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テレビCM等の広告の効率的な出し方の考察
はじめに
日本の広告費と名目GDP伸び率の推移
媒体別広告費推移
※ プロモーションメディア広告費はその他の意味合いが強い
昨今の不況により広告費は減少の傾向
にあるが、 2009年の広告費は約5兆
9000億円も使われている
テレビ広告の占める割合は大きく、2009
年は29%も占めていた
分析手法
購入実態と意向が分かる121ブランドをジャンルに分けて、以下の分析を行った

回帰分析
値を調節した3回目の購入実態からから1回目の購入実態を除いた変化率を目
的変数とし、それぞれのブランドのTVCMの視聴回数と雑誌広告の閲読回数及
び各ブランドのメーカーサイトのアクセス回数を説明変数として回帰分析を行っ
た。
購入意向も同様に行った。

DEA(包絡分析法)
回帰分析の購入実態の変化率をブランドごとに合計したものを目的変数とし、同
じく合計したそれぞれのブランドのTVCMの視聴回数と雑誌広告の閲読回数及
び各ブランドのメーカーサイトのアクセス回数を説明変数としてCCR-Iモデルで
DEAを行った。
購入意向も同様に行った。
健康飲食品

回帰分析
PS=-0.0019W+0.3078Z+0.006C+0.0050
(0.83) (1.4E-0.5) (0.05)
PI=0.0088 W+0.1741 Z-0.0013 C-0.1600
(0.25)
(0.40) (0.17)
実態は雑誌広告、TVCMの順に影響がある
意向はどれも影響をあまり受けず、他の広告媒体や手法の効果
がある可能性がある
健康飲食品の最効率・非最効率ブランドのTVCM
最効率ブランド

ロッテ「飲み友」
非最効率ブランド

アサヒ「バランスアップ・クリーム玄米
ブラン」
深夜, 55,
18%
朝, 86, 28%
夜, 53, 18%
夜, 6, 100%
TVCM本数は6本
PSは1736ポイント
PIは1863ポイント
午後, 110,
36%
TVCM本数は304本
PSは1557ポイント
PIは1960ポイント
車

回帰分析
PS=-0.1725W+0.03132Z+0.0025C-0.0164
(5.14E-13) (0.07) (4.44E-06)
PI=0.0828 W+0.018Z-0.0045C-0.0138
(0.28) (0.74) (0.01)
実態はTVCMのみ影響がある
意向はどれも影響をあまり受けず、他の広告媒体や手法の効果
がある可能性がある
車の最効率・非最効率ブランドのTVCM
最効率ブランド

非最効率ブランド
トヨタ「SAI」
深夜, 32,
20%

朝, 28, 18%
ホンダ「CR-Z」
深夜, 68,
19%
朝, 93, 26%
午後, 28,
18%
夜, 116, 32%
夜, 70, 44%
TVCM本数は158本
PSは1668ポイント
PIは2679ポイント
午後, 81,
23%
TVCM本数は358本
PSは1988ポイント
PIは3104ポイント
サービス

回帰分析
PS=-0.0003W+0.0582Z-0.0003C-0.0092
(0.39) (3.78E-19)(6.42E-05)
PI=-0.0003 W+0.045Z-0.0005C-0.2055
(0.86) (0.16) (0.24)
実態は雑誌広告のみ影響がある
意向はどれも影響をあまり受けず、他の広告媒体や手法の効果
がある可能性がある
サービスの最効率・非最効率ブランドのTVCM
最効率ブランド

非最効率ブランド
公文式

ベネッセ「進研ゼミ」
深夜, 58,
5%
夜, 22, 16%
朝, 53, 40%
午後, 58,
44%
TVCM本数は133本
PSは1554ポイント
PIは1467ポイント
夜, 257,
24%
朝, 307,
28%
午後, 472,
43%
TVCM本数は1094本
PSは1554ポイント
PIは1499ポイント
酒

回帰分析
PS=0.0752W-0.0256Z-0.0002C-0.0258
(0.0001)
(0.73)
(0.41)
PI=0.0265W-0.1307Z-0.0007C-0.151
(0.60)
(0.23)
(0.06)
実態はWEBのみ影響がある
意向はどれも影響をあまり受けず、他の広告媒体や手法の効果
がある可能性がある
酒の最効率・非最効率ブランドのTVCM
最効率ブランド

アサヒ「ポイントゼロ」
非最効率ブランド

キリン「一番搾り」
朝, 2, 1%
広告
なし
TVCM本数は0本
PSは1564ポイント
PIは2165ポイント
深夜, 57,
19%
午後, 112,
36%
夜, 135,
44%
TVCM本数は306本
PSは1326ポイント
PIは1448ポイント
酒の最効率・非最効率ブランドのWEBサイト
最効率ブランド

アサヒ「ポイントゼロ」
非最効率ブランド

キリン「一番搾り」
製法の紹介でアニメーションを使用した
り、TOPの一部が動画になっている。
菓子

回帰分析
PS=0.0542W+0.0057Z+0.0001C-0.0001
(0.43)
(0.96) (0.0002)
PI=0.5999W-0.6412Z+0.0023C-0.0001
(0.03)
(0.18) (0.35)
実態はTVCMのみ影響がある
意向はWEBのみ影響がある
菓子の最効率・非最効率ブランドのTVCM
最効率ブランド

非最効率ブランド
キャドバリー「クロレッツXP」
朝, 24, 19%
深夜, 61,
47%

ロッテ「ガーナミルクチョコレート」
深夜, 25,
22%
朝, 30, 27%
午後, 12,
9%
夜, 32, 28%
夜, 32, 25%
TVCM本数は129本
PSは1640ポイント
PIは1877ポイント
午後, 26,
23%
TVCM本数は113本
PSは1386ポイント
PIは1192ポイント
菓子の最効率・非最効率ブランドのWEBサイト
最効率ブランド

キャドバリー「クロレッツXP」
非最効率ブランド

ロッテ「ガーナミルクチョコレート」
他にも「ガーナミルクチョコレート」
を用いたレシピコンテンツがある。
清涼飲料水

回帰分析
PS=0.032W-0.0578Z+0.0063C-0.061
(0.36)
(0.13) (3.06E-12)
PI=0.0128W-0.0917Z+0.0004C-0.1811
(0.74)
(0.03) (0.65)
実態はTVCMのみ影響がある
意向はどれも影響をあまり受けず、他の広告媒体や手法の効果
がある可能性がある
清涼飲料水の最効率・非最効率ブランドのTVCM
最効率ブランド
 マウントレーニア「カフェラッテ」
非最効率ブランド

キリン「午後の紅茶」
深夜, 58,
14%
夜, 137,
34%
夜, 3, 100%
TVCM本数は3本
PSは1371ポイント
PIは1547ポイント
朝, 91, 23%
午後, 119,
29%
TVCM本数は405本
PSは0ポイント
PIは1389ポイント
電化製品

回帰分析
PS=0.0317W+0.0001Z+0.0001C+0.0135
(0.01)
(0.84)
(0.01)
PI=-0.158W-0.0022Z+0.0001C-0.0789
(0.17)
(0.12) (0.61)
実態はWEB、TVCMの順に影響がある
意向はどれも影響をあまり受けず、他の広告媒体や手法の効果
がある可能性がある
電化製品の最効率・非最効率ブランドのTVCM
最効率ブランド

非最効率ブランド
LG「docomo携帯電話 L-01B」
深夜, 13,
5%
夜, 45, 18%

パナソニック「docomo携帯電話 P02B」
深夜, 35,
7%
朝, 78, 31%
夜, 222,
45%
午後, 114,
46%
TVCM本数は250本
PSは1735ポイント
PIは2103ポイント
朝, 102,
21%
午後,
133, 27%
TVCM本数は492本
PSは1701ポイント
PIは1867ポイント
電化製品の最効率・非最効率ブランドのWEBサイト
最効率ブランド

LG「docomo携帯電話 L-01B」
TOPページで他の携帯電話と比較するこ
とができる。
非最効率ブランド

パナソニック「docomo携帯電話 P02B」
TOPページでその携帯電話の特徴が分
かるようになっている。
全体的な考察

回帰分析
実態では多くのジャンルで少なからずTVCMの影響がある。
意向では大半のジャンルがWEB・雑誌広告・TVCMのどれも影響をあまり受け
ず、他の広告媒体や手法の効果がある可能性がある。
実態レベルだと依然としてTVCMの影響が見られるが、意向レベルだとWEB・雑
誌広告・TVCM以外の広告媒体や手法の方が期待できる。

DEA
その商品のターゲットに合わせて、TVCMの出す時間帯にメリハリをつけること
でTVCMを多く出した場合と同じかそれ以上の効果を出すジャンルが多い。
若しくは他の広告に力を注ぐなどのことでTVCMを極力抑えることができるジャン
ルもあった。
回帰分析ではWEBや雑誌広告の影響が高いと出たジャンルで、実際に最効率・
非最効率ブランドどちらとも広告を出していなかったり、差異があまり見られな
かったりと必ずしも回帰分析の結果と結びつかなかった。