マレーシア:為替管理制度変更

平成 28 年(2016 年)12 月 6 日
BTMU Global Business Insight 臨時増刊号
AREA Report 453
マレーシア:為替管理制度変更
~輸出代金のリンギットへの両替義務、国内取引リンギット使用義務化など~
マレーシア中銀は、12 月 2 日に為替管理制度の変更を発表、12 月 5 日より施行されました。
マレーシア国内の輸出企業に対し、物品の輸出代金 75%のリンギットへの両替義務付け、マレ
ーシア国内取引におけるリンギット使用の義務化などを導入しています。
1. 為替管理制度の変更の背景
マレーシア中銀は、12 月 2 日に為替管理制度の変更を発表、12 月 5 日より施行した。最近、
リンギットの下落が続いており、今回の為替管理制度変更によりリンギット安圧力を緩和する
ことが主な目的と考えられる。
【マレーシア・リンギットの為替レート(対ドル、各月平均値)推移
(直近のデータは 12 月 6 日現在の値)】
(リンギット/米ドル)
4.5
4.4
4.3
4.2
4.1
4
3.9
3.8
2016.1
2
3
4
5
6
7
1
8
9
10
11
12
2. 為替管理制度の概要
今回発表された為替管理制度の概要は以下の通り。
(1)輸出企業への物品の輸出代金 75%のリンギットへの両替義務付け
① 輸出企業は、物品の輸出代金として受け取った外貨のうち 25%まで外貨で保有するこ
とができる。残り(の 75%以上)は受取当日にリンギットに両替すること。
② 輸出代金のうち外貨として保有するものについては、専用口座(Trade Foreign
Currency Account(FCA))に入金する。専用口座に入金された外貨資金の使途は、
輸入代金決済(含むサービス)、外貨借入の返済に限定される。
③ リンギットに両替された資金は、Special Deposit Facility(SDF)口座に入金。SDF 口
座に入金された資金には 3.25%の金利が付与。SDF に入金された資金の使途は自由。
④ 今回発表された為替管理制度は、12 月 5 日以降の輸出代金受取に適用される。また、発
表以前に保有していた外貨に対しては適用されない。
⑤ 例外対応を行なう場合、マレーシア中銀への個別申請・承認取得が必要。
(出所)中銀資料を基に三菱東京 UFJ 銀行国際業務部作成
※外貨口座には、Trade FCA の他に、Investment FCA があり、Investment FCA は Trade FCA に入金
できない外貨資金が入金される。
(2)国内取引におけるリンギット使用の義務化
・ マレーシア国内で財、サービスの取引を行う場合、決済通貨はリンギットを使用するこ
とを義務化。国内外貨建決済を行なう場合、マレーシア中銀への個別申請・承認取得が
必要。
2
(3)為替ヘッジ規則
・実需確認に基づかない為替ヘッジ取引について、金額は 1 銀行 1 顧客あたり 600 万リン
ギットに制限されるが、実需確認が可能な取引は金額の制限なし。一方、期間について、
輸入・ローン債務に対するヘッジ期間は 6 ヵ月以内に制限されるが、輸出債権に対する
為替ヘッジ取引の期間には一部例外あり。
(4)ネッティング取引
・マレーシア中銀承認済のネッティング取引について、承認内容に有効期間の定めがある
場合には、該当期間までの利用が認められる。定めがない場合には、12 月 5 日施行の
為替管理制度の変更を受け、今後の利用は認められない。
レポート作成: 三菱東京UFJ銀行 国際業務部
北村 広明
[email protected]
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