まず始めに・・・ 乳癌は何年ほど前からあると思い ますか? 答え 紀元前3000~5000年のエジプトでイムフォテ プという医師による乳癌治療の記録がパピル スに残されている. 乳癌死亡率全国ワースト1位の 都道府県はどこでしょう? 答え 東京都 東京都の乳癌検診受診率は、全国平均 12.9%と比較して7.9%と低い. 男性は乳癌にならない・・・ なんて思っていませんか? 答え なります. 日本人女性の罹患率は25~30人に1人です が、男性も1000人に1人の確率で罹患します. では、ここからが本題です 薬理学PBL 乳癌(Breast Cancer) 3 朝倉、27 角田、51 曽山、75 長谷川、99 山西 乳癌 <発生部位> 乳腺組織の末梢乳管や腺房上皮 <転移> リンパ行性:腋窩、鎖骨下、胸骨傍リンパ節 血行性:骨、肺、肝 <主症状> 乳房腫、皮膚・乳頭の陥凹、びらん、血性の 乳頭異常分泌 ホルモン依存性 乳腺はエストロゲンの作用により増殖するた め、乳腺細胞から発生する癌の多くがホルモ ン受容体をもち、エストロゲンに曝露されるこ とによって増殖する. →ホルモン受容体陽性の乳癌に対しては、エ ストロゲンの作用を抑える化学療法(抗エスト ロゲン薬)が有効. 1 閉経前乳癌 リュープリンSR(11.25mg) (リュープロレリン酢酸塩) <投与方法> ・12周毎 ・皮下注射 <適応> ・前立腺癌 ・閉経前乳癌 リュープリンSR(11.25mg) <作用機序> LH-RH受容体 刺激 ゴナドトロピン分泌 しかし、継続使用により・・・ 脳下垂体 ゴナドトロピン分泌 テストステロン分泌 エストラジオール分泌 リュープリンSR(11.25mg) <副作用> ・ 間質性肺炎 ・アナフィラキシー様症状 ・肝機能障害 ・黄疸 ・糖尿病発症 ・うつ状態 ・下垂体卒中 ・エストロゲンの低下による更年期障害様症状 リュープリンSR(11.25mg) <禁忌> ・前立腺癌の場合 本剤の成分又は合成LH-RH、LH-RH誘導体に対 して、過敏症の既往歴のある患者 ・閉経前乳癌の場合 (1) 本剤の成分又は合成LH-RH、LH-RH誘導体に対 して、過敏症の既往歴のある患者 (2) 妊婦又は妊娠している可能性のある患者、授 乳中の患者 2 閉経後乳癌 ノルバデックス錠(20mg) (タモキシフェンクエン酸塩) <投与方法> ・1錠 ・分1 ・朝食後 <適応> ・エストロゲン受容体 陽性の乳癌 ノルバデックス錠(20mg) <作用機序> ノルバデックス錠 細胞増殖 エストロゲン エストロゲン エストロゲン 受容体 抗腫瘍効果 ノルバデックス錠(20mg) <副作用> ・生理不順 ・吐き気や嘔吐 ・食欲不振 ・子宮筋腫 ・子宮内膜症 ・子宮内膜ポリープ ・顔面紅潮 ノルバデックス錠(20mg) <重篤な副作用> ・視力異常、視覚障害 ・血栓症 ・白血球減少、貧血、血小板減少 ・重篤な肝障害 ・間質性肺炎 ・アナフィラキシー様症状 ・高カルシウム血症 ・膵炎 ノルバデックス錠(20mg) <禁忌> ・妊娠または妊娠している可能性のある婦人 ・授乳中の婦人 ・本剤に対し、過敏症の既住歴のある患者 3 化学療法 化学療法 抗がん剤治療 がん化学療法 外科手術 放射線療法 乳癌に対する化学療法 1) 2) 3) 4) カイトリル注3mg デカドロン注20mg アドリアシン注 エンドキサン注 化学療法 1) カイトリル注3mg(グラニセトロン塩酸塩) <性状> ・注射剤(無色透明アンプル) ・5-HT3受容体拮抗型制吐剤 <効果・効能> 抗悪性腫瘍剤投与、造血幹細胞移植前処置時 の放射線全身照射(TBI)による悪心、嘔吐、消 化器症状 カイトリル注3mg <作用機序> カイトリル セロトニン 嘔吐 セロトニン 5-HT3 受容体 神経末端 嘔吐を抑制 カイトリル注3mg <副作用> ・アナフィラキシー様症状 ・そう痒感 ・呼吸困難 ・血圧低下 ・発赤 ・発疹 ・頭痛 ・眩暈 ・不眠 ・頻脈 ・便秘 ・下痢 ・腹痛 ・顔面潮紅 ・消化管運動低下 ・肝細胞癌 カイトリル注3mg <禁忌> ・本剤成分又は含有成分で過敏症の既往歴 ・消化管通過障害 乳癌に対する化学療法 1) 2) 3) 4) カイトリル注3mg デカドロン注20mg アドリアシン注 エンドキサン注 デカドロン注20mg ・副腎皮質ホルモン製剤 ・一般名(成分)はデキサメタゾン ・抗炎症作用や抗アレルギー作用のある ステロイド剤で、様々な病気の治療に 用いられる デカドロン注20mg ・ 5-HT3拮抗薬と併用すると悪心、嘔吐に対す る効果が増強される ・抗悪性腫瘍剤(シスプラチンなど)服用に伴う 消化器症状(悪心・嘔吐)の場合 デキサメタゾンとして1日4~20mg(本剤8~40 錠)を1~2回に分けて服用 ただし、1日最大20mgまで デカドロン注20mg <副作用> ・不眠 ・下痢 ・吐き気 ・むくみ ・体重増加 ・副腎皮質機能不全 ・クッシング症候群 デカドロン注20mg <禁忌> ・本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある 患者 ・有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の 真菌症の患者 〔免疫抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある〕 ・消化性潰瘍の患者 〔粘膜防御能の低下により消化性潰瘍が増悪するおそれがある〕 乳癌に対する化学療法 1) 2) 3) 4) カイトリル注3mg デカドロン注20mg アドリアシン注 エンドキサン注 アドリアシン注 ・ドキソルビシン塩酸塩 ・アントラサイクリン系の抗がん抗生物質 ・1回60mg/m2 ・点滴静注 アドリアシン注 <作用機序> ・腫瘍細胞のDNAと結合して、DNAおよびRNA の生合成を抑制する ・フリーラジカルを生成して、DNAの短鎖の切断 アドリアシン を起こす DNAポリメラーゼ アドリアシン注 <副作用> ・心筋障害 ・心不全 ・骨髄抑制 ・出血 ・頻脈 ・食欲不振 ・悪心 ・嘔吐 ・口内炎 ・下痢 ・脱毛 ・発熱 ・消化管症状 アドリアシン注 <禁忌> ・心機能異常又はその既往歴のある患者 [心筋障害が現れることがある] ・本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴の ある患者 乳癌に対する化学療法 1) 2) 3) 4) カイトリル注3mg デカドロン注20mg アドリアシン注 エンドキサン注 エンドキサン注 ・一般名はシクロホスファミド ・1回600mg/m2 ・点滴静注 ・21日毎 4サイクル エンドキサン注 ・アルキル化剤 ・ 抗がん剤、免疫抑制剤 ・ プロドラッグであり、肝臓で代謝され 活性をみせるようになる エンドキサン注 <作用機序> DNAをアルキル化し、腫瘍細胞のDNAの 合成を阻害する <副作用> 比較的副作用が出ることが多く、 代表的なものは、脱毛、悪心や嘔吐、発疹、 白血球減少、骨髄抑制、肝障害など エンドキサン注 <禁忌> ・ペントスタチン投与中の患者 ・本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴の ある患者 ・重症感染症を合併している患者 AC療法 ・アドリアシン+エンドキサン療法(AC療法)は 再発した乳がんの第一治療薬として用いられる ・ただし乳がんの手術後、再発や転移を防ぐ為に 術後の化学療法でアントラサイクリン系薬剤を 多用した場合 →アントラサイクリン系からタキサン系薬剤を含む 併用療法に変わりつつある 4 骨転移の場合 痛み 骨折 高カルシウム血症 4 骨転移の場合 ゾメタ注(4mg) (ゾレドロン酸、ゾレドロネート) <投与方法> ・1バイアル ・点滴静注 ・4週間毎 ゾメタ注(4mg) <作用機序> HMG-CoA ファルネシルピロリン酸 合成酵素 メバロン酸 ゲラニルピロリン酸 ファルネシルピロリン酸 コレステロール ゲラニルゲラニルピロリン酸 ゾメタ注(4mg) ファルネシルピロリン酸やゲラニルゲラニル ピロリン酸はRasやRhoといった小分子G蛋白 質が破骨細胞表面に付着するのを助ける <RasやRhoの働き> 細胞骨格の形成・維持 波状縁の形成 細胞運動 アポトーシス ゾメタ注(4mg) <副作用> 吐き気、骨痛、倦怠感、発熱、腎障害 <禁忌> ・本剤の成分又は他のビスホスホン酸塩に対し 過敏症の既往歴のある患者 ・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
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