オタク自認

情報メディア基礎論
オタクVSストリート?③
文化社会学から考える
前回までの簡単な復習
毛利嘉孝の「ストリートの思想vsオタクの思
想」
 「大規模オフ」と「サウンド・デモ」「フラッ
シュ・モブ」のあいだ
 「音楽・身体・ストリート・政治」vs「アニ
メ(ゲーム・ラノベ)・ネット・ニコ動・非政
治」?
 音楽:文化資本を携えた象徴闘争(卓越化ゲー
ム)のメディアとして機能している→「上位
層」における社会的コミットメントの強さ(社
会の全体性の縮約としての音楽界)

100.00%
90.00%
80.00%
70.00%
Q16-01.自分の能力
を、社会のためになる
ように役立てたい
否定的回答
Q16-01.自分の能力
を、社会のためになる
ように役立てたい
肯定的回答
60.00%
50.00%
40.00%
30.00%
20.00%
10.00%
0.00%
1
2
3
4
音楽尺度2(ビン分割済み)
5
100.00%
90.00%
80.00%
70.00%
60.00%
Q16-03.困っている人が
近くにいたら放っておけ
ない 否定的回答
Q16-03.困っている人が
近くにいたら放っておけ
ない 肯定的回答
50.00%
40.00%
30.00%
20.00%
10.00%
0.00%
1
2
3
4
音楽尺度2(ビン分割済み)
5
Z 得点(社
Z 得点:
Pearson
音楽尺度 3
の相関係
会的コミ
内向きナ
外向きナ
ットメン
ショナリ
ショナリ
ト)
ズム得点
ズム得点
.172
.136
.176
.000
.001
.000
631
637
637
.017
.044
.118
.661
.270
.003
数
有意確率
(両側)
N
Z 得点(オ
Pearson
タク的趣
の相関係
味行動尺
数
度)
有意確率
(両側)
1.0000000
.8000000
.6000000
.4000000
.2000000
.0000000
-.2000000
-.4000000
-.6000000
Z 得点: 音楽尺度3
Z 得点(社会的コミットメント)
.6000000
.4000000
.2000000
.0000000
-.2000000
-.4000000
-.6000000
社会的コミットメント
音楽尺度
今回のねらい
アニメ趣味の「界」において、卓越化の契機
は見出されうるか?
 近年議論されてきた「オタク」的な趣味の受
容様式と男女差(データベース消費、相関図
消費)
 そういうことは、ある程度の実証性をもって
いえるのか

1.オタクの概念史

1983年 『漫画ブリッコ』コラムにおける中森明夫の命名とされる

アニメ映画の公開前日に並んで待つ奴、ブルートレインを御自慢のカメラに
収めようと線路で轢き殺されそうになる奴、本棚にビシーッとSFマ
ガジンのバックナンバーと早川の金背銀背のSFシリーズが並んでる
奴とか、マイコンショップでたむろってる牛乳ビン底メガネの理系少
年、アイドルタレントのサイン会に朝早くから行って場所を確保して
る奴、有名進学塾に通ってて勉強取っちゃったら単にイワシ目の愚者
になっちゃうオドオドした態度のボクちゃん、…それでこういった人達を、ま
あ普通、マニアだとか熱狂的ファンだとか、せーぜーネクラ族だとかなん
とか呼んでるわけだけど、どうもしっくりこない。なにかこういった
人々を、あるいはこういった現象総体を統合する適確な呼び名がいま
だ確立してないのではないかなんて思うのだけれど、それでまぁチョ
イわけあって我々は彼らを『おたく』と命名し、以後そう呼び伝える
ことにしたのだ。
『Fanroad』『Out』『アニメディア』『アニメージュ』『Newtype』


家庭用ビデオの導入期(永田2011)と「オタク・アイデンティティ」の共
鳴
1989年 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件「M事件」でメディアで注
目される(ビデオ・幼女趣味・非外向的性格)
趣味への態度
•趣味への埋没という態度
•(一部)容姿
アニメとの結
びつき
•個別趣味「アニメ」との連関
•自律した交遊圏
人格類型
•セクシュアリティの特異性?
•特異な人格類型
•「バブル文化」での周縁化
•人格類型としての拡散?
宮台真司他『サブカルチャー神話解体』
(1993)
人格類型としての「オタク」と「新人類」の
対照
 情報社会、消費文化、友人関係などに関連す
る質問項目をもとに因子分析、因子得点をも
とに5つのクラスターを抽出。それをルーマ
ンの「認知的予期」/「規範的予期」の区別
に基づき、理論的に説明する。

情報社会・記号消費社会において、若者は、
どのような予期構造を持つことによって、行
為接続にかかわる複雑性に対応するか。
 「新人類」「オタク」現象を、別文化として
しまうのではなく、特定の社会的状況に対応
する「予期構造」の差異として描く。
 「予期構造」自体は、時代・文化が変われ
ば、べつのあり方で顕現することもある。
(機能的等価物)

ルーマンの規範的予期/認知的予期の区分をもとに
①自らの予期を基本的に規範的な水準で設定し、予期
外れにいて「当為的・規範的に対処する」人格シス
テム(バンカラ風さわやか人間)、
②逆に自らの期待水準を低めに設定することにより期
待はずれを「免疫化する」人格システム(頭のいいニ
ヒリスト)、
③「高度な情報能力を用いて、期待水準を自在に変更
する、柔らかいシステム」(ミーハー自信家)、
④期待はずれが生じる行為領域そのものから退却する
非活動的な人格システム(ネクラ的ラガード)、
⑤「近隣の活動的なシステムに追随する模倣的なシス
テム」(友人よりかかり人間)

ミーハー自信家(23.7%)
ニヒリスト
「オタク」的情報行動に
コミット
よりかかり(18.3%)
新人類リーダー
新人類フォロワー
記号的消費と人間関係の
結合
オタクリーダー
ネクラ的ラガード
「オタク」自認が高い
オタクフォロワー
バンカラ
新人類的なものともオタ
ク的なものとも非関連
人格類型としての拡散
北田研練馬2010年調査
100%
オタク自認
90%
80%
70%
60%
40%
30%
20%
10%
ややそ
う思う
26%
そう思わない
0%
あまりそう思わない
あまり
そう思
わない
16%
50%
ややそう思う
そう思
わない
37%
そう思
う
21%
そう思う

Q27-2.自分はオタクである
Q1-07.趣味/アニ
メ 選択あり
Q1-07.趣味/アニ
メ 選択なし
オタク尺度標準点・オタク自認
1.2000000
1.0000000
.8000000
.6000000
.4000000
.2000000
.0000000
-.2000000
-.4000000
-.6000000
-.8000000
14.0000
14.0000
12.0000
12.0000
10.0000
10.0000
8.0000
6.0000
4.0000
8.0000
仲のいい友だち_50
まで以外欠損
異性友人数20まで
6.0000
2.0000
4.0000
.0000
2.0000
.0000
1
2
3
4
5
2.データベース的消費
人格類型としてオタクをみていくことの限
界?
 東浩紀『動物化するポストモダン』
コンテンツの受容(消費様式)、「オタク」的
な世界認識の方法を探っていく試み。

萌え要素
キャラクターが内在す
る物語空間から自律し
て、消費・受容の契機
となるような断片的な
身体的特徴や、スタイ
ル、属性。こうした断
片化された要素の集積
(データベース)から、
受容者ごとに選択(検
索)がなされ、物語・
オリジナルの文脈から
自律した二次創作や
「流用的」な受容が生
み出される。
P59
『ガンダム』のファンの多くは、ひとつのガン
ダム世界を精査し充実させることに欲望を向け
ている。つまりそこでは、架空の大きな物語へ
の情熱がいまだに維持されている。
 しかし、90年代半ばに現れた『エヴァンゲリオ
ン』のファンたち、とりわけ若い世代(第三世
代)はブームの絶頂でさえ、エヴァンゲリオン
世界の全体にはあまり関心を向けなかったよう
に思われる。むしろ彼らは最初から、二次創作
的な過剰な読み込みやキャラ萌えの対象とし
て、キャラクターのデザインや設定ばかりに関
心を集中させていた。」

因子
表層受
移入
Q12-S2-01.つねに流行のマンガをチェックしたい
Q12-S2-02.マンガの登場人物の気持ちを自分の気持ち
容
自己陶冶
-.080
.328
.357
.397
.013
.200
.043
.608
-.053
.062
.323
.369
-.023
.667
-.222
.768
.018
-.030
.808
-.007
-.152
-.019
-.020
.508
.178
-.152
.595
.044
.338
.216
-.171
-.122
.449
と重ね合わせてしまう
Q12-S2-03.キャラクターの関連グッズを欲しくなるこ
とがある
Q12-S2-04.自分のマンガの好みを知人・友人に知って
もらいたい
Q12-S2-05.絵柄が魅力的であれば、ストーリー展開に
はこだわらない
Q12-S2-06.マンガの登場人物に恋をしたような気持ち
になったことがある
Q12-S2-07.マンガみたいな恋をしたいと思うことがあ
る
Q12-S2-08.教養のために昔の有名なマンガを読むよう
にしている
Q12-S2-09.わたしの生き方に影響を与えたマンガがあ
る
Q12-S2-10.マンガの二次創作(同じ登場人物で、原作
のストーリーとは違うストーリーを考えたり読んだり
すること)に興味がある
Q12-S2-11.難しいマンガは好きではない(反転)
男女「オタク」のマンガ受容差異
.6000000
.5000000
.4000000
女性
男性
.3000000
.2000000
.1000000
.0000000
移入
表層
実存
相関図消費
東園子(2010)より
「やおい」の愛好者は、キャラクターを原作の
物語世界からは切り離しているが、原作で描か
れる人間関係から切り離していない。
 したがって、「やおい」の元になっているの
は、世界観消費でもデーターベース消費でもな
い、キャラクターとその人間関係に関心を向け
る作品消費の仕方だといえよう。
 このような、「やおい」的な二次創作に見られ
る物語消費を、物語の登場人物間の関係を図示
した人物相関図から、「相関図消費」と呼びた
い。

オタク女子たちのジェンダーセンシビリティ
.2500000
男性も家事や炊事をしたほう
がよいと思う
.2000000
夫は外で働き、妻は家庭を守
るほうがよいと思う
.1500000
.1000000
もし夫に充分な収入があると
したら、妻は仕事をもたない
方がよいと思う
.0500000
.0000000
女性非オタ
-.0500000
-.1000000
-.1500000
-.2000000
-.2500000
女性オタ
男性非オタ
男性オタク
わたしは結婚したら、子ども
を持ちたいと思う
結婚したら、みんなが子ども
を持ったほうがよい
男の子と女の子は違った育て
方をすべきであるとわたしは
思う

「男性同士の関係性」への萌え
・既存の性別規範が解除されざるをえない
関係性の構想(関係性の投射)
・「男らしさ/女らしさ」のロールモデル
に沿わない(あるいはそれを領有した)恋愛と
性関係の可能性の示唆
・いわゆる「オタク」コンテンツに限定さ
れるものではない可能性。宝塚、嵐
3.データベース消費の位置
①趣味選択の自律性
検出的に趣味同士の相関(性別を統制した偏相関)
アニメという趣味選択の自律性
①正の相関自体にある他の趣味が4個(平均8.47)とかなり少なく
(「マンガ」「ゲーム」「カラオケ」「小説」)、
②負の相関関係にある他の趣味が5個ある(「自分でやるスポー
ツ」「食べ歩き」「ショッピング」「海外旅行」「ドライ
ブ」)。
*アニメが関係しない組み合わせで負の相関項目を持つのは、
「自分でやるスポーツ×楽器演奏」のみ。
*相関係数も「マンガ×アニメ」.475**、「ゲーム×アニ
メ」.359**と高い値(相関係数.3を超えるのは、他に「ゲー
ム×マンガ」「ファッション×ショッピング」「海外旅行×国
内旅行」のみ)
→これほど明瞭ではないが、同様の傾向はクロス表の分析から
もうかがわれる

趣味による友人関係の媒介
音楽鑑賞
マンガ
アニメ
ファッ
ション
小説
会話 好
き
な・・・
について
友達と話
をする
.284
.570
.368(た
だしマ
ンガに
ついて)
.352
.519
共同活動
友だちと
一緒
に・・・
に行く
.204
.266
.474
.253
.254
友人形成
契
機 ・・
・ででき
.250
.428
.577
.274
.356


全体集約的趣味としての音楽
「でも、しか」的に選択する人も含め、多くの人びとに
選択され(広範性)、他の趣味に比して趣味hobbyとしての
個別性に乏しい。ただ内的にはコミットの濃淡があり、
趣味hobby内の趣味taste分析の重要性。
→象徴闘争の資源、tasteと関連した「差異化」の資源
の特定が比較的容易。Cf参考資料
自律的趣味としてのアニメ
①他の趣味と比して趣味としての自律性が高い(趣味
選択の自律性)と同時に、②趣味を共有していることと
友人関係の連関が密接である。界としての独自性・自律
性が読み取りやすく、また浅野(2011)がいうような趣味
縁の形成媒体となりやすい。
→hobbyとして選択することそれ自体がある種のtaste
の共有と密接に関わっている可能性。文化の正統性とか
かわるtasteに照準した「差異化の論理」によって分析す
ることは可能か
アニメという界
①マンガの読み方、構えについての回答を
もとにした因子分析により、読みの構えの類
型化(移入 表層 自己陶冶)を行うと同時
に、
②「アニメ選択あり/なし」を従属変数と
し、マンガ受容態勢を説明変数として投入し
たロジスティック回帰分析を行い、
③①と②を突き合わせ、アニメの趣味自認
と関連する「受容の構え」の傾向を分析する
ここにおいて「教養的」な構えはどのよう
に位置づけられうるか?
投入する説明変数
 性別
 学歴
 実家の暮らし向き
 趣味数
 Q12-S2-01.つねに流行のマンガをチェックしたい 表層 自己陶冶
 -02.マンガの登場人物の気持ちを自分の気持ちと重ね合わせてしま
う 移入
 -03.キャラクターの関連グッズを欲しくなることがある 表層
 -04.自分のマンガの好みを知人・友人に知ってもらいたい表層 自
己陶冶
 -05.絵柄が魅力的であれば、ストーリー展開にはこだわらない表層
 -06.マンガの登場人物に恋をしたような気持ちになったことがある
移入
 -07.マンガみたいな恋をしたいと思うことがある移入
 -08.教養のために昔の有名なマンガを読むようにしている自己陶冶
 -09.わたしの生き方に影響を与えたマンガがある自己陶冶
 -10.マンガの二次創作(同じ登場人物で、原作のストーリーとは違
うストーリーを考えたり読んだりすること)に興味がある 表層
 -11.難しいマンガは好きではない(反転) 自己陶冶
因子
表層受
移入
Q12-S2-01.つねに流行のマンガをチェックしたい
Q12-S2-02.マンガの登場人物の気持ちを自分の気持ち
容
自己陶冶
-.080
.328
.357
.397
.013
.200
.043
.608
-.053
.062
.323
.369
-.023
.667
-.222
.768
.018
-.030
.808
-.007
-.152
-.019
-.020
.508
.178
-.152
.595
.044
.338
.216
-.171
-.122
.449
と重ね合わせてしまう
Q12-S2-03.キャラクターの関連グッズを欲しくなるこ
とがある
Q12-S2-04.自分のマンガの好みを知人・友人に知って
もらいたい
Q12-S2-05.絵柄が魅力的であれば、ストーリー展開に
はこだわらない
Q12-S2-06.マンガの登場人物に恋をしたような気持ち
になったことがある
Q12-S2-07.マンガみたいな恋をしたいと思うことがあ
る
Q12-S2-08.教養のために昔の有名なマンガを読むよう
にしている
Q12-S2-09.わたしの生き方に影響を与えたマンガがあ
る
Q12-S2-10.マンガの二次創作(同じ登場人物で、原作
のストーリーとは違うストーリーを考えたり読んだり
すること)に興味がある
Q12-S2-11.難しいマンガは好きではない(反転)
三因子得点とオタク関与尺度5層
.8000000
.6000000
.4000000
.2000000
.0000000
-.2000000
-.4000000
-.6000000
-.8000000
1
2
3
4
5
移入
表層
実存
標準誤
有意確
差
率
B
趣味数
EXP(B) の 95% 信頼区間
Exp(B)
下限
上限
.156
.041
.000
1.169
1.079
1.266
暮らし向き
-.315
.137
.022
.730
.557
.955
性別
1.102
.287
.000
3.011
1.716
5.283
学歴二値
-.345
.387
.372
.708
.332
1.511
.259
.139
.062
1.296
.987
1.702
-.203
.149
.172
.816
.610
1.093
q12r01
流行マンガチェック
q12r02
感情移入
q12r03
キャラクターグッズ
.561
.126
.000
1.752
1.370
2.242
q12r04
マンガの好み周知
.068
.145
.639
1.071
.805
1.424
q12r05
絵柄魅力的なら…
.378
.175
.030
1.460
1.036
2.056
q12r06
登場人物に恋
.715
.162
.000
2.044
1.488
2.809
q12r07
マンガみたいな恋したい
-.432
.150
.004
.649
.484
.871
q12r08
教養のため昔のマンガを
-.123
.146
.397
.884
.664
1.176
q12r09
生き方に影響与えた…
.225
.121
.063
1.252
.988
1.586
q12r10
二次創作
.386
.118
.001
1.471
1.168
1.853
.443
.135
.001
1.557
1.195
2.030
-7.082
1.208
.000
.001
難しいマンガ(反転)
q12s2_11
定数
Nagelkerke R2
-2 対数尤度
Cox-Snell R2 乗
426.898a
乗
.332
.457
Hosmer と Lemeshow の検定
カイ 2 乗
8.144
【参考文献】
自由度
有意確率
8
.420
考察:自己陶冶と表層受容
自己陶冶群「教養のために昔の有名なマ
ンガを読むようにしている」と「わたし
の生き方に影響を与えたマンガがある」
という項目をもとにした説明変数の回帰
係数が有意でない。
 もちろん、両項目とアニメ選択を単純ク
ロスさせると有意な関連がみられるし、
自己陶冶尺度と表層尺度の相関係数も高
い。だが、アニメという趣味自認に対す
る教養指向・実存指向の効果は過大視す
べきではないように思われる。

考察:自己陶冶と表層受容
一方、表層群に特徴的な項目
 「キャラクターの関連グッズを欲しくなること
がある」
 「絵柄が魅力的であれば、ストーリー展開には
こだわらない」
 「マンガの二次創作に興味がある」
は、分析に投入された他の変数の効果をコント
ロールしてもアニメ自認への効果を残してい
る。自己陶冶群で回帰係数の有意性が確認され
うるのは、表層群と重複する「つねに流行のマ
ンガをチェックしたい」のみ
考察:自己陶冶と表層受容



「界の内部での希少な資源をめぐる卓越化」「tasteの
良さをめぐる象徴闘争」というモデルは、自律型趣味
の内的関係を単独で扱う場合、適用が難しいように思
われる。
「本人たちが意識していなくても、実はtasteをめぐる
卓越化のゲームをしている」という分析の構図は、音
楽のような全体性集約型の趣味の場合には維持可能で
あるが、自律型の場合には貫徹が難しい。
その場合には、無理に差異化戦略を読み解く(過剰差
異化された行為者を描く)のではなく、別様のルール
の記述を(も)考えたほうがよいように思う。
Cf.東浩紀のデータベース消費、東園子の相関図消費
など
4.社会的コミットメント
.3000000
.2000000
.1000000
.0000000
1
-.1000000
-.2000000
-.3000000
-.4000000
2
3
4
5
オタク尺度
音楽尺度
アニメ選択者/非選択者の間に「社会的コ
ミットメント」項目での差はみられない。
 「非政治的」というよりは、アニメという趣
味を持つことは、「政治的・社会的」である
ことと関連がない、という可能性。
 全体集約的な「界」での音楽上位層と、自律
性の強い「界」のアニメ選好者を比較するの
は難しい。
