報告書

別紙様式1
平成27年度学術研究推進経費 共同研究推進経費
プロジェクトの名称
研究成果概要報 告 書
実践的指導力を身につけた理科教師の育成
- 授業実践を取り入れること,理論を学ぶこと,この両面を取り入れた新しい大学
の授業と評価法の開発 -
報告者氏名・所属・職名
プロジェクト担当者
(氏名・所属・職)
古屋光一 ・ 旭川校 ・ 教授
古屋光一 ・ 旭川校 ・ 教授
研究内容及び成果の概要
本研究の特色は,大学の一つの講義「中学校理科教育法Ⅱ」において,①授業を作る上で必要なアカデミッ
クな知識を身につける,②それを生かした模擬授業を行う,この2つを学ぶことで実践的指導力を育てること
を目指す。またその効果を評価する方法を開発することにある。
(1)アカデミックな知識の明確化
実践と結びついた知識で,授業の構成,教える技術・方略・アプローチなどの具体化である。この講義の後,
実際に教育実習をするにあたり,必要な知識を明確化した。
(2)授業実施のモデルの開発(模擬授業を含む)
この段階では,まだ経験のない学生であるため,授業計画づくり→授業の実施→反省を1サイクルとした模
擬授業を3サイクル実施した。本研究では,①模擬授業をする場合,1 サイクル 25-30 分を授業実施,議論及
びまとめの時間とした。授業時間は 10 分とした。②全員が同じ時間の長さで模擬授業をすること,③授業開
発はチーム(1チーム3人)で行うこと,④1サイクル行った後,次の模擬授業では,この経験で学んだこと
だけを使うのではなく,あらたな,アカデミックな知識を学習して,それを生かすこと,このようなサイクル
を作り上げる。具体的には次のように実施する。
・一つの講義の回数は 16 回である。
・この 16 回のうち 3 回模擬授業を行う。ただし,1 回の模擬授業は 2 コマ連続の講義とした(表1)
。
・3 回の模擬授業の前にアカデミックな知識(授業についての基礎理論)を教えた。
・16 回の授業のうち模擬授業 6 コマ,アカデミックな知識,テストなど 10 コマとなった。
・チームを作り,授業作りを共同でする。学生全員が一度は授業をした。
・授業実施(10 分)→質疑応答→コメントおよびまとめ:この1つのサイクルを 25 分とした。
・3つのグループ内(1つのグループ 15 人×3つ=45 人)での発表とした。1 つのグループに
5 チーム(5×3 人=15 人)が配分される。この中で模擬授業をする。その際,学生同士で質疑応答,
コメントを出す。また,このとき指導補助を大学院生と 4 年生に依頼した。
・模擬授業の前に全ての授業(これを「プレ授業」と呼ぶ)を,個別に見て,指導をした(大学の講義以外の
時間帯)
。その上で大学院生等にどのような指導をするか,打合せをした(表2)
。
1
表1:学生への講義(理論と授業実践)ただし,模擬授業は個人が実施する(10 分の模擬授業)
理論
理論
理論
理論
理論
理論
理論
第 1 回模擬
第 2 回模擬
第 3 回模擬
演習
演習
演習
演習
演習
演習
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
理論
補足
15
まと
め
16
1
プレ
授業
3 コマ
打合
1 コマ
2
表2:学生のプレ授業・TA との打合せ(講義以外)
。プレ授業は全て個別に指導
プレ
プレ
第 1 回模擬
授業
第 2 回模擬
授業
第 3 回模擬
3 コマ
3 コマ
反省
打合
反省
打合
1 コマ
1 コマ
1 コマ
1 コマ
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
反省
1 コマ
15
16
理論
回
学生
TA
(3)結果
この講義についての学生の自由記述(その一部)
○「一人一人が模擬授業や指導案作りの機会があったことが非常に良かった。
」
○「授業の展開方法や分析のしかたなど,時間をかけて丁寧に学ぶことができたので,理科の授業作りに対し
て,自信と明確な課題が見つかり,とてもためになった。
」
○「授業の作り方などをしっかりと学ぶことができた講義だった。実習前にこの講義を受講できて良かった。
」
○「・・模擬授業を行ったことで,班員と授業について話し合うことができた。1 回だけでは,ここまで話し合
えないと思いました。・・」
△「10 分の模擬授業だけでは,50 分の流れがつかめなかったので,難しいとは思いますが,実際の 50 分で授
業を体験したかった。
」
△「毎週の時間外活動の負担は大きかったが,とても自分のためになった。
」
当該研究で残された課題と今後の展望
実践的指導力を身につけた理科教師の育成について,
指導力を評価する方法について研究を続ける事が必要で
ある。
成果の公表の状況
(1) Koichi Furuya, Developing pre-service teachers' "practical science teaching skills" through lesson study in Jap
an, ESERA2015: The 11th biannual Conference of the European Science Education Research Association (E
SERA), Helsinki, Finland, Conference Book p88
(2) Koichi Furuya, Developing pre-service teachers' "practical science teaching skills" through lesson study, ESER
A2015, e-Proceedings of ESERA 2015 9 pages, (ESERAが現段階で作成中)
教育現場で活用可能な分野等
ここで用いた方法は,理論の学習とそれに基づいた短時間の授業研究である。教育現場でもここで実施した理
論の学習と授業研究を体験することが可能であると考えられる。
配布又はダウン なし
ロード可能な資
料
問い合わせ先
代表者:古屋 光一
電 話:
FAX :
mail :furuya.koichi(at)a.hokkyodai.ac.jp (at)はアットマークです。