酵素による ポリエステル系プラスチックの 選択的モノマー化 筑波大学 大学院生命環境科学研究科 生命産業科学専攻 中島敏明 なぜ「リサイクル」か? 最近聞かない「生分解性プラスチック」? 燃やしてしまっても いいんです? バイオ(マス)プラスチック 植物由来プラスチック とうもろこし さとうきび 光合成 CO2 食料と 競合!! 乳酸菌 糖化・発酵 ポリ乳酸 乳酸 カーボンニュートラル (CO2が増えない) リサイクルの問題点 物理的方法 化学的方法 プラスチックを再融解 化学的にモノマーまで分解後 回収・再合成 安価・容易 一次生産品と全く同等 ポリエステル系プラスチック (エステル結合の加水分解) 品質の低下が避けられない 再生品の用途が限られる 廃棄物は混合物!! 分別が最も困難 生物化学的方法 酵素を用いたバイオケミカルリサイクル 酵素の基質特異性を利用 酵素A プラスチック廃棄物 (グリーンプラを含む) 酵素B (残渣) 埋め立て・燃焼・再融解 モノマーA モノマーB ・混合物の中から高純度モノマーを取り出す プラスチックの分別不要・ハイブリッド型にも対応 ・常温・常圧による分解 分解酵素は自然界に必ず存在 プラスチック分解酵素に関する 知的所有権 • • • • • • • • • • • 特許3984616 新規ポリエステル系プラスチック分解酵素および その酵素をコードするポリヌクレオチド 特許3984615 新規ポリエステル系プラスチック分解菌 PCT/JP2006/300942 WO06/078011 新規ポリエステル系プラスチック分解菌、ポリエステル 系プラスチック分解酵素およびその酵素をコードする ポリヌクレオチド 特許3899080 新規ウレタナーゼ 特開2006-055005 新規ウレタナーゼ遺伝子 特開2004-261103 新規ウレタン結合分解菌 PCT/JP2004/002691 新規ウレタン結合分解菌 特開2004-261102 エステル結合含有プラスチック分解微生物、プラスチッ ク分解酵素および該酵素をコードするポリヌクレオチド 特開2004-166542 新規プラスチック分解菌 特開2004-166540 新規なプラスチック分解酵素および該酵素を コードする遺伝子 特開2006-271367 生分解性プラスチック分解酵素をコードする遺伝子の 取得方法、それにより得られる新規遺伝子および酵素 ポリブチレンサクシネート -co-アジペート分解菌 TB-71株 TB-71株 ポリブチレンサクシネート-co-アジペート(PBSA) O O O (CH2)4 O C (CH2)x C E.coli 1,4-butanediol n X=2 Succinic acid X=4 Adipic acid Leptothrix 属に分類される新種である TB-71株によるPBSAディスク分解の 経時変化 300 1 0.8 生育量 PBSA disc 300mg ) 150 0.4 100 50 50ml NB 30℃,200rpm, 0.2 エステラーゼ 0 0 0 12 24 36 48 培養時間(時間) 60 72 580 0.6 生育量(OD PBSA disc 200 PBSA (mg) Heat PBSA pellet press エステラーゼ活性 (unit/ml) PBSA 250 PBSA分解酵素 分子量 MK 1 2 3 4 97,400 66,267 42,400 30,000 20,100 分子量 約27,000Da リン酸緩衝液 14,400 (Da) ・A kind of esterase (or lipase) ・Stable at 35~55℃, pH5.5~9.0 ・Strict substrate specificity 精製酵素 PBSA分解酵素の基質特異性 PBSA PBS PES PLA PHBV PCL 完全分解 + ― + ― ― + TOC(mg/ml) 2.02 0.187 1.65 0.128 0.124 2.59 酵素のみ 0.191 反応前 反応後 30℃, 1hr 酵素2.0U/ml PBSA分解産物の検出 1cm2 30℃,200rpm,2hr PBSAフィルム 約0.4mg 0.1 M リン酸緩衝液 (pH7.0) Succinic acid カラム: Aminex HPX-87H 移動相: 0.01N H2SO4 検出器: RI (示差屈折率計) Adipic acid 1,4-Butanediol 0.21 mg 0.057 mg Recorder response 0.19 mg HPLC assay 12.5 時間(min) 時間(min) 25.0 PBSAをモノマーにまで完全分解した PBSA分解酵素遺伝子 プロモーター SacI PstI SphI SacI SphI pBSL1 MQRRLIQRLAFLAATTVFAGSAFAGNFTASYSAGLSSYSIKGTEPDSGKHPVFIYTVG TTESYDNAQAMGAVAEMAAKGFVAAAVQYDSSLFGTCSQILSKARYIYNSGSTSSAIS シグナルペプチド TB-71株由来精製酵素のN末端アミノ酸配列と一致 KLCSRASADCSKGVVVAGFSQGSVIALNAKNYDSRVRAAYGMGSHTSYTTYLMSSCMT PGGYTISKDNVRIVNGQSDSFPVGTVRSSSESVAGRSCGSFAYECLATNGSGWIMIRD 推定リパーゼボックス SDVGDLSADHCYQRVGGCTGLQSVTDSTWRNGSTNWGLKANLNWLNGFVTH PBSA depolymerase pbs3A 塩基数 アミノ酸 分子量 849 bp 283残基 (シグナルペプチド24残基) 29812Da (プロセシング後27,190Da) 相同性のない新規酵素と判明 分解酵素の応用 (リサイクル以外の関連分野) • 生分解性プラスチックの迅速分解 – 「野焼き」に代わるマルチ処理 • 生分解性プラスチックの分解性評価 – 複数の「標準」分解酵素セット 他分野への応用 リパーゼ・エステラーゼ ・固体ポリエステルに対する高い分解性 (市販リパーゼの100倍以上) ・進化的に特異な酵素が多い 有機合成等への利用 基質特異性・反応条件・生産条件 固体ポリエステルを用いた新規スクリーニング方法 ポリウレタンの分解 (ポリウレタンの基本構造) ポリエステルやポリエーテルがウレタン結合によって さらに伸張したハイブリッド型ポリマー 低分子ウレタン化合物 Toluene-2,4- dicarbamic acid dibutyl ester(TDDE) C4H9-O-C-N N-C-O-C4H9 H O CH3 ウレタン原料となるイソシアネート(2,4-TDI)と ブタノールから合成 Rhodococcus equi TB-60株 TB-60株の生産する各種分解酵素 4. 0 1. 25 +Acetanilide 1. 00 3. 0 0. 75 2. 0 0. 50 1. 0 0. 25 0. 0 0. 00 4. 0 1. 25 -Acetanilide 1. 00 3. 0 0. 75 2. 0 0. 50 1. 0 0. 0 0. 25 0 24 48 Cultivation time (h) 72 0. 00 OD580 Acet ani l i de pNPA pNAA EPC ウレタナーゼ活性 TB-60単独による エーテル系ポリウレタンの分解 1 2 3 Contrtol Acetanilide無添加 Acetanilide添加 1、2 ポリプロピレングリコールベースのエーテル型PUR 3 ポリジエチレングリコールベースのエステル型PUR Acetanilideはウレタナーゼの誘導基質 培養10日後 【課題】 (現在進行中) 酵素の低コストな量産法の確立 酵素の機能強化・基質特異性改変 (パートナー募集中) プラスチック分解プロセスの最適化 モノマーの回収方法 酵素製剤としての他分野への利用 【技術移転について】 科学技術振興機構(JST) シーズ展開課 技術移転プランナー: 鷲田 弘 電話:03-5214-7519 FAX:03-5214-8454 E-mail :[email protected]
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