平成 28 年7月 第 16 号 公益財団法人 浅香山病院 リハビリテーション室 リハビリ通信 ~ 高齢者の転倒予防と住宅環境 ~ 高齢者にとって自宅内は危険がいっぱい。「自宅で転倒して、骨折をしてしまった」 という方が、周りにおられませんか?「自分は大丈夫…」と思っている方も、そうでな い方も “備えあれば憂いなし” すぐにできる転倒予防を住宅環境の視点で紹介して いきたいと思います。また、自分自身はもちろんのこと、ご家族や知人の方にも、 お伝えして頂ければと思います。 ■65歳以上の高齢者の事故発生場所 65歳以上の高齢者の事故発生場所 その他 公共施設 公園・遊園地 3% 不明 0.3% 海・山・川等 自 2% 0.3% 然環境 「屋外」より「屋内」の方が 多いという報告があり、そ の割合は80%近くありま す。 3% 一般道路 7% 民間施設 8% 住宅 77% 内閣府:平成 26 年版高齢社 会白書、高齢者の生活環境 より改変・作図 ■高齢者の事故の状況 事故発生場所詳細(屋内) 50.0% 45.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 事故のきっかけ 40.0% 30.4% 22.1% 20.0% 14.5% 10.1%9.3% 10.0% 6.8% 2.3%0.6% 0.0%3.7% 0.0% 30.0% 18.7% 17.0% 5.2% 2.9%2.5%2.2%1.5% 4.4% 事故の多い場所は、「居室」「階段」「台所」「玄関」の順になっており、事故のきっかけは「転落」と「転倒」 が多く、合わせると約半数を占めます。 そこで、転落・転倒が多くみられる「居室」「階段」「玄関」について住宅環境の対策を裏頁で紹介します。 ■居室 ○足をひっかけやすいコード類は、通らない場所で電源をとるか、壁に沿わせるようにする。(※1) ○つまずきや滑る原因となる物を床に置かない。 ○カーペットがめくれないように、ピンを使って固定する(ピンとピンの間が、足の幅より狭くなるように)。 ○和室の敷居の段差は、市販の“木製スロープ”で解消するのもひとつの方法。(※2) (ただし、3cm 程度まで。高い敷居ではスロープの奥行きが長くなり、かえってつまずく可能性がある。) ※1 ※2 ■階段 ○一段、一段に目立つ色の“すべり止め”をつける。 (薄いものを用いる。) ○暗くても段差がよく見えるように“照明”をつける。 (特に足元は暗くなりやすいので足元の照明も有効。) ○昇り降りに不安がある場合は“手すり”をつける。 ■玄関 ○上がりかまち部分の段差を小さくするために“踏み台”を置く。 (踏み台を設置する際、できる限り高さを均等にする。例えば、 高さ 30cm の上がりかまちなら高さ 15cmのものを設置。) ○足のひっかかりや滑りやすい玄関マットは敷かない。 “滑り止めマット”を使用する方法もあります。 ○昇り降りに不安がある場合は“手すり”をつける。 ちょっとした工夫で転倒を予防することができます。 自宅内の危険をすこしでも減らし、 住み慣れた家で安全に生活をしましょう。 ※手すりや踏み台の設置など、工事を必要とする場合は、 住宅改修業者に依頼するのが望ましいです。また、介護保 険制度を利用した住宅改修では、住宅改修に関わる費用 の一部が補助されます。まずは、市町村の窓口または、 ケアマネージャーにお問い合わせください。 公益財団法人 浅香山病院 リハビリテーション室
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