ハッピー数に関する擬似概念 白柳研究室 5512027 加藤 奈美 研究の背景 ハッピー数 与えられた自然数の各桁を1桁ずつに分解し、その2乗和 を取る操作を繰り返して、最終的に1に到達する数字のこと である。 (例)19の場合 12 + 92 = 82 → 82 + 22 = 68 → 62 + 22 = 100 → 12 + 02 + 12 = 1 → 12 = 1 … ハッピー数について初めて考えられたのは、1970年代 のロシアにおいてであると考えられる。10進数の場合、 ある自然数がハッピー数である確率は約1/7であることが 知られている。 はじめの100個のハッピー数 1 7 10 13 19 23 28 31 32 44 49 68 70 79 82 86 91 94 97 100 103 109 129 130 133 139 167 176 188 190 192 193 203 208 219 226 230 236 239 262 263 280 291 293 301 302 310 313 319 320 326 329 331 338 356 362 365 367 368 376 379 383 386 391 392 397 404 409 440 446 464 469 478 487 490 496 536 556 563 565 566 608 617 622 623 632 635 637 638 644 649 653 655 656 665 671 673 680 683 694 一昨年・昨年度、先輩の研究 2乗交互ハッピー数・・・ハッピー数では、すべてを加算してい るところを、加算と減算を交互に行う。 ステップワイズハッピー数・・・各桁を2乗したものに、 一の位から1,2,3,…とかけたものを加算する。 3 3 2乗ハッピー数・・・各桁に分解した後に、2乗ではなく 2乗 する。 → 定理を発見 N進ハッピー数・・・10進数ではなく、n進数に変換して2乗 ハッピー数に関する擬似概念 x乗ハッピー数 与えられた自然数の各桁を1桁ずつに分解しx乗和を取る。 これを繰り替えし、最終的に1に到達する数字がx乗ハッ ピー数である。 (例)3乗ハッピー数の場合 112→13 + 13 + 23 = 10 → 13 + 03 = 1 → 13 = 1 ⇒112は3乗ハッピー数である。 計算機実験 数式処理システムMaple14を用いて、さまざまな擬似ハッ ピー数を出力する。 時間短縮のため範囲を設定する。 本研究では10000以下の数で実験を行った。 3乗ハッピー数、4乗ハッピー数、5乗ハッピー数まで実験。 3乗ハッピー数の出力結果 1 10 100 112 121 211 778 787 877 1000 1012 1021 1102 1120 1189 1198 1201 1210 1234 1243 1324 1342 1423 1432 1579 1597 1759 1795 1819 1891 1918 1957 1975 1981 2011 2101 2110 2134 2143 2314 2341 2413 2431 2779 2797 2977 3124 3142 3214 3241 3412 3421 4123 4132 4213 4231 4312 4321 5179 5197 5719 5791 5917 5971 7078 7087 7159 7195 7279 7297 7519 7591 7708 7729 7780 7792 7807 7870 7915 7927 7951 7972 8077 8119 8191 8707 8770 8911 9118 9157 9175 9181 9277 9517 9571 9715 9727 9751 9772 9811 10000 1以外のサイクルに到達する場 合 サイクルA サイクルB サイクルC サイクルD サイクルE サイクルF サイクルG サイクルH 133→55→250 217→352→160 224→136 919→1459 351→351 370→370 371→371 407→407 4乗ハッピー数 1、10、100、1000,10000のみ 1に到達しない場合 サイクルA 13139→6725→4338 →4514→1138→4179→9219→13 139 サイクルB 8208→8208 サイクルC 6514→2178→6514 サイクルD 1634→1634 サイクルE 9474→9474 5乗ハッピー数 1,10,100,1000,10000のみ 1に到達しない場合 サイクルA 66414→17601→24585→40074→18855→71787→83190→92061 →66858→84213→34068→41811→33795→79467→101463→90 45→63198→99837→167916→91410→60075→27708→66414 サイクルB 9044→61097→83633→41273→18107→49577→96812→99626 →133682→41063→9044 サイクルC 244→2080→32800→33043→1753→20176→24616→16609→746 02→25639→70225→19996→184924→93898→93898→183877→ 99394→178414→51625→14059→63199→126118→40579→80005 →35893→95428→95998→213040→1300→244 サイクルの続き(5乗ハッピー 数) サイクルD 8299→150898→127711→336 49→68335→44155→8299 サイクルE 8294→92873→108899→183635 →44156→12950→62207→24647→2666 3→23603→8294 サイクルF 76438→58618→76438 サイクルG 4150→4150 サイクルH 54748→54748 サイクルI 93084→93084 サイクルJ 4151→4151 サイクルK 10933→59536→73318→5006 2→10933 サイクルL 67100→24584→37973→93149 奇進ハッピー数 n進ハッピー数において、奇進ハッピー数に限定し、1000 0まで範囲を広げ研究を行った結果以下のような結果が得られ た。 3進:偶数は3進ハッピー数でない。 5進:偶数は5進ハッピー数でない。 7進:偶数は7進ハッピー数でない。 9進:偶数は9進ハッピー数でない。 予想と証明 予想 「10進数における、すべての偶数は奇進ハッピー数になることは ない。」 証明 10進における任意の偶数をNとする。 N = 𝑎𝑛 𝑏 𝑛 + 𝑎𝑛−1 𝑏𝑛−1 + ⋯ + 𝑎0 (n + 1桁、b進数表示)とおく。 N ≡ 0 mod2 かつb ≡ 1 mod2 ならばN はb進数ハッピー数ではないことを示 す。 N ≡ 0 ↔ 𝑎𝑛 + 𝑎𝑛−1 + ⋯ + 𝑎0 ≡ 0 mod2 (∵ 𝑏 𝑘 ≡ 1(mod2) ∀k)↔ 𝑎𝑛2 + 2 𝑎𝑛−1 + ⋯ + 𝑎02 ≡ 0 mod2 ( ∵ 𝑎𝑛 + ⋯ + 𝑎0 2 = 𝑎𝑛2 + ⋯ + 𝑎02 + 2 𝑖<𝑗 𝑎𝑖 𝑎𝑗 ) ∴ 偶数の2乗和は常に偶数となるので1になることはない。 よって、「10進数における任意の偶数(2n)は、奇進ハッピー数(2n+1進 ハッピー数)にはならない。」 が成り立つ。 新定理 「10進数における、すべての偶数は奇進ハッピー数になること 一般化 予想 「pが素数のとき、10進数におけるすべてのpの倍数は、1(mod p)進 数においてp乗ハッピー数にならない。」 証明 N = 𝑎𝑛 𝑏 𝑛 + 𝑎𝑛−1 𝑏𝑛−1 + ⋯ + 𝑎0 n + 1桁、b進数表示 とする。この時 「N ≡ 0 mod p , b ≡ 1 → Nはb進数においてp乗ハッピー数ではない」ことを示す。 N ≡ 0 mod p ↔ 𝑎𝑛 + 𝑎𝑛−1 + ⋯ + 𝑎0 ≡ 0 𝑚𝑜𝑑 𝑝 ∵ 𝑏 𝑘 ≡ 1 modp ∀k 𝑝 𝑝 𝑝 ↔ 𝑎𝑛 +𝑎𝑛−1 + ⋯ + 𝑎0 ≡ 0 mod p (∵ (𝑎𝑛 + 𝑎𝑛−1 + ⋯ + 𝑎0 )𝑝 の多項定理において、p乗項以外の項の係数は pが素数であることより、pで割り切れる) ∴ p乗和は1になることはない 新定理 「pが素数のとき、10進数におけるすべてのpの倍数は、1(mod p) 進数においてp乗ハッピー数にならない。」 まとめと考察 10000以下のx乗ハッピー数 出現個数一覧表 3乗ハッピー数について 3乗ハッピー数になる、数には 1,1,2 7,7,8 1,1,8,9 1,2,3,4 1,5,7,9 2,7,7,9のいずれかのパターン の数によって構成されている。 4乗ハッピー数&5乗ハッピー数 10000までの範囲では、10の累乗しか発 見することができなかった。 ⇒10の累乗以外の数に対してハッピー数を得 るために行える指数計算の最大は3乗ではない x乗ハッピー数 個数 2 143 3 101 4 4 5 4 今後の課題 x乗ハッピー数において、指数計算することがで きる最大の値は3乗ではないかという予想の証明。 3乗ハッピー数の高さやサイクルに到達する個数 について規則性があるかどうか。
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