Title Author(s) Citation Issue Date URL Basic Study on Permeation and Inventory of Hydrogen Isotopes in Plasma-Facing Metals( Abstract_要旨 ) Takagi, Ikuji Kyoto University (京都大学) 1994-03-23 http://dx.doi.org/10.11501/3094412 Right Type Textversion Thesis or Dissertation author Kyoto University ⊂5 7 6】 じ たか ぎ いく 高 木 郁 学位( 専攻分野) 博 士 学 位 記 番 号 論 工 博 第 2832 号 学位授与の 日付 平 成 6 年 3 月 23 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4条 第 2項 該 当 学位論 文題 目 Bas i cSt udy onPe me a t i ona ndI nve nt or yofHydr oge nl s ot ope si nPl a s ma-Fa c i ngMe t a l s 氏 名 ( 工 学) (プラズマ対 向材料 における水素 同位体 の透過 とイ ンベ ン トリに関 す る基礎 的研究) (主 論文調 査 委 員 査) 教 授 東 論 邦夫 文 内 教 授 今西信嗣 容 の 要 教 授 若谷誠宏 旨 本論文 は,核融合炉の燃料である水素同位体のプラズマ対向材料中におけるプラズマ誘起透過現象 と捕 捉現象について実験的に研究 した結果 をまとめた ものであ り, 8章 よ り構成 されている。 第 1章は緒論であ り,核融合炉の研究開発 において,水素同位体のプラズマ対向材料 における熱的挙動 を研究する必要性 について述べ,い くつかの熱的挙動の中で も,特 にプラズマ誘起透過現象 と捕捉現象が 重要であることを指摘 している。 また,水素 ガスが金属材料 中を透過す る現象 について概説 し,プラズマ 誘起透過が通常の水素 ガス透過 と異なる特異 な現象であることを示 し,本研究の 目的について記 している。 第 2章では,気相か らの通常の水素 ガス透過 をは じめ, プラズマ誘起透過や捕捉現象 を含 む,金属材料 中における水素同位体の熱的挙動 を記述す るモデルを提案 している。 このモデルは水素同位体の捕捉が結 晶材料中の格子欠陥に起因す るという観点に立 って構築 されてお り,捕捉現象 を記述す るために従来か ら 提唱 されているモデルを包括す るものであることも明 らかに している。 第 3章では,小型のプラズマ実験装置 を用いて,金属試料中のプラズマ誘起透過現象 を観察 し, プラズ マか ら飛来す る水素 イオンのエネルギーやプラズマ対向材料の照射履歴が及ぼす影響,プラズマ誘起透過 における水素の同位体効果 を実験的に検討す ると共 に,中性原子の存在が顕著 な透過現象 を引 き起 こす こ とを明 らかに している。 また,大型プラズマ実験装置のパルス運転 を模擬す るために,試料 をパルス状 に プラズマに曝 した場合の透過流量の時間応答 を計測 し,第 2章で導いたモデルで実験結果 を再現で きるこ とを示 している。 第 4章では,大型 プラズマ実験装置であるヘ リオ トロンEの放電 プラズマ洗浄時 に,顕著 なプラズマ誘 起透過が起 こることを明 らかにすると共 に,水素同位体 と不純物の リサイクリングが水素の透過 に大 きな 影響 を及ぼす ことを示 し,プラズマ誘起透過現象が,放電洗浄の進行 をはかる指標 と成 り得 ることについ て議論 している。 また,水素同位体の熟的挙動 を決定す る重要 な定数の 1つである再結合定数 を,ヘ リオ トロンEを用いた実験 によって も求め,検討 している。 3 He ,p) 4 Heを用いたイオンビーム分析法 によって,重水素 のプラズマ誘起透 第 5章では,核反応 D( -1 5 69- 過 を起 こしなが ら金属試料 中の重水素濃度 を同時にその場観察 し得 る手法 を開発 したことについて述べて いる。 この同時観察法 を適用 して実験 を行 った結果, プラズマ誘起透過 は通常の拡散過程 によって支配 さ れてお り,水素 プラズマに対 向す る上流側金属表面 における水素濃度が極 めて高 くなることによって,顕 著 なプラズマ誘起透過現象が起 こることを明 らかに している。 第 6章で は,ヘ リウム 3イオ ンを照射 したニ ッケル中に捕捉 される重水素濃度のイオ ン照射量,試料温 皮,溶解 している重水素の濃度お よび時間に対す る依存性 を調べ るために,前章 に記 されている同時観察 法 を適用 し,その実験結果 を解析す ることによって,捕捉サ イ トの密度やニ ッケル中に溶解 している重水 素 に対す るポテ ンシ ャルの深 さを求めている。 また, プラズマ対 向材料 における透過 とインベ ン トリに捕 捉現象が及ぼす影響 を,第 2章で提案 したモデルを用 いて計算 し,その結果 について議論 している。 第 7章では,同時観察法 をさらに発展 させ ることによって,ヘ リウム 3イオンを照射 したニ ッケルに捕 捉 される重水素の表面か らの深 さ方向分布 を観察 し, この分布 は損傷 を形成 させ るために照射 したヘ リウ ム 3粒子 の分布 よ りは,む しろ,照射粒子 によって生 じた弾 き出 し損傷 の分布 に一致す ることを明 らかに している。 また,第 6章 と上記 の結果,お よび,捕捉 される重水素量のエ ネルギー依存性 の観察結果か ら, 水素 同位体 の捕捉現象は格子欠陥 に起 因す る ものであ ることを示 し,捕捉サ イ トの生成率 を求めている。 第 8章 は結論であ り,本研究で得 られた結果 を総括 している。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本論文 は,核融合炉のプラズマ対 向材料 における水素 同位体の透過 ・漏洩, リサ イクリング,照射欠陥 との相互作用 な どに対 して重要 な役割 を果た しているプラズマ誘起透過現 象 と捕捉現象 について実験的研 究 を行 った結果 をまとめた ものであ り,得 られた主な成果 は以下の通 りである。 1.ニ ッケルやステ ンレス鋼 な どの金属試料 中を重水素がプラズマ誘起透過 してい る時 に,イオン加速 He+ ィォ ンによる核 反応 D( 3 He ,p) 4 He を用いて,試料表面近傍 の重水素濃度 をその 器 か ら照射 した 3 場観察 し得 る実験手法 を新 たに開発 した。 また,プラズマ誘起透過現象 と捕捉現象 を記述す るモデルを提 案 し,その有用性 を明 らかに した。 2.プラズマ誘起透過 における大 きな透過流量 は,金属試料 中のプラズマに対向 した表面近傍 における 水素の濃度が極 めて高 くなることが原 因であることを,上記のその場観察法 を適用す ることによ り明 らか に した。 また,ヘ リオ トロンEの ような大型 プラズマ実験装置のプラズマか らも,顕著 なプラズマ誘起透 過が起 こることを実験的に確認 した。 3.3 He+ ィォ ンを照射 した金属試料 中に捕捉 され る重水素の表面か らの深 さ方 向分布 を種々の条件で 調べ, プラズマ対 向材料 中の トリチ ウムイ ンベ ン トリ量 を決定す る重要 なパ ラメータを実験 的に定めた。 また,捕捉 され る水素原子の濃度分布が,金属試料の格子原子の弾 き出 し損傷の分布 と相似であることを 明 らかに した。 以上,要す るに本論文 は,プラズマ にさらされた金属材料 中における水素同位体の熱的挙動 を新 たに開 発 した実験方法 を もって定量的に研究 し,核融合炉のプラズマ対向材料 の開発 に重要 な多 くの知見 を得た ものであ り,学術上,実際上寄与す る ところが少 な くない。 よって,本論文 は博士 ( 工学 )の学位論文 と -1 5 7 0- して価値 ある もの と認 め る。 また,平成 6年 1月 1 2日,論文内容 とそれに関連 した事項 につ いて試問 を行 った結果,合格 と認 め た。 -1 5 71-
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