遺伝子工学実験用試薬としての 新種好熱菌由来DNA合成酵素 創価大学 工学部 環境共生工学科 黒沢 則夫 1 新技術の概要 群 馬 県 の 温 泉 か ら 分 離 し た 新 種 の 好 熱 菌 Thermus kawarayensis の DNA 合成酵素は、DNA を鋳型として DNA を合成する通常の活性に加えて、RNA を鋳型として DNA を合成する活性(これを逆転写活性という)を持って いた。この逆転写活性は、従来知られていたどの好熱菌の 逆転写活性よりも強いため、試験管内で RNA を鋳型とし て DNA を合成する遺伝子工学実験に非常に有用である。 2 新技術の特徴・従来技術との比較 好熱菌由来の DNA 合成酵素で逆転写活性を有するものとし ては、Thermus thermophilus の DNA 合成酵素が知られ ていた。 群馬県の川原湯温泉から分離した Thermus kawarayensis の DNA 合成酵素の逆転写活性は、これよりも格段に強い。 すなわち Thermus kawarayensis の DNA 合成酵素を遺伝 子工学実験のひとつである逆転写反応に用いることにより、 より確実な試験管内 DNA 合成が期待される。 さらに、本酵素は精製が容易であるため、おそらく従来品と 比較してより安価に製造できると考えられる。 3 新技術の特徴・従来技術との比較データ DNA pol. 活性 (U/mg) 逆転写活性 (U/mg) Tka DNA pol. 181 1.72 Tth DNA pol. 177 1.11 Taq DNA pol. 129 0.16 4 想定される用途 遺伝子工学(分子生物学)研究用試薬 1)高温での逆転写反応(RNA を鋳型に用いて相補的 DNA を合成する反応)に用いた場合、鋳型の二次構造の 影響を受けにくいため、良好な収率が期待できる。 2)通常の PCR 反応(ポリメラーゼ連鎖反応)による DNA 増幅にも用いることが出来る。 5 想定される業界 バイオ関連研究用試薬メーカーをはじめとした、組換えタ ンパク質の生産設備を有する企業が想定される。 6 本技術に関する知的財産権 発明の名称:好熱性細菌サーマス・カワライェンシス由来 耐熱性 DNA ポリメラーゼ 出願番号 :特願2005-296111 出願人 :創価大学、タマティーエルオー株式会社 発明者 :黒沢則夫、松川博昭 7 お問い合わせ先 創価大学工学部 環境共生工学科 黒沢 則夫 TEL& FAX : 0426-91-8175 E-mail : [email protected] 創価大学リエゾンオフィス 三浦 協一、清水 俊幸 TEL : 042-691-9400 / FAX : 042-691-9311 E-mail : [email protected]、[email protected] タマティーエルオー株式会社 産学官連携事業部 勝浦 雅士 TEL : 042-570- 7240 / FAX : 042-570- 7241 E-mail : katsura@tama-tlo.com 8
© Copyright 2025 ExpyDoc