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グリーンリース
環境配慮型リース
エナジー&サステナビリティ サービス
2016年7月
はじめに
本報告書においては、グリーンリース(環境配慮型リース)の利点
2015 年にオーストラリアのシドニー市長の主導により発足したベ
や世界における成功事例を紹介させて頂きます。また将来想定され
ター・ビルディングス・パートナーシップによる調査 <*1> や GRESB
うるリスクについて、グリーンリースがどのようにしてリスクを回
の年報 <*2> によると、グリーンリース契約の導入は増加傾向を示し
避しながら、従来の賃貸借取引(リース)よりも優れた環境性能を
ています。その背景には以下要因が挙げられます。
発揮し、かつまた関係者とのつながりを強化できるかといった点に
ついて報告させて頂きます。あわせてグリーンリースの導入方法や
導入メリットを最大限に活かすことのできる JLL サービスについて
もご紹介させて頂きます。
グリーンリースとは、省エネルギーや環境問題について不動産オー
ナーとテナントがより密に協同することで、双方にとって多くのメ
リットを享受できる取り決めとなります。グリーンリースは、環境
性能の点で成功事例となり得る賃貸借取引であるという考えが近年
浸透しつつあるため、その取り決め条項は賃貸借契約における新た
なるスタンダードとなっています。
• 多くの国において、新築ビルの割合はビル全体の母数に対してご
く一部(オーストラリア 2%<*3>、中国 5%<*4>)であり、大部分は
省エネや環境性能が要求条件として挙げられています。
• 多くの商業市場においては、通常オーナーによる利用よりも賃貸
スペースの方が広く普及しています。オーストラリアでは商業用
不動産物件の約 7 割が賃貸物件、シンガポールでは約 9 割に達し
ます。
• ビル全体で使用されているエネルギーのうち、テナントによるエ
ネルギー消費が半分を占める場合、ビルのエネルギー消費量はそ
の施設の設備だけではなく、テナントの行動や使用状況に大きく
左右されます。<*5>。
• サステナビリティを考慮せずに設計されたビルであったとしても、
グリーンリース契約を締結することで、優れた環境性能を発揮し、
なおかつ次ページの図に示したグリーンリースならではの数々の
メリットを享受するメカニズムを構築することが可能となります
<*1>
Dawson, B., Langbroek, R., Janda, K. 及び Thomas, B.(2015 年 7 月)。『賃貸借契約における新たな標準規格:賃貸借取引契約のスタンダード及びマーケットから読み取れる、グローバル
課題ならびに投資期待への対応の必要性』
。ニューサウスウェールズ州シドニー市で開催されたベター・ビルディングス・パートナーシップ・ワークショップでの講演。
<*2>
GRESB:不動産の ESG(環境・社会・ガバナンス)パフォーマンスを評価する業界団体である Global Real Estate Sustainability Benchmark(グローバル・リアル・エステート・サステナビ
リティ・ベンチマーク)の略 www.gresb.com
<*3>
オーストラリアグリーンビルディング協会(GBCA) http://designbuildsource.com.au/great-existing-building-challenge。Tony Arnel:GBCA 議長(2011 年 10 月 5 日)
<*4>
上海リサーチ・インスティチュート・オブ・ビルディング・サイエンス、Wang(2006 年)
<*5>
BCA ビルディング・エネルギー・ベンチマーケティング・レポート 2014 年
2 JLL
環境性能の改善
重要な事項について不動産オーナーとテナントの双方が
自主的に関与する体制が生まれます。堅実なサステナビ
リティ戦略があれば、省エネ化は加速し、環境性能は向
上します。賃貸借契約に織り込まれ、実践し易いサステ
ナビリティ対策を行った JLL のクライアントは、約 3%
∼ 10% のエネルギー削減を達成しております。
協同体制の強化
生産性や快適性の向上
「グリーンリースは、米国の賃貸借取引オ
フィス物件市場において、年間で最大 33 億
ドルのコスト削減、ならびに最大 22% のエ
ネルギー消費削減、それに光熱費支出を 1
フィート平方あたり 0.51 ドル削減できる可
能性を持っています。
(2015 年、IMT <ビル
オーナーとテナントとの間で協同体制が強化されます。
のエネルギー効率向上を目指す非営利団体。
グリーンリースでは、win-win の関係を重視しています。
ワシントン DC に本拠を置く)
グリーンビル(環境配慮型ビル)や増加傾向にあるグリー
ンリースは、エネルギーや水、廃棄物といった問題の先
を見据えたサステナビリティ全般に関する課題にも対処
します。
(オフィス環境における健康、福祉及び生産性:
JLL 協賛『グリーンビルが迎える次章』2014
企業のサステナビリティ
組織が社会において目指そうとしている持続可能な目標
目標達成を支援
や方針をグリーンリースは支援します。
メリットを得られる体制
環境対策を取り入れた金銭的メリットをオーナーとテナ
づくり
ントの両方に還元させることで金銭的メリットの分配に
関する問題をクリアし、より現実に即したビル管理ビジ
ネスモデルを提供します。
情報の透明性
年報告書)
「室内の空気環境(IAQ)が優れているもの
であれば、生産性は 8% ∼ 11% 向上します。
「温熱環境が快適であれば、生産性において
ひと桁台の改善を見込むことができ、資源
の省エネにも繋がります。
データ共有や定期的な報告を通じて情報の透明性が増
し、テナントとオーナーの相互が合意した目標の達成度
が把握できるようになります。
グリーンリース 3
オーストラリア及び各国の成功事例
世界各国で JLL が関わった賃貸借取引の中から、環境に配慮した成
エネルギー使用の透明性とモニタリング
功事例を紹介します。JLL の強みであるグリーンリースについて、グ
オーストラリアやシンガポールから報告された賃貸借契約サポート
ローバルな視点から分析した点について以下に報告させて頂きます。
に関する成功事例の中で特筆されている点は、建物のテナント部分
賃貸借取引の成功事例には、多くのアプローチやガイドラインが存
とベース・ビル(テナントが運用・管理しているビル)のエネルギー
在しますが、重要なポイントは大きく分けて 5 点となります。
消費に関する分析と報告、並びに不動産オーナーとテナントとの間
エネルギー及び環境パフォーマンス基準
オーストラリアやシンガポール、米国から寄せられた賃貸借取引の
成功事例では、エネルギー・パフォーマンス基準に関する条項を定
める傾向が目立ち、その中でオーナーとテナントの双方に義務を課
しています。そのように施行することで、コンプライアンスが明確
になり、建物の省エネと性能ベンチマークが明確に規定されます。
採用されているエネルギー性能基準には、最低でも NABERS(オース
トラリア建築環境格付け制度)またはグリーン・スター認証(オー
ストラリア)、グリーン・マーク認証(シンガポール)
、LEED(エネ
ルギーと環境に配慮したデザインのリーダーシップ)認証(米国)
があります。必要とされているエネルギー目標を達成しながら、エ
ネルギー性能向上を図ることもできます。例えば、オフィスにおけ
る仕切りや壁のないオープンスペースで推奨される照明エネルギー
消費量は 1 平方メートルあたり 8 ワットです(シンガポール)。
ビル管理委員会(BMC)
不動産オーナーとテナントの代表でメンバーが構成され、グリーン
リースに関する活動の権限が認められているこの委員会は、建物の
性能向上推進に大きな役割を果たします。定期的に会議が開催され
ることで、エネルギー性能に関する話し合いの場が設けられ、運用
改善や改修計画の実施に踏み切ることができるため、不動産オーナー
とテナントとの関係が強化されます。ビル管理委員会(BMC)の場
を利用して、運用改善や改修計画の実施を支援し、オーナーとテナ
ントの協同業務を創出することもできます。オーストラリアでは、
BMC は連邦政府のグリーンリース特約(GLS)において重要な役割
を果たす要素であり、またシドニー市 <*6> 及び英国 BBP のモデル賃
貸借契約条項 <*7> の両方において、あるいはシンガポールにおける
ビル及び建築物機関(BCA)のグリーンリース・ツールキット <*8>
においても委員会設置が提唱されています。
におけるエネルギー消費データの共有が必要条件として求められて
いることです。具体的には、不動産オーナーとテナント間において、
最低でも水光熱消費のメーターを区分けし、建物パフォーマンスの
信頼性を高める取り組みがあります。状況とコストが許す限り、エ
ネルギー最終使用者のところで消費量を計測することができれば、
ビルのどの部分においてもエネルギー使用量が明確になり、運用改
善や改修すべき点を容易に特定することができます。エネルギー消
費データを定期的に分析・報告することにより、目標達成度をその
都度把握することができ、極端な消費があった場合においても、速
やかに調査を実施することができ、状況の許す限りオーナーかテナ
ントのいずれかにおいて迅速な対応を可能とします。エネルギーに
ついて詳しい報告を行っていれば、テナント部分やベース・ビルの
計画に生じた変化の影響についても本質を把握しやすくなる上、省
エネ対策が成功した場合の分析も容易に行うことができます。
経済的メリット
グリーン賃貸借取引における多くの成功事例では経済的なメリット
が考慮されているため、省エネ基準の認証取得が目標に見据えられ、
その目標を目指して取り組むことで、結果として目標達成に結びつ
きます。そのメリットが賃料の見直しという項目で反映される場合
もあり、シドニー市のベター・ビルディングス・パートナーシップ
(BBP) のモデル賃貸借契約条項では現にこれを推奨しています。グ
リーンリース特約(GLS)に定められた必要条件のほかにも、オー
ストラリア連邦政府による賃貸借取引の中には賃料見直しの際、最
低でも NABERS エネルギー認証に基づいた交渉が行われてきました。
JLL の事例を振り返ってみても、オーナーとテナントの双方が建物の
エネルギー・パフォーマンスに取り組み、取り決めた省エネルギー
目標を達成したい場合には、経済的なメリットをグリーンリースに
含める方法が効果的であることが分かっています。
経済的なメリットは幅広いタイプの施設にて享受することができ、
データセンターもその一つです。JLL では、PUE(データセンターの
電力使用効率を示す業界での標準的指標)の上限を超えた冷房費は
すべて不動産オーナーが支払うことを定めたデータセンターに特化
した賃貸借契約を新たに考案しました。
原状回復条項
賃貸借契約の終了時に原状回復を義務付けた条項を設けることで、
テナントもオーナーも時間や資源、コストを節約することができま
す。シドニー市の BBP のモデルグリーン新貸借契約条項では、契約
終了時における対象物件周辺の整備と原状回復を考慮した二つの条
項が含まれています。従来の賃貸借契約では、リース契約終了時に
は当該物件を契約開始時の状態に復旧させることをテナントに求め
ていることが多く、そのテナントが当該物件入居時に何らかの装置
を取り付けたことでオーナーが少しでも利益を得ることになったと
しても、その点は問わないものとしています。この要請を考慮しな
<*6>
シドニー市ベター・ビルディングス・パートナーシップ (BBP)、2013 年 12 月、
モデル賃貸借取引条項
<*7>
ベター・ビルディングス・パートナーシップ(英国)
「
、グリーンリース・ツールキット」
<*8>
建築建設庁(BCA)、2014 年 6 月、「グリーンリース・ツールキット」:オフィス・
グリーン特約 2014
4 JLL
いグリーンリース条項ならば、オーナーとテナントの双方が経済的
メリットを得られ、廃棄物を大幅に削減できる可能性があります。
JLL によるアンケート調査
直近の BBP による研究及び GRESB の年報によると、賃貸借取引は
ますますグリーン(環境志向)であることが示されていますが、グ
リーンリースそのものが及ぼした影響について言及した調査はほと
んど行われていません。この状況に鑑み、JLL は 2013 年にグリーン
リースが ESG(環境・社会・ガバナンス)成果の達成にどれだけ役
立っているかを調べるためのアンケート調査を実施しました。対象
オーストラリア連邦政府 GLS
は、オーストラリア連邦政府がクライアントとして関与した 51 件の
GLS の構成項目
グリーンリース特約(GLS)案件です。この数は、調査当時 JLL が手
掛けていた GLS 案件総数の約 44% に相当します <*9>。オーストラリ
ア連邦政府が関与する GLS は、『2006 年 政府機関における関連政策
1. エネルギー管理計画
に見られる省エネルギー』に定められた重要な施策の一つで、政府
2. ビル管理委員会
機関の商用オフィスにおけるポートフォリオを強化し、圧倒的な賃
3. 水光熱メーターの個別計測
貸借物件数を誇る連邦政府の地位を利用した市場の変革を狙ってい
ます <*10>。JLL が従来行ってきた賃貸借取引の交渉に加え、グリー
ンリース案件においてもお客様のニーズに応え、積極的な管理サポー
トを提供する役割を担うことが多くなりました。
4. 論争の解決
5. エネルギー性能目標(NABERS)
JLL はテナント、不動産オーナーをはじめ、グリーンリースの管理に
関わっている多くの関係者にアンケートを依頼し、ESG ファクター
の中でもリスク・マネジメント、エネルギー性能やステークホルダー・
エンゲージメントに関して GLS の 5 つの重要項目に照らし、どの項
目への影響力が最も大きい項目であるかを調べました。その結果、
GLS を賃貸借取引に加えるだけの価値を見出していることがはっき
顕著な結果となっておりました。EMP とは、ビルや施設が必要とさ
りと示されていました。
れる NABERS 認証の格付け取得を目指す、協同で取り組む活動計画
GLS は正しく報告や透明性という面で重要な役割を果たしているこ
とが明らかになりました。GLS が無ければ、NABERS 認証を取得した
り、その結果を開示したりすることも、ましてや目標を設定するこ
ともなかった、との回答者が半数となっていました。残り半分、つ
まり同数の回答者は、ビルのエネルギー性能について 1 年に 1 度だ
け施設、またはポートフォリオレベルでの報告を行っていたとして
も、これでは GLS が定めている定期的な報告と開示によって得られ
るメリットを享受できません。四半期ごとの報告によって、
運営改善・
改修計画が特定されるだけではありません。賃貸借契約関係者の間
でデータ共有や話し合いを行えば、テナントが実際にスペースをど
です。この中ではオーナーとテナント双方の役割と責任が定められ、
建物の性能向上に必要な基準値や進言が明確に述べられています。
回答者の 83% は、EMP がステークホルダー・エンゲージメントには
欠かせない役割を果たすと評価しています。どのように GLS を施行
し、目標を達成するか(そして可能であれば、賃貸借取引の交渉中
にもそれを維持できるか)について忌憚なく話し合うことができれ
ば、かなりの確率で計画は成功するはずです。JLL の調査では 82% の
回答者が、NABERS の格付けで 4.5 スターを取得しており、シドニー
中心業務地区(CBD)の統計調査における同等の格付け取得率 44%
と比べると高い比率となっています <*11>。
のように使用しているかを見直すことができるので、建物全体の性
また、アンケート回答者の 94% が、NABERS の格付け目標がエネルギー
能強化を行う機会が生まれるのです。
性能改善の軸であると考え、回答者の 74% がエネルギー性能改善対
こうした話し合いの場が設けられるのは、主に四半期毎に開かれる
ビル管理委員会(BMC)会議においてです。この委員会のメンバー
は、オーナーやコンサルタントを含むテナントの代表、それに現場
のスタッフなどから構成されており、その中で関係性を築きそれを
維持できすることができれば、1 年のどのタイミングで問題を特定
したとしても速やかに対処することができます。JLL のアンケート
では 94% の回答者において、BMC が設立され、定期的に会議を開催
策実施のためのフレームワークとして GLS を既に採用しています。
回答者の 45% は、GLS の要求事項ではないにも関わらず、水、廃棄
物、またはその他のサステナビリティに関する対策を実施するため
に GLS を採用しています。回答者の半数以上は、水光熱メーターの
個別計測がリスク回避に不可欠だと考えていました。また、実際に
行使せざるを得ない局面を経験した人はゼロであったものの、回答
者の 3 分の 2 が論争の解決条項を重視していました。
したおかげで、従来以上のステークホルダー・エンゲージメントの
強化という付加価値が得られたと回答頂きました。この結果はエネ
ルギー管理計画(EMP)の策定と実施が行われていた場合にさらに
<*9>
当時制定されていた GLS は 116 件。「オーストラリア連邦政府機関のエネルギー
使用」2011 年∼ 2012 年 資源エネルギー・観光省、p.24
<*10> 国内の賃貸借スペースの 13% が、オーストラリア連邦政府と契約締結したもの。
(Hinnells、その他、2008 年 p.546)
<*11> オーストラリア連邦政府資源エネルギー・観光省、2013 年、商業ビル情報開示:
全面情報公開1年目の統計的概観。
グリーンリース 5
提案
賃貸借契約にグリーンリースを取り入れることは、不動産物件の省
• テナントを対象として省エネ施策を実施します。これを実施した
エネ化を進めるためにオーナーとテナントが取り組む協同作業の第
結果、NABERS 格付けで 0.5 スター分の評価として反映された実例
一歩です。これを成功させるために不可欠なことは、両者によるグ
があります。
リーンリースの自主的な管理体制の構築です。
• IT に関する運用改善や改修をテナントから求めます。照明やビル・
グリーンリース契約を締結するには
システムの省エネ化が進む中、ビル全体のエネルギー消費に IT が
結果を出せるグリーンリース契約を確実に締結するために、以下の
占める割合が近年増加しています。JLL の過去の実績によれば、IT
点を慎重に検討することをお勧めします。
のアップグレードや自動スイッチ・オフ・プログラムによってテ
• 成功事例、およびシドニーならびに英国 BBP や、シンガポールの
ビル及び建築物機関(BCA)のグリーンリース・ツールキットの
ナント部分のエネルギー消費が 15 ∼ 20% 削減できることが分かっ
ています。
ようにオープンシェアとなっている賃貸借契約のひな型を活用す
• テナント部分、ベース・ビルや入居パターンについて、あらゆる
ること。そうすることで、法的費用を抑えられることは勿論のこ
要因を把握します。多くの知識を持つことで、必要のない補助的
とですが、オーナーとテナントの両者が条項を詳しく理解する機
なエアコンの稼働停止、冷暖房空調設備の稼働時間プログラム設
会が生まれます。
定の見直しや、スタッフの行動改善プログラムなど、コスト削減
• ビルのタイプ、それにテナント部分の用途を把握し、実情に準拠
した調整が必要な条項であるかどうかを見極めます。
• 現状の施設で新たに賃貸借契約を締結する場合、または新しい場
に直結する省エネ対策になります。
• 運用改善や改修については、定期的に報告を行い、関係者全員が
把握できるようにします。
所に転居する場合、可能な限り事前にエネルギー診断を実施しま
す。このタイミングでエネルギー診断を行うことができれば、賃
貸借契約内に具体的に含むことのできる運用改善・改修計画を特
事例紹介
定することができ、それをベースにビル管理委員会で行われる討
オーストラリアのパース市、ウェリントン・ストリート 836 に
議の草案を作成することができます。
ある物件にテナント入居しているオーストラリアの政府機関、
移 民・ 国 境 警 備 局(DIBP) は、
で 目 標 値
締結したグリーンリースのメリットを最大限に活かすには
とされる 4.5 スターに対して 3.5 スターを獲得していました。
• グリーンリースを効果的に活用するためには、主体的な運営管理
スター 1 つ分のギャップを埋める支援として、JLL はテナント
が不可欠です。ビル管理委員会の話し合いの場を定期的に開催し、
部分のエネルギー診断を実施しました。JLL の主導によって開
エネルギー動向を一貫してモニタリング・分析し続けていくこと
催した四半期ごとの BMC 会議では、不動産オーナー、テナン
で、関係者全員が賃貸借契約で定められている諸条件や義務が果
トや双方のエネルギー・コンサルタントが出席し、エネルギー
たされているか否かを把握することができます。
性能報告について話し合いを行い、運用改善や改修対策につ
• エネルギー管理計画を策定・実施します。その中で役割や責任範囲、
活動項目や報告頻度を明確に定めます。
• エネルギー管理計画の実施や、ステークホルダー・エンゲージメ
ント強化のために、ビル管理委員会の会議の場を有効活用します。
テナント部分を使用する現場スタッフの行動を熟知した方に会議
に同席頂き、第三者にも参画頂くことで会議の進行役を委任する
ことができ、客観的なアドバイスを聞くことができます。
• ビルや施設、ポートフォリオ責任者の方々に積極的に参加して頂
き、エネルギー効率改善につながる改修工事を実施します。ウォー
レン・センターの研究においては、建物、施設、ポートフォリオ
のそれぞれの責任者全員が協同作業に前向きであるビルでは、ビ
ルの省エネ化が効果的に進むと指摘しています <*13>。
<*13> 『低エネルギー高層ビル調査研究』最終研究調査報告、2009 年、ウォーレン・センター
NPC 及び有効エネルギー、p.7
6 JLL
いて数項目確定しました。
BMC により実施された運用改善や改修対策の具体的な例とし
ては、照明制御(動作センサー)プログラム再設定、サーバー
室で使われている補助空調ユニットの設定温度引上げ、広い視
点から見た管理戦略の一環としてスペースの取り壊し、加えて
数々の IT 対策(自動コンピューター・シャットダウン)などが
挙げられます。
こうした取り組みの継続が功を奏し、テナント部分において必
要条件とされている NABERS 格付け目標 4.5 スターを獲得する
ことができました。この運用改善や改修対策によって、年間
150MWh、
39,350ドルを削減することができました
(2013/2014 年度)
。
著作者
Susannah West
(スザンナ・ウエスト)
Sustainability Director
南アジア
+65 6494 3709
[email protected]
【経歴】
Rebecca Smith
(レベッカ・スミス)
National Sustainability Manager
オーストラリア
+61 2 9220 8684
[email protected]
【経歴】
スザンナ・ウエストは、JLL 南アジアを担当しているサステ
レベッカ・スミスは、JLL オーストラリアにおいて、インテ
ナビリティ・ディレクターです。現職に就任する以前は 3 年
グレーテッド・ファシリティー・マネジメントにおけるナショ
以上にわたり、JLL オーストラリア担当のナショナル・サス
ナル・サステナビリティ・マネージャーを担当しており、シ
テナビリティ・マネージャーを務めていました。
ドニーに籍を置いています。前職は、同社オーストラリアの
主な実績としては、連邦政府における不動産ポートフォリオ
に関連したクリーン・エネルギー・フューチャー法案のアセ
政府アカウント・チームにおいてサステナビリティ・マネー
ジャーを担当しておりました。
スメントやエネルギー調達が挙げられます。また連邦政府関
JLL 入社前はロンドンでサステナビリティ・コンサルタント
連の顧客が関与する不動産において、延べ 140㎡にわたりサ
として活躍し、建物のレトロフィット(竣工後の修繕)及び
ステナビリティ要件を管理していました。
サステイナブルな建物の設計を専門としていました。
JLL 入社前は、ニューサウスウェールズ州政府不動産機関に
【学歴】
おいて、サステナビリティ戦略及びグリーン賃貸借取引を専
センター・フォー・サステナビリティ・リーダーシップのフェ
門とするサステナビリティ・マネージャーを務めていました。
ローシップ・プログラムを先頃修了したばかりで、建築及び
【学歴】
環境デザインの修士号を取得しております。
プロジェクト・マネジメントならびに化学工学 / ビジネスの
分野において学位を取得しております。また、先頃ケンブリッ
ジ大学のサステナビリティ・リーダーシップの修士論文を書
き上げた状況です。
問い合わせ先
JLL 日本
エナジー&サステナビリティサービス事業部長
奥田 知康
[email protected]
03-5210-8285
グリーンリース 7
AUSTRALIA
Adelaide
Brisbane
Canberra
Glen Waverley
Mascot
Melbourne
North Sydney
Parramatta
Perth
Sydney
GREATER CHINA
Beijing
Chengdu
Chongqing
Guangzhou
Hong Kong
Nanjing
Qingdao
Macau
Shanghai
Shenyang
Shenzhen
Tianjin
Wuhan
Xi’an
INDIA
Ahmedabad
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Coimbatore
Gurgaon
Hyderabad
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Kolkata
Mumbai
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Thane
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KOREA
Seoul
MALAYSIA
Kuala Lumpur
NEW ZEALAND
Auckland
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Manila
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Singapore
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