サービスの定義と特徴 サービスの重要性 1 すべての人はサービスを利用 • 何かトラブルがなければサービスを利用して いることを意識しないものもある • 意識的に利用するサービスもある • BtoCレベルのサービス • BtoBレベルのサービス • 顧客は常にサービス品質やサービス価格に 満足しているわけではない 2 提供側の課題 • サービス提供側は熾烈な競争に直面し多くの 問題を抱えている – コスト削減による利益の確保 – 能力とやる気のあるスタッフの採用 – 無理な注文への対応 • これらに対応できている企業もある 3 なぜサービス業について学ぶのか • 経済の中心はサービス経済になっているにも かかわらず、マーケティングの研究が製造業 の手法で行われているため • マーケティングは消費財を中心とした「物」に 関する研究 4 サービス業の変化を促す要素 政策 社会変化 ビジネス トレンド 情報技術の 進展 国際化 新たな製品カテゴリの誕生 新技術・技術革新によるイノベーションの加速 選択肢の増加による顧客の力が増大 成功の条件 1. 顧客と競合相手を理解 2. ビジネスモデルの確立 3. 顧客とサービス組織双方の価値の創造 5 サービスとは一体どのようなものか サービスとは 6 歴史的視点 • 古典経済学派は「富の創造と所有を重視」 • アダムスミスの「国富論」によれば – 「生産的」労働の成果物が「物」 – 「非生産的」労働の成果が「サービス」 • 「物」は貯蔵が可能であり、富となる • 「サービス」は「素晴らしく、便利で、必要」で あるが生産と同時に「消滅する」ため富には ならない 7 サービスは無形の製品 • 19世紀初頭 – サービスでは生産と消費を区別できないとしてサービ スを「無形の製品」として表現した • 現在 – 生産と消費が可分なサービスもある – すべてのサービスが生産と同時に消滅するわけでも ない – 耐久価値を創造する – サービスには所有権がないとの見解は変化していな い 8 サービスの定義 1 クリストファー・ラブロック & エバート・フメソン • 以下をレンタルすることによりベネフィットを得 る。 – 「物の使用」 – 「労働力や知識の保存」 – 「施設やネットワーク利用の権利」 • 価値が生まれるのは顧客が期待通りの経験 や解決策を手に入れてベネフィットを得た時 点 9 新たな視点 所有権を伴わないベネフィット 1. 2. 3. 4. 5. 物のレンタル・サービス スペースや場所のレンタル 労働力や知識のレンタル 物的環境の共同利用 システムやネットワークへのアクセスや使用 10 サービスの定義 2 • もともと「サービス」とは奴隷が主人のために 行う仕事のこと • 現在では「奉仕し、援助し、便益を与える行動。 他人の幸福やメリットになるための行動」 • 初期のマーケティングでは有形財と対照的な 概念として定義 • 「行動、行為、作業、活動」としてサービスの 定義を拡大 11 本講義におけるサービスの定義 • ある主体が別の主体に提供する経済活動 • 通常、時間単位の行動であり、受け手に対し て期待通りの結果をもたらす • 顧客は、金銭、時間、活動を対価とし、サービ ス財の提供に関わる物を利用し、価値を手に 入れることを期待 • ただし、通常はサービス財提供に関わる物の 所有権を得ることはない。 12 サービス・プロダクトとカスタマー・サービ スやアフターケア・サービスとの違い • 「サービス業というものは存在しない。サービ スの要素がほかの業界と比べて多いか少な いかの違いであり、すべての業界でサービス が行われている。」 • すべての業界で「付帯的なサービス」を行っ ているという意味 • 本講義の議論の対象は中核要素がサービス 財であること 13 サービス業特有のマーケティング課題 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. サービスには在庫がない 無形要素が価値を生み出す 可視化が難しい 顧客が共同生産者となる 顧客がサービスの経験を左右する インプットとアウトプットの変動が大きい 時間が重要な要素である オンライン・チャネルが存在する 14 サービス財には在庫がない • サービスは活動や行為なのですぐに消滅して しまう。 • 生産後に在庫として保管しておくことができな い • 事前準備は可能だが、サービス財を用意して おくことはできない • 需要を標準化し、提供能力とのバランスを図 る方法を探らなくてはならい 15 無形要素が価値を生み出す • 有形物がサービス財の重要な要素である場 合は少なくない • しかし、パフォーマンスを左右するのは無形 の要素 • 無形の要素は五感で感じることは不可能 • 事前に調査し評価することも困難 • 競合サービス財との比較も困難 16 可視化が難しい • 顧客がサービス財の購入前にその内容をイ メージし、サービス財の内容を正しく把握する ことはできない • そのため、サービス財の購入にはリスクを伴 う可能性がある。 • 初めて利用する場合、知覚リスクが発生する ことが多い。 17 顧客が共同生産者となる • 顧客がサービス提供に積極的に関わる必要 のあるサービス財もある • 顧客が部分的スタッフとしての役割を求めら れる場合もある • 顧客が高性能な設備を使いセルフ・サービス を行うケースもある • 顧客のパフォーマンスによりサービス財の価 値が左右される 18 顧客がサービス財の価値を左右する • サービス施設では他の顧客と一緒にサービ スを受けることがある • サービス財の満足度は他の顧客に左右され る場合がある • 顧客の服装・人数・性格・行動のすべての要 素がサービス財の価値に影響を与える 19 インプットとアウトプットの変動が大きい • サービス財は生産と同時に顧客が直接受け 取り、利用するため最終的な組み立て作業は その場で行わなくてはならない。 • サービス提供においては、スタッフによる差 があり、同じスタッフでも顧客・時間により差 が生じる。 • サービス組織が生産性改善や品質管理を行 いながら信頼されるサービス財を提供するこ とは容易ではない。 20 時間が重要な要素である • サービスはリアルタイムで提供されることが 多い • 顧客は時間に対して意識が強く、無駄な時間 はコストとなる • 割高でも迅速なサービスの提供を希望する 場合がある • サービスを注文してから受け取るまでの時間 も重要 21 オンライン・チャネルが存在する • 一部のサービス業ではオンラインですべての 要素を客に提供できるものもある • インターネットで情報ベースの中核要素を提 供可能 • 付帯要素とは切り離して考察すべき 22
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