特殊の疾病に躍っていると見倣すこ
病の中,終戦後杵於て特に内科方面に関係の
とが出来る.小は一部落, -村に関係し,大
は国民病と云はれるものである.我国に於て
得た.. '前査方迭‥も不完全であり,文献的考秦_
国民病と考-られるものにトラコーマ'十二
ある二三のもの二について若干調査する機会を
、
指陪虫症,赤痢等がある.外国に於て植民地
も極めて不琴分であるが本調査に御協力をい
ただいた方々への御好意に対二し,又後日此の
対策として問題となったものにシンガポール
方面の研究者に対し何かの参考になれ揮幸仏
のマラl)ヤ,パナマの黄熱がある。長崎異に
と思仏一応極めてみることにした.侍長崎県
於て今迄問題となった風土病に所謂波佐見熱
衛生部の調査成績を分与していただき′ 私共
及びフィラ1)ア症がある.勿論之等の疾患は
の調査と比較して考察することが出来葎・
長崎県丈けに限られた疾患ではないが長崎県
2・調 査 方 法
ワイル氏病叉ほ秋季レブトスビラ病'肺ヂストマ
々に間ひ合せた.法定伝染病及び一部の届出伝染病
症・フィラリア症,伝染性肝炎又は流行性巽症'破
の全国' 特に九州地方に於ける発生状況は長峰県衛
殿風,狂犬病,屈嘆症,再帰熱'発疹チフス又は発
生部の好意により,厚生省発行の衛生年報に基き調
疹熱,日本脳炎,流行性脳脊髄膜炎,猫紅療又は異
型椙紅熱に裁て年度別に患者数在記入出来るように
∴覧表右作製し,往復-ガキな用ひて長峰県医師会
し・寸k二 O, J ,さc"/U二.1Ut二
しn・ヒi、.ゾ一.vAェ二fe- ^二
''.*
J二'J l二:・r_ィモ*o二: Jl二re
1こitCてC)-',]-・T.こrn りミft・もOF・1it二.!二n
察した・
名簿に基き長崎県下の病院勤務医師及び閑菓医の方
3.調・査.成 績.
'間ひ合せの発信教1000適才こ対し回答7k,得たものは
500通で, ・間ひ合せ数 <」> 50%に相聾する・県下風
土病の年度別患者発生状況は第1'蓑の通りであり,
患者の多寡は絶対数でなナく人口10万に対する'比率に
依て論じた.ニ
ワイル民病又は秋季レブトスピラ病ほ漸次増加す
地区別発生状況ほ第2表に示す通りである・町村別
る傾向が見られる.謂所波佐見熱に託ても同様の傾
に詳細なる調査7p行ったが紙数の都合で省略する.
向が認められ'特に25年度に放ては過去50年間に於
錯終戦後に於ける全国及び九州)各県別の届出伝染
ける最大わ年間患者発生数な示.した・本症の特に多
病の一部及び法定伝染病の発生状況7&第3蓑及び第
発せる地区は西彼杵郡であり'北高来部及び東彼杵
4表として示した.以下疾病別に年次別及び地区別
郡に於ても相聾多数の患者が識者せら・れてゐる.島
再生状況な述べ,他県特に九州の各県との比校7k,な
原市にはl名の発生もなく,対馬・壱喋.長崎市に
し得たものに裁てほ其の成績も併せ述べてみたいT
於ても患者数は包めて少い・本症に関する詳細ほ別
も
後 藤" ia- 田・田 中
938
し′′
第1表 各疾患の年度別発生状況
(括弧内ほ県衛生部へ報告せちれた数)
20年
ワイル民病又は秋季レフP・
トスピラ病
肺 ヂ ス ト マ 症
フ ィ ラ 1) ア
伝染性肝炎(流行性黄痘)
75
a
ll
12
17
114 129
185
24
lot
(0)
23
211
3】 443
再 帰 熱
期疹熱又ほ発疹チフス
う
586 243
156
112
(216) (67)
(39)
(27)
39
30 42
0
1 1
(0)
2
7
7 7
0
2
4
89
:<a
499 1 1 34
869
Il/
屈 唆 症
(3)
(403)
(43;
ノJLO
174 . 488
(0)
1
27
26
150
61
En
25
118 112
6
332
狂 ノ 犬
23 24
22
'5
マ ラ 1) ア
破 傷 風
21
6Q
57
C49)
(30)
4
24 154 1
23 82
3 18
(I)
22 69 4905
102
68
Ⅰ
0
l
(0)
(0)
5.
1
0
132
160 173
170
167
(439) (9)
(26;
(10)
1年
(3)
20
25
32
C2)
3Ⅰ9
(I)
(0)
10
2400
(0)
4
10
EBJ
o
8
138
1029
(0)
→-
日・本 脳 筆
洗行性脳脊髄膜炎
握紅熱又は異型疫紅熱
6
(0)
23
(322)
16
(3) CO )
36
(39)I (。)
(27)
(4)
(8)
64
42
C42)
(14)
25
43
012)
(28)
13
25 34
47
52
76
(32)
O8) (2り
(16)
(17)
(17)
iこ改めて発表する予定である.
肺デストマ症ほ年次別に見て滑々増加の傾向が見
りfcJ
170
210
441
C29 )
に於ける本症発生率ほ全回平均の2倍であるが.憤
児島県の大分の二二っ熊本県の四分の一に過ぎない.
られるが,莫数に於ては先づ大差ないものと思はれ
本症の詳細に就てほ風土病研究所片峰研究室の業績
る.本症の比較的多発せる地区は対席,南高来部,
大村市,長崎市ク北松浦郡であるが,再調査の結果
な参照せられたい・
/7"->二1さ1肘nl・二Wj・で流行H-flT炎に於て1-2-J1-31二i芯敵JFtの傾
大村市に於て発病せる患者はすべて他地区に於て感
向が認められる.対席,長峰市,北松浦郡,再校浦
染せるものなることが判明した.壱晩 北高来郡,
那,西彼杵部等に於て比較的多発しているi北高来
郡と島原市に於てほ極めて少く,大村市及び南高来
島原市に於てほ本症の腐生せる報告に壊することが
出来なかった. 、本症の発生状況に就ても別に改めて
部に於ては比較的少い・.本症に関してほBTlに報告ず
報告する予定である.
る予定である・
フィラ1)ア症は私共の調査でほ漸次滑々増加せる
傾向が認められる.最も多い地区ほ島原市であり,
マラ1)アほ私共の調奄やは漸次減少している.蘇
次で西彼杵瓢諌早市,南高来郡,南松浦郡の順で
は皆無となっている.我々の調奄との問に大なる相
ある・比較的少い地区は壱伐と対馬である・フィラ
違があるのほ如何なる理由によるのであらうか・恐
1)ア症として県に報告せられたものほ昭和23年以降
らく我々の所に報告せられたものはマラリア原虫は
僅かに4名である・厚生省の統計によると昭和25年
証明されないが,威社歴等より考へて寸ラ.)ア症の
の調奄ではマラリア患者は最近漸減し,昭年26年に
長嶋鼻下の嵐土病分希期期 9・39二
弟2衰 各疾患の由鮎B期生状況(自昭和20年一至昭和2占年)
(括弧内ほ7年間に於ける患者数の入口10万に対する比率)
ワはス 肺 フ
ィ秋ビ ヂ イ
ル寧ラ ス ラ
氏レ病 ト 1)
病ブ マ! ア
叉卜 準 症
ア
性性
演
二マ
局
再
発発.日
侍 犬
吹
棉
欝 本
文-/ ffl虫
膜 又紅
風 病
症
熱 はス 炎
性炎lは熱
披 狂
ラ
l
リ
ア
洗脳 控異
菅 紅型
行髄1熱狸
6 11 I
対 席(10.昌 (10.昌) (50だ(26呈ヲ岩)(15.岩 f3・喜)
(】0.0) C5.OW】8・3) (3.3;
壱 既(12.昌 (152.昌; (128て芸) (88子吉) (4詔) (2・昌) (6・喜)
(20.」0 (54.0; (4.0)
10 29
33 109 56 1 】6 55
南松浦郡(22.0) (2・0) (72・6) (374.0) (144.0;(3(5.6)
5
(3・3)
96 12 14 92
93 15 122 ア 211 】7
北松浦郡(37.2) (6.0) (48.8) (389・2) (84・4) (占.8)
(3.5) (o.8) (38.4) (4.8) (5.5)(36.8)
89 1 1 28 43
1 12 23 112 269
東彼杵部(160・0) (2.8)・ (32.8) O60・0) (384・2) (5.7)
862 10
西彼杵郡'(344.8) (4.0)
8
(5・3) (3.3) (4.0) (4.0)
(.1.4) (127.1) (15.5)(40.0;(61.4)
305 37 72
2 46 844 374 36
(98.4) (337.6) (149.6)(14.4)
(.2.8) ( 122・0) (14.8)(27.4) (28.8)
北高来郡 (32・7昌(36.・ (70予言5 C4.岩)
(4・0) (6・0) (6・0)
2 3
194 21 14
166 1 7 156 166 235 42
南高来郡(83.Q) (8.5) (78.0) (83・0) (=.7)(21・0)
佐世保市
大村市
議早市
長略市
島原市
計
(2.5) (0・5) (97・10(10.5) (7・0) c4・5)
61 28 29 81
27 67 1 80 29
(3Q.5)(14.Q)(14.5) (4Q-.5;)
(13.5) (2.5) (33.5) (301.0) (90,0)(14.5;
103 10 17
1 1 13 32 74
(19.6; (7.1) (23.2) (57.1) (132.1)(12.5)
(3.5) (5.3) (183.9)(14.3)(17.8)(30.4)
45 13
77 57 128 169 13
("8.4) (1.5) (87.7)¥ d96.9) (26Q.Q)(2Q.Q)
C69.2) (6.1)¥ (20.0)
28 17 104 1.085 415 49
CH.2) (6・8) (41.6) (434・0) (166.0)019.6)
137 15 19 32
(342.5) (37.5) (47.5)(80.0)
I ・541 82 132 4.905 2.400 319
30 95
(2.4) (0・4) '(42.4) C2.8)「12.0)r38.0)
4 4 2
(ip.o; (10.0) (5.0) (12.5)
48 8 1.029 】70 210 441
(96・3) (5.1) (70.7) (306.5) (150.0)(19.9) (0・2) (3.0; (0・5) (64.3;nQ.6iri3.1)C27・5)
再発と嶺定せられたものが報告せられた,フ)ではなか
違のあるのは如何なる理由によるものであらうか・
厚生省の統計によると敵機風患者T)発生数は漸次全
らうかと考-ち.厚生省の統計によると,マラ.)ア
患者の.第生激は全回の平均より少いことが多く,昭
国平均より少くなる傾向が認められ 九州地区の他
県に比し昭和25年以降の発生率は最も少い.
和26年には全回平均の半分であり,九州7)他県に比
睦犬病は佐世保'・用こ3名と壱暁にl名第金縁1るの
し寧ろ少い方である.
期乾瓢には毎汝加増城は殆んど一期めちれない.求
みセある.
碇r')、子†1I:I-r・二')":'{<'I,多いツ:-Jェfe'fl・ffi'
短唆痘でた年次BT:増矧恵痛んど認められす島療缶
ェJtlLtfiI多い
池R'二王・二31S,†ォi二::;ili二ff15・・IW7・:I:二1:・耶,龍二Jfi.fr.:二も・0.11二
vu:二-!ミL_こJt:二m多く'北:∴rf: fi虫;^;)山二ill u-に於・・L高来酪東彼杵瓢北松浦部は比頓的少い.県に報 は全廃発生7p見ていない.
I.'!-.
再帰熱は由如4年な最後とLて真の後発生右見ず,
l-1せらた故は昭fi12ォ二Sp監こ於てほftfかにIE二]t:良,ち
のに,我々の調査では68名・とfj:つて慮り,著しい相
終戦後僅かた8名発生せるのみセある.
後 藤・台 由・由t串
940
第5表・ 届出伝染病発生状況(衛生年報による)
マ ラ 1) ア
<
鰭
'<
昭和
区 分昭和2t
23 241
25
26 22
i
23I
風
26
25
24
l
E二コ!
全 国lll・田5
t.r,
4953 喜 3716
I.:
0.6
1017
476
清 岡
7.3 2.0
980 242 68
I.4
51
0.4
佐 賀
277
4.4
41
1.7
16
1・5
14
0・8
8
崎
2.4
39
0・3
216
4.3
68
l・6
良
27
5
衣
0・8
0・7
208
3.6
64
Ⅰ・8
琵琶
33
16
13
大
0・9
0・2
373
4.4
55
I.5
分
19
1Ⅰ
0・5
200
2.3
24
2.1
賞 峰
1.7
1.1
286
9.1
160
3〔)
Ⅰ9
23
6
1625
13
3
0.3
・3
2.6
2168
2
.32.0
01724
192
2.3
75
2.7
91
2
63
3.8
36
2
18
3.7
34
38
3.1
49
3.I
49
39
2.4
43
3・2
58
29
2・7 3.1 . 2
34 40
34
4・5 5・4 - 5
47 58
47
3J 5.4
65 97
i
;
2・5 ;
1979
8
.31・8
63
2
・82・8
26
3
1
2
30壽ロト糞
享
鹿 児 島
0・2
3
∃
左E
犬
区 分昭和22ト
23
24j
全 国
22
0・1
46
■こ宿 _一 岡
o
フィラ.)ア 日本住血吸虫病
昭和 昭和
病
26 25 26 25 26
25
57
13
0
0
lob
71
918
I
3
83
4
1
0
長 峰
0
、熊 本
0
0
0
3
) ‖
0
0
0
` 3
0
0
0
0
0
16
'大 分
0
0
0
0
0
2
宮 崎
0
0
0
0
0
12
鹿 児 島
0
0
0
0
26
2
84
10・3
0・2
佐 賀
697
2.4
0・1
0・0
1
0・8
i.l・ I
0.0
74
109
97
0.2
0・1
3
0
0
0.8
14
I
0
0
0
0
0
0.2
2
0.3
3
1・2
22
1
0
o!
発疹熱又ほ発疹チフスは漸次減少・Lていると思ほ
な占めてゐる。
れる・大村市に於て最も多く,東彼杵部,西彼杵郡,
. Ej本脳炎は漸次増加の傾向が認められ 壱蚊に於
南高来郡の順に比頓的多発し,北高来郡及び南松浦
て最も、多発している.東彼杵郡,西彼杵郡,佐世保
郡に於て最も少くl島原市,対鳳 壱蚊は比較的少
市,大村市に於て比較的多発し,長峰市,南松浦郡,
い・県の調査によれが発疹チフスほ年と共に激減の
北松浦部に於て比較的少いi厚生省の統計によれば.
傾向が認められる・本症は昭和23年及び24年に於て
本症の発生率は常に全国平均より少く,九州地区に
は全国平均h・上廻り,九州地区に於ては常に第1位
於てほ殆んど常に最低位である,
941
長崎県下の風土病分布概観
第4乗 法定伝染病発生状況(衛生年報による)
昭和
21
HB fl1
22
23
26
25
24
2Ⅰ
22
25
24
23
26
区 分
赤 痢(含 疫 痢)
腸 チ
110.3 I 61・.去i
11・8
9486
7.8 ・9
6391 4881
4.6
3879
46.9 11.2
1363 356
6.0
】2・7 2・5
170 90
2・4
85
29・9 8.8
256 81
6.1
149 1567
4.4 ・6
42 15
2.5
24
13.3
113
13・ ,.9
226
1595
31.9 7.3
438 111
5K!
3・γ 2.5
59 41
2・9
48
ll・4
209
40・7
ォE
127.8
2335
14・Ii 5.7
230 101
1・3
_'*
1.4 ' 1.6
26 30
0.7
13
59・7
全 回
120.9 50.2
88267 39219
18・3
14665
29・1
2396 1
福 岡
90・ 19.9
2630 63 1
・13・1
433
13.1
445
38・ 174・1
1353 6 147
125・0 23・0
1071 212
19.5
182
12.3
117
20.5 165.8
134.2 35.8
16.0
251
佐
鷲
良
時
閑
フ ス
l
22.8
49659 I 93003 44658 17809
Ⅰ99
57
69
1903
549
本
114.3
1866
19.3
352
12・1
26.0
321
15.3
191
14.7
188
255
78.6
985
20.3 ・7
233 107
9・4
117
2.5 1.4
32 18
1.I
分
84.4
975
20.4
大
峰
217・0
2079
52.3
536
25.0
263
36.6
395
29・8
323
154.9
1691
51.7 16.3
495 167
5・3
56
3.2 ・1
34 23
2・7
賞
0.17 0.4
12 I
0.3
虎 児 良
80・0
1304
40.5
708
2Ⅰ7
8.8
155
9・2
166
昭鷲 22 23 24
18.0
325
1l・9 1・7
194 30
79.0
1426
1.2
21
14
.29
ヽ 6
昭和
25
2 1 22 23 24 25 26
26
区 分
癒
症
パ ラ チ フ ス
、J
全 国
124
5
0.I
86
21
0
0・9
33
5
0
0
0
1
2
4
13・2.41.2・40・0.224.40.2
三芸●l……I;;1占;1.0
180.47;0,2
3
0 0
0
0
0 2
0
0
4・5Ⅰ・01.9・80・0.3
5212241096
0 0 0 :l
12.24.81.81.3・01・4.50.1
1174919】111543
ol
0.0
29
12.56.13.62.72.11.524.60.5
91544728291721891709130218004386
0・0
福 岡
1
】2.52・21.7・31.20.612.2・3
363635745412235640
長 崎
熊 本
大 '//
苫 崎
0.I
0.5
佐 賀
15・3.3・1.8・60・70.56.30.5
131291754
0・2
鹿 呪 島
0二 O
流行性脳菅随環炎には年次別増減が殆んど認めら
3.61.00.50.30.20.19.61.0
れない.東彼杵部に於て最も多発し,西彼杵郡.大
591815717
.1
1 0
より少いことが多いが.九州地区に於ては高位な示
す場合もあり,低億な示す場合もありて,一定して
村市'対二屈に於て比較的多い.壱岐,北高帝都,読
早市,島原市に於ては本症の発生ほ報告せられてい
いない.
f>-い. w-二T:甲つa卓Tiに上o ^irii二i-:"jニュせ:ミ全;二TP」│
ギ琴吟ら年額い.琴琴杵琴・佐世嘩甲'長野甲,鶴
猫紅熱又は異型椙紅熱に放ても年次別増矧乞殆ん
942 後 藤・吉 田.田二 申
第4表 つ づ き
昭和
21
22
28
24
昭和
26
25
21
22
24
23
25
26
区 分
1.4
全国44.
3236…
1106
福岡18.6
540
0.I
3
佐賀4昌;
0.2
2
l喜鴨31.0
139
0.5
熊本0.6
10
0.I
)ェォ
0.6
475
0.1
】・1
0・0
lil
939
3
0.I
0・0
4
1
0
0
0
0
0
0
mn
27
0.6
0・1
10
2
0
0・2
3
0.1
1
0
0
0
0
0
0
0.7
7
0
0
0
0
0
V
0
0
0
7
2
6.1
5096
3・3.43.75.66.2
22082635298246025174
14.6
515
】・0.71.71.】2.4
4022573686
2.9
27
0.4・20二90・50,5
3285-5
1・8
30
1.3
24
1.31.11,0l.G
1825'171716
0.3
0・1
3iO5
1
宮崎二2去43
鹿児島3主ょ
昭和
21 22
区一
熱
紅
堤
東 疹 チ 二7 ス
23 24 25 26
分
4
8・2O・3IQ..1・20...4
3-OQT
6Z¥6¥7
3.0
.33
0.4
8
0・0.2・30・60・6
4
昭和
22
】・1.1・70・61・0
117611
26
23 24 25
携行性脳菅髄膜炎
ヂ 7 テ リ ア
0.30..20.50..20.6
10
2.04.32.6
143633732052
]
I.8
1・4
1・3
1446
1189
itm臼
手写2.6
84
I.7
57
I.3
46
1.9
1・0.8
1.9
17
I.0
10
0.8
I.0
8
9
0・5
8
Q・7
I.3
ll
21
0.4
0.7
・12
0.5
0.6
7
0.9
ifi
0・9
IO
I.6
・】8
8.7
12
0.2
全 回
68.3
49864
36.2 20.4
28307 16377
17.7
14555
15・1
12561
福 岡
1】5・7
3364
55.8 27.3
1 774
27.4
930
25.2
890
19.7
佐 賀
IO5・8
906
91.1 60.0
837 559
43・7
417
28.5
269
24・3
長 崎
69.6
987
43.9 29.6
672 464
27・1
434
23.8
391
22・0
熊 本
23・0
376
13.0 ・3
13.7
251
】2.4
226
Ⅰ4・4
23o 166
大 分
100・5
1155
62.3 44.8
769 558
29.4
375
22.1
277
Ⅰ8・3
宮 崎
87・3
836
55.8 40・9
572 430
47.8
515
40・2
439
39.2
428
0.6
鹿 児 島
48.9
797
37・4 26・8
23.6
653 474
428
22・2 】9・2
347
0・4
7
12・7
0747
694
230
362
164
229
2.2
33
1.9
340.
7
1・1
1.
2蔓
14
7
68
・10
松浦郡に於て比較的多発し,対.管.長峰軌 南梅浦 赤痢の発生状況は終戦後漸次減少の傾向在示して
瓢北高来部に於て比較的少い.厚生省の統計に二よ いたが26年に再び上昇した・昭和2,2年以降の本症発
0.31.20.8
41510
ると狸紅熱の発生率は常に全国平均より遥かに低い 生率は全国平均より常に低値在示した・九州地底の
が'九州地区に於ける発生率は福岡県に次いで高低 他県に比し終戦直後は比較的高位h,示していた紙
2.62.7
fv示す*%二[?=っ:-机、, ぎt・中tMlttA-蘇-3l械!サJ
5vJめられ'J
2528
】.2 2.21.5
193826
4
長崎県下の風土病分布概観: 943.
第4表
腸チフス及びパラチフスほ全国の趨勢に伴ひ共に
つ づ き
激減している・本症の・東生に閲し,九州の他.中と比
23 24 25 26
区分昭雫Tl 2
全E& 占守
福岡 0.25
佐 賀
長 崎
熊 木
0.・35.9
2634757
0・4
0.9
131
3
0.6
10
1.I
ll
0.2
o.3
0
I l l・7
4 2 31
SHu
0・2
4・
0
5.9 2.6
4925 2 166
3.1 ・7
Il1 60
盤は極めて少い.併し九州の他県に比すれは第1▲位
である.
ヂ7テ.)アの発生率8Li常に全国平均より高い値私
示してはいるが.年と共に減少の一路なたどってい
4・2 3・6
40 34
る.九州の他県に比し特記すべきこと様ない.
0.3 ・9
14
せら.れたものが約1300名ありて ftの中には究明さ
以上の札此の7年間に不明熱性啄卑として報告
1.2
0I1
0
鹿児島
2・0
19
大 分 o
育.崎・
15
0
0二.2
1.6
1284
較して持冨巳すべきことほない・
痘癒ほ昭和21年に多発しているが. 22年以降の露
日 本 脳 炎
4
86
0.6. 0.9
2.1 ・8
39 52
27 40
3.8 2.4
4.2 6.4
26・
′ 4・ 2.0
72 37
あらう・
2二.2 3・2
】 7 1Ⅰ
1 40 れねばならない風車病も幾らか含まれていることで
46 70
4.6 ・1
83
n
■以上私共の調査成績と厚生省及び長崎県の
者の問に相当の差異を生じた原因であらう・
統計とを基礎として,長崎県に於ける風土肴
及び伝染病の成績を記述して釆たが,之等の
叉県への報告は報告を奏者せられた当初は可
成績を判読する場合是非考慮すべき二三の事
項がある.
報告が怠慢た.なることも否めない事実ではあ
第一は私共の調査したのは昭和27年である
から,昭和24, 25年頃迄の記憶は可なり明か
であるとしても,昭和20, 21年頃の記憶に就
第三は私共が間仏合せた1000名の医師の中・
ては可なり不正確なもの,特に忘れられたも
のがあるのではないかと思はれる.文一方終
いかと思はれる.叉1人の患者が2名以上の
戦後死亡した医師もあらうし,他県-転出し
た医師もあらう.従て一般vEL年度の古い程患
者数の少い傾向が見られるが'之は一応上記
のような理由によることも考慮に入れて判断
しないと,只数字のみにとらはれると誤った
推論を下すことになるであらう.
第二は私共の調査数と県の調査数との問に
相当の差異が認められることである.私共に
報告せられたものは臨淋的に診断されたもの
であり,中には臨淋的に疑はしいと思はれた
ものも若干含まれているが,異に報告せられ
たも.のは臨林的に確定されたもの・或は病理
ォiV;的にifc定さ]Lたもので虫,ることが・両
於ては屡々である.之等のことや,第二に述
なり正確に報告されるが,年月が経つと漸次
るま,いか.
500名からの返事に基いて調べた患者数であ
るから,実際の患者数は遥かに多いのではな
家師を訪れる第合のあることも,特に都会に
べた事項等を考慮に入れるならば'私共に報
告せられた患者数には,例-実際の患者数と
異るにしても,著しい誤りはないと考-て然
るべきではあるまいか・
第四に患者の受診地と発病地乃至感染地と
は,特に潜伏期の永い疾患乃至慢性の疾患に
於ては,異る場合が屡々であるので各疾病の
地置別発生状況を諭する場合には供重を要す
・る。私共の調査は発病地に関する調査である
から,此の点も考慮に入れなければならなVI
Jl
l-1j過であるT
944 後 藤・吉 田・田 中
5.・線・括並びに結論
私共は終戟後の長崎異に於ける風土病の発
生状況を調査せんとし,県内の実地医豪1000
名に対し間仏合せを出し,その中500名より
回答を得た.此の成績と厚生省及び長崎県衛
生部の調査成績とを基礎として概ね次の如き
成績を得た・
1)長崎県全体として風土病乃至伝染;丙の
年次別発生状況を調査せるに,比較的増加の
傾向が認められるものに日本脳炎,猶紅熱又
は異型狛紅熱があり,最近著しい増加を示し
狛紅熱又は異型狛紅熱が県下第1位であり'
たものに伝染性肝炎がある.赤痢は一時減少
の傾向にあったが,昭和26年頃から再び増加
し始めた.終戦後逐次減少の傾向を示したも
3)マラ1)ア,破傷風,狂犬;丙,フィラ1)
のは勝チフス及びパラチフス,マラリア,発
疹チフス又は発疹熱及び再帰熱である.共他
の風土病乃至伝染病に於ては著しい増減は認
められない.
2)県内の地1亮別に特に多い疾患を挙げて
発疹チフスは発疹熱と痘痕とが九州第1位を
みるならHT-,対馬では伝染性肝炎が県下第1
位を示し,壱岐に於ては日本脳炎が第1位で
あり,破傷風と鼠攻症の発生は第2位である.
東彼杵郡ではマラ1)ア'流行性脳脊髄膜炎,
正確を快くところはあるが,長崎県内の風土
発疹チフス又は発疹熱及び日本脳炎の発生は
第2位であり,秋季レプトスtioラ病は第3位
oラ
である.西彼杵郡に於ては秋季レプトスJピ:
嘩は第1位でフィラ1)アと流行性脳脊髄膜炎
とは第2位である.南高来群では肺ヂストマ
症が第2位,大村市では発疹熱又は発疹チフ
スが第1位を示している。島原市では破傷風,
鼠唆症及びフィラ1)ア症が第1位を示してい
る.
ア等は九州の他県に比し特に多発していると
思はれるものはない.港定伝染病の中では,
占め,狛紅熱又は異型狛紅熱が比較的高位を
占めて居るが,日本脳炎は九州に於ては最低
位を示している.
以上の成績は考案の所で途べた諸点に於て
病乃至伝染病の発生状況の概要を識るための
一宮料となり得るであらう.・
(本研究は昭和27年度文部省科学試験所究肴補助金の一部によりて待ったものである・ )
(潤筆するに写り,横田教授の御指導並に御校閲h,傑謝し,併せて本調査に御協力下さった県内の
実地医琴の方々に対し感謝する・ )
文 献 省 略