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英規制当局、
「アドバイス・ギャップ」の解消を目指す政策パッケージを公表
英金融行為規制機構(FCA)と
などを提供しやすくする、2)低コ
財務省は3月、一般の消費者が金融
ストでアドバイスを提供できるロボ
アドバイスやガイダンスを手頃な価
アドバイザーの開発支援部門をFCA
格で得られない状況(アドバイス・
に新設し、関連規制の相談を個別に
ギャップ)を解消するためのイニシ
受けたり、モデルの検証・評価方法
アチブ、「金融アドバイスマーケッ
のベストプラクティスを作成する、
トレビュー」(FAMR)の最終報告
といった提言が盛り込まれた。
書を公表し28項目の提言を行った。
また今回の報告書では、消費者が
英国では近年、金融アドバイザー
職場で金融アドバイスや情報を得や
と顧客の利益相反を解消するため、
すくしたり、業者がアドバイス提供
アドバイザーがファンド会社などか
後に顧客から賠償責任を問われコス
ら販売報酬を受け取ることを禁止し
トが上昇してしまう懸念に応えたり
代わりに顧客から直接手数料を受け
する、広範な視点に立った施策が提
取ることを求めるなど、抜本的な規
言されたことも注目される。FCA
制改革を実施した。その結果、アド
のマクダーモット長官代理は、アド
バイザーの提供する金融アドバイス
バイス・ギャップを埋める特効薬は
の質は向上したが、1)顧客に求め
なく、だからこそアドバイス市場を
る最低投資金額が急上昇し、結果的
活性化する可能性があるさまざまな
に富裕層しか恩恵を得ていない、
施策をパッケージとして提言した、
2)一般消費者の需要が大きいと考
と述べている。
えられる、特定のニーズに対する限
一方、金融アドバイザー業界で
定的なアドバイスや、自分で投資の
は、彼らが期待していた、消費者の
意思決定を行うためのガイダンスも
金融オンブズマンサービス(FOS)
十分に提供されていない、といった
への申し立て期間に期限を設ける提
認識が高まっていた。
案(アドバイス提供から15年)が
今回の報告書ではこうした状況を
見送られたこともあり、今回のさま
踏まえて、1)規制業務となる「ア
ざまな提言に期待を寄せつつも、物
ドバイス」の定義に「個人に向けら
足りないと見る向きも多い。地道な
れた推奨」という要件を加えて狭
政策の積み上げが果たしてどれだけ
め、アドバイスに当たらない形で商
アドバイス・ギャップの解消に効果
品のメリットやリスクに関する情報
をあげるか注目される。
野村総合研究所 金融 ITナビゲーション推進部 ©2016 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
ミレニアル世代をターゲットとした「マイクロ投資」アプリ
米国でミレニアル世代をターゲットにした、
投資できる、2)買い物をするだけで意識せず
気軽にスマホで小銭を投資できる「マイクロ投
に投資が行われる、3)投資選択肢が非常に少
資」アプリが注目されている。
なく迷う必要がない、と、何よりも心理的な負
エイコーンズ社のアプリを用いると、利用者
担を少なくすることを優先したという。少額で
はカードで買い物をしたとき、購入金額の1ド
も投資を始めれば関心は高まり、投資教育の効
ル未満を切り上げたときの切り上げ分(たとえ
果も上がりやすくなると期待している。
ば購入代金が3ドル60セントだったら40セン
実際、2014年8月のアプリ提供開始以来、
ト)を自動的に投資に回すことができる。切り
利用者は急増しており、2016年4月時点で
上げ額が累積して5ドルに達すると、利用者の
85万口座以上に達したという。これは、ロボ
銀行口座から、あらかじめ選択したリスク水
アドバイザーの最大手ベターメント社の18万
準(コンサバティブからアグレッシブまで5段
口座と比べても4倍以上に当たる。
階のどれか)に応じて、6銘柄のETFからなる
一方で、エイコーンズの1口座当たり平均運用
ポートフォリオに投資される仕組み。利用者
資産は200ドルに満たない(ベターメントは2万
は、これ以外に定期的に定額を投資したり、1
2,000ドル)
。口座残高5,000ドル未満だと手数
回限りで投資したりすることもできる。5月に
料が月1ドルかかるので(5,000ドル以上の場合
は、エイコーンズと提携した会社で買い物する
には残高の0.25%)
、口座残高が小さいと手数料
と特典としてその会社からボーナス投資しても
率はかなり高くつき(たとえば口座残高が200
らえるサービスも始まった。
ドルだと手数料率は6%)
、手数料控除後では必
エイコーンズの狙いはアプリを通じてとにか
ずしもよい投資リターンを期待できない。
く若者に実際に投資を体験してもらうことにあ
では、なぜこれほど急速に口座数を獲得して
るようだ。エイコーンズの共同創業者ジェフ・
いるのか。それは、学生の手数料を無料とする
クラッテンデン氏によると、多くの若者は投資
など、あくまで、投資の資金や経験のない若者
は大切だと頭で理解しながら、まとまった資金
が投資を自然に経験できる魅力的な場を提供し
がない、具体的にどのように投資を始めればよ
ているためと見える。エイコーンズは「まと
いかわからない、といった理由でそこで止まっ
まったお金ができたから資産運用を始める」と
ている。そこでエイコーンズでは、1)小銭を
いう通念を変えようと目論んでいる。
<文責>
金融 I T ナビゲーション推進部
國見 和史
[email protected]
Financial Information Technology Focus 2016.7
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