(中学校社会)(PDF:218KB)

中学校
中学校1年生社会科の平均通過率は57.5%で,「基礎・基本」は66.5%でやや定着が図られておら
ず,
「思考・表現」は35.9%で定着は十分ではありません。中学校2年生の平均正答率は61.2%で,
「基
礎・基本」は67.5%,「思考・表現」は46.3%で,いずれもやや定着が図られていません。小学校と
同様に,授業改善の3つのポイントを踏まえて,資料で調べたこと等を基に,考えをまとめたり話し
合ったりする活動を工夫しながら,知識・理解を深めることが重要です。
授業アイデア例
○
歴史的分野に関しては,小学校での歴史学習との関連を踏まえて学習を進めることも大切であ
る。特に,小学校ではほとんど取り扱わないヨーロッパなどの国外の動きは,既習事項と関連付
けた展開が重要である。この例は,小学校での学習を踏まえて「この時期にヨーロッパ人が日本
に来たのはなぜか」という問いを持たせ,ヨーロッパ人来航の背景について学習する例である。
主な学習内容・活動
主な発問・指示等
留意点
○
小学校教科書にも掲載され ○ 鉄砲が伝わってどんなことが変わっ ・ 小学校での既習事項を
ている長篠合戦図屏風やザビ
たのか。
確認させる。
エルの肖像画を見て,大きな ○ キリスト教が伝わったことで
ポイントの①
影響があったことを確認し,
どんなことが起きたか。
学習課題を設定する。
小学校教科書で取り扱われている事
項を事前に確認し,発問等に生かす。
この時期にヨーロッパ人が日本に来たのはなぜか。
教師の説明だけが多く
○ 中世ヨーロッパの様子につ ○ ローマ帝国分裂後のヨーロッパで力 なる展開にならないよう
に,予習を生かし,基本
いて概観する。
を持っていたのはだれか。
・キリスト教の権威
○ イスラム教の国々はどこまで支配を 的な事実は発問で確認す
るように工夫する。
・イスラム教世界の広がりと
広げていたか。
十字軍
○ 十字軍の結果,ヨーロッパが失った ・ 詳細な扱いはできない
ものと得たものは何か。
ため,年表や国々の広が
りが分かる図版等を活用
○ ルネサンスによる文化や芸 ○ どんな作品が生み出されたか。
し,理解しやすくする。
術,人々の考え方の変化につ ○ ガリレイはどんな場面で「それでも ・ 異端審問により処刑さ
いて話し合う。
地球が動く」と言ったのか。
れたブルーノ,地動説を
唱えないと言わざるを得
○ キリスト教の中での新しい ○ ルターやカルバンはどのようなこと
なかったガリレイを例
考え方は,どのようなことに
を主張したのか。
に,カトリック教会の対
影響したのか話し合う。
○ 宗教改革に対して,カトリック教会
応を捉えさせる。
はどのような動きを起こしたのか。
「学習課題の答えを書
○ 学習のまとめをする。
○ なぜザビエルが
きなさい」ではなく,観
ポイントの②
日本に来たのか,
点をしぼった発問をして
ヨーロッパの様子を根拠として述べよ。 書かせることが効果的で
ある。
社会科の授業改善のポイント(「学びの羅針盤」より)
1
2
3
4
ポイントの①
獲得させたい社会的な見方・考え方を明確化にして授業を構成する。→
何を調べて,何を考えさせ,どんな見方・考え方を養うのかを明確にして授業に臨みましょう。
予想を立てる場面や振り返りの場面で子供の思考を深める。
→
ポイントの②
振り返りでは「何が分かったか」「めあてをどのように実現したか」を整理させましょう。
ポイントの③
社会的事象に対する自分の考え等を書く活動を効果的に取り入れる。→
理由や根拠を意識して述べさせることが,思考の深まりにつながります。
家庭学習を生かした授業の組み立てを積極的に取り入れる。
効率的でテンポのある授業や学習を深めるための内容の重点化にもつながります。