29P-0921

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ステロイド外用剤と保湿剤の併用タイミングによるステロイド皮膚内取り込みへ
の影響
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鈴鹿医療大薬 病態・治療学分野 臨床薬理学研究室,
◯大井 一弥 1 ,三谷 宜靖(
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鈴鹿医療大薬 臨床薬学センター)
【目的】ステロイド外用剤と保湿剤の併用は、臨床で頻繁に行われるが、どちら
を先に塗布するかという併用タイミングについての根拠は明らかではない。今回
我々は、豚耳を用いて塗布順序が皮膚内へのステロイド移行に影響するか否かに
ついて検討した。また、健常皮膚へのステロイド移行についても検討した。
【方法】豚耳に 2.4%デキサメタゾン吉草酸エステルおよびヒルドイドを適用し、
併用の場合、各々適用後 5 分とした。3 時間後、残存した薬剤を拭き取り、豚耳の
組織を粉砕し、遠心後上清をサンプルとし、HPLC にて皮膚中デキサメタゾン吉草
酸エステルを定量した。次いで豚耳同様に健常皮膚を対象として外用剤を適用し、
in vivo 共焦点ラマン分光装置(Model 3510、River Diagnostics)を用いて皮膚
中のデキサメタゾン吉草酸エステルの相対値を求めた(鈴鹿医療科学大学の倫理
委員会承認済)。
【結果・考察】豚耳では、デキサメタゾン単独、デキサメサゾン先行、ヒルド
イド先行の順に皮膚内へのステロイド移行が高かった。これは、健常皮膚でも同
様の傾向であった。但し、それぞれの差は、わずかであり、臨床的効果に差が認
められることは考えにくく、どちらを先行塗布するということよりも、重層を遵
守することが重要と考えられた。