兵庫県の山岳遭難

なるほど兵庫
兵庫県の山岳遭難
兵庫県の山岳遭難は意外と多い。平成年の警
察庁の統計では、遭難件数で全国６位、遭難者数
ている。安易なルート変更による道迷いや地図に
ない道を進み谷に落ちるなど、登山の基本からは
ずれた行動が事故を招いている。また、十分な装
登山時の注意点
備を携帯していない準備不足も原因だ。
兵庫県内の遭難発生の状況
昨年の遭難件数件のうち件は単独登山者で、
うち５人が死亡している。また、歳以上の登山
で５位となっている。
平成年は、遭難件数が件、遭難者数は１１１
人を数え、遭難者数は６年連続で１００人を超え
件と５割
歳以上の高齢者が
者で７人は途中で体調を崩し死亡している。けが
や滑落、体調不良で動けなくなった時、単独では
対応できないこともあり、できるだけ複数人で登
兵庫県はなぜ遭難が多いのか
は、日没も早まり急に寒くなるため、低体温症に
休や９月以降の秋に多い。初夏の昼間は暖かいが、
人で、
件、姫路９件、丹波６件と続く
た。地域別の発生件数は、六甲山系が
を超え、但馬
（表１）。年齢別では、
遭難発生件数上位は、長野、富山、静岡、山梨
など中部地方の県に多い（表３）
。標高２０００
なりやすい。防寒具、ライト、地図などの装備は
山することが望ましい。また、遭難は、５月の連
ｍ以上の山がない兵庫県で遭難事故が多いのは、
必携だ。また、家族に行く先・ルートを伝えてお
全体の５割を超える（表２）。
六甲山や、播磨・但馬の雪彦山、氷ノ山、扇ノ山
くことや「登山届」を提出していれば、万が一事
故に遭遇しても、捜索が容易になる。スマホのＧ
夜の山は、まだまだ冷え込みが厳しい。ことに秋
などの山が市街地から近く、手軽に登山できる環
境にあるからだ。
という時に使えなかった」とならないよう、予備
「転倒」
、
「病気」と続く（表４）。遭難に至った原
年）より高い。次いで多いのは「滑落」で、以下
本人からの通報は捜索がしやすいので、がんば
りすぎないで救助要請してほしい」と兵庫県警は、
のバッテリーは必ず携帯したい。
ＰＳ機能は、救助要請に大変有効である。「いざ
兵庫県の遭難原因で最も多いのは「道迷い」で、
平成年で・６％と全国平均・６％（平成
因としては「気軽に入山したが、道がわからなく
尚之）
呼びかけている。低山と言えども山を甘く見ず、
なってしまった」
「途中で近道しようとして、道
半田
体調を整えて安全な登山を楽しんでいただきたい。
（主任研究員
43
50
構成比
58.6%
18.9%
10.8%
8.1%
3.6%
100.0%
内死亡
0
3
0
7
0
10
遭難者数
65
21
12
9
4
111
道迷い
滑　落
転　倒
病　気
その他
合　計
51
に迷ってしまった」
「下山途中で日が暮れてしま
い、ライトもなく進めなくなった」等が報告され
資料：警察庁「平成26年中における山岳遭難の概況」
兵庫県警察「山岳遭難発生状況（平成23年～平成27年）」
（表４）兵庫県の山岳遭難の状況
（原因別・平成27年中）（人）
標高（m）
3,190
3,015
2,291
3,776
3,776
1,510
2,017
3,190
1,673
2,578
最高峰
奥穂高岳
立山
大雪山
富士山
富士山
氷ノ山
雲取山
奥穂高岳
蛭ヶ岳
日光白根山
内死亡者
46（15.3%）
18（11.9%）
12（ 8.9%）
8（ 6.1%）
19（15.0%）
10（ 7.6%）
5（ 3.7%）
23（17.4%）
7（ 5.3%）
9（ 8.4%）
遭難者数
301
151
135
131
127
132
134
132
131
107
92
合計
7
7
12
13
15
57
111
件数
272
133
120
116
110
108
108
106
97
88
92
死亡
0
0
0
0
2
8
10
都道県
長野県
富山県
北海道
静岡県
山梨県
兵庫県
東京都
岐阜県
神奈川県
群馬県
26
負傷
0
0
3
7
6
24
40
（表３）平成26年県別の山岳遭難の状況
26
57
無事
7
7
9
6
7
25
61
順位
1
2
3
4
5
6
6
8
9
10
41
10歳代
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳以上
合　計
主な山　(　)内は標高、　単位：メートル
六甲山（931）、麻耶山（702）、湯槽谷山（801）
氷ノ山（1510）、鉢伏山（1222）、行者岳（786）
雪彦山（915）、明神山（667）、書写山（371）
三嶽（793）、白髪岳（722）、白山（510）
大峰山（552）、七種山（683）、諭鶴羽山（608）
人数
62
15
10
6
18
111
件数
49
12
9
6
16
92
地域
六甲山系
但　馬
姫　路
丹　波
その他
合　計
58
（表２）兵庫県の山岳遭難の状況
（年齢別・平成27年中）（人）
（表１）兵庫県の山岳遭難の状況（地域別・平成27年中）
60
12
49
27
27

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