微生物生態学会における男女参画 に関する状況・意識調査結果 方法 JSME会員メーリングリストおよびJSME2012参加者アドレスにweb アンケートを一斉送信し、匿名回答を要請 受付期間: 平成24年8月16日~9月14日 回答数: 84件 本アンケートは、第28回微生物生態学会大会において開催された(2012年9月20日豊橋技術科学大学)ランチョンセミ ナー「女性研究者のキャリア形成・男女共同参画支援の現状~微生態女性研究者ネットワークをつくろう」に際して行わ れました。 実行委員:濱村奈津子(愛媛大), 大林由美子(横浜国大), 吉田奈央子(豊橋技科大), 龍田典子(佐賀大), 野中里佐(獨協医大), 永田恵 里奈(近畿大), 大滝宏代(首都大) 1.回答者の性別内訳 2.会員/非会員 内訳 学会員 非学会員 男性 女性 9 32 52 75 男女別キャリアの比較 3. 所属機関の種別 男 性 大学以外 の公的研 究機関 11 女 性 民間 2 6 5 21 39 大学 4. 年齢 5. 役職 18 16 12 10 件数 8 6 4 2 男性 14 女性 12 10 8 6 4 2 0 0 技修博ポ研助講准教そ未 術士士ス究教師教授の回 ド員 他答 補 授 ク 佐 員 ・(生命生物系他学会と比較して)40歳以上の女性研究者、PIレベ ルの女性教員が少ない。 7.就業者の現在の立場 6. 研究開発資金の規模 25 20 15 男性 20 女性 15 男… 女… 件数 10 10 5 0 0 >3000 2000-3000 1000-2000 500-1000 100‐500 >100 (万円) 大 学 等 にで 運研 営究 室 を 主 体 的 大 学 等 で 研 究 に 従 事 事 に 従 事 大 学 等 で 研 究 職 以 外 の 仕 企 業 等 事で 研 究 ・ 開 発 に 従 other 5 キャリアパス 20 15 件数 1.就業者の雇用契約任期 30 女性 男性 25 10 5 0 未回答 任期なし >10年 6-10年 4-5年 2-3年 1年 <1年 2.任期なし就業者の任期付き職に就い ていた期間 3.就業に至る就職活動経験 35 男性 女性 30 女性 件数 25 20 15 男性 10 5 2-3年 6-10年 100% 0 未回答 80% 30以上件応募した <1年 4-5年 60% 29-20件応募した 40% 19-10件応募した 20% 9-1件応募した 0% 15 件数 4. 就業者および未就業者の将来像・現状 35 男性 女性 30 25 20 10 5 0 その他 営農 分からない 教育職 科学技術ジャーナリスト 起業 行政職 大学等で研究室を主催 大学等で研究に従事 企業等で研究・開発に従事 企業等で研究職以外の職 ・女性は男性に比べてPIを目指す比率が少ない。(他学会と同傾 向) 5.将来希望する職につける見通し 30 男性 女性 25 件数 20 将来、研究環境に対する不安 分から ない, 5 ない, 6 15 ある, 41 10 5 0 無回答 分からない すでについている 努力すれば可能 無理かもしれない 分か らな い, 2 ない, 2 無回 答, 2 ある, 26 生活 1.配偶者の職種 回答者が女性 回答者が男性 0% 20% 40% 大学等公的研究機関の研究職 民間企業の研究職以外 医療関係 学生 60% 80% 民間企業の研究職 研究補助員 専業主婦 100% 2.単身赴任経験 単身赴任期間 9 ある, 16 なし, 22 8 男性 7 女性 件数 6 5 4 3 2 なし, 10 1 0 > 15年 10 - 14年 5 - 9年 3 - 4年 1 - 2年 < 1年 ある, 12 3.出産・育児休暇 4.子供の数 18 男性 女性 16 14 件数 12 10 8 6 4 2 0 2年以上 1~2年 6か月~1年 3~6か月 3か月未満 していない 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 男性 1人 女性 2人 3人 5. 介護について 対応 要介護者の有無 35 30 男性 女性 主に家 族で, 0 介護施 設を利 用, 4 介護 サービス と家族, 5 25 20 15 短時間労働や介護休暇の利用 10 介護休 暇, 1 5 0 いない 予想される いた いる 利用し ていな い, 9 6. ワークライフバランス 平日の仕事時間 30 男性:平均11時間 女性:平均10時間 2 時間 35 家事に費やす時間 女性 1 20 15 0 10 4 5 3 時間 件数 25 男性 平日 0 休日 2 0 既婚者 全体 16-18時間 13-15時間 10-12時間 7-9時間 4-6時間 1-3時間 1 男女参画に対する意識 1. 女性研究者の数について 男性 2. 男女の処遇差について 男性 少ない ちょうどよい 多い わからない その他 未回答 男性が優遇され ている 女性が優遇され ている 男女差はない 他 未回答 女性 女性 3. 男性優遇意識の内訳 10 10 男性 女性 男性 8 件数 4. 女性優遇意識の内訳 8 女性 2 0 0 未回答 他 昇給 昇進 採用 未回答 2 他 4 昇給 4 昇進 6 採用 6 100 女性 男性 80 60 40 20 0 育児または介護期間後の 復帰が困難 家庭との両立が困難 ロールモデルが少ない 男女の社会的分業 社会の偏見 職場環境 家庭環境 教育環境 回答者数に対する割合(%) 5.女性研究者が少ない理由について 80 男性 女性 60 40 20 0 回答者数に対する割合(%) 6.仕事と育児、介護との両立に必要なことは何か その他 ワークシェアリング 上司の理解 休業中の代行員 育児・介護への経済 支援 保育所等のサービス の拡充 男女の役割分担の意 識をかえる 労働時間の短縮 7. 託児について(大会開催時) 1 希望者がいれば開設すべき 11 2 3 希望する 12 希望しない 開設すべき 希望者が少数であれば開設する必 要はない 70 経費との兼ね合い 無回答 7.男性からの男女参画に対するコメント (要望欄) • 女性限定のポスト公募や助成金は公平性に欠く。数字上のノルマ的な感覚が本 来の意義を見失わせている。女性の博士課程進学率を上げる等、もっと裾野の部 分から改善する必要があるのではないか。 • 女性の社会進出拡大は少子化の原因の一つである。少子化問題と併せて考える べき。 • 余剰ポスドク問題の方が重大。男女共同参画などを論じる余裕はない。 • 女性研究者を対象とした育児補助金、あるいは奨学金は少額であっても励みにな るのではないか。 • 女性研究者が少ない原因は、博士・ポスドクの供給過剰による研究競争の激化が 原因では。予算規模に合わせた研究者人口、これより計算されるキャリアパスを 総合的に考え、その中で男女の研究者の「比率」を議論する必要がある。 • 出産・育児からの復帰に際し、男女間での業績評価への公平性に配慮が必要な い。ワークシェアリング制度など職場から完全に離れずに済む制度があるとよい。 • 働いているのは男性が多く、その分の負担も男性が背負っている。男女参画に は、男性も家庭と社会を緩く行き来できるシステムがあるとよい。 8.女性からの男女参画に対するコメント (要望欄) • 家事、育児は女性まかせのため研究時間がへり、女性の比率を下げている。 • 男性会員の理解も低い。育児休業するならやめたら、という声もある。休業も復帰も 当たり前になって欲しい。ただ、やはり実際のところ両立はきつい! • 現在研究教育環境は、女性のみならず若手全般にとって厳しい。今後も微生態の 分野で日本の研究者が輝くためには、男女共同参画の理念「一人ひとりが性別の 差になく力を発揮できる環境」を実現することが重要。 • 国際学会では、女性研究者の活躍、乳児・幼児を連れた参加が日本より。いろいろ な立場にある男女が参加しやすい環境を提供することもそうだが、女性研究者自身 のアピールも必要。 • コペンハーゲンのISMEでは会場に子供がちらほら見られた。日本でも、子供がいて も違和感の無いような雰囲気になればよい。 • アンケート等の雑用は女性ばかりがやらされているのでは? • 女性だけの問題として扱うのではなく、男性とも問題を共有することが重要。 9.学会にして望むこと(要望欄、主に女性からの意見) • 国際会議のように、中休みの日があるとよい。 • 女性研究者が研究を続けやすいような学会の雰囲気づくり。 • 先輩女性研究者と若手女性研究者とのネットワーク構築。 • 託児所利用はかなり高額。子どもの旅費、宿泊費もかかる。託児費に学会からの補 助がほしい。 • (国に対して)出張の託児や子供旅費宿泊費を研究費から出せる、申請すれば補助 がもらえるシステムが欲しい。 • 女性研究者のネットワーク連携により、環境改善に取り組んでいってほしい。 • 今後もこういった男女参画セミナのような機会がもっと増えることを期待する。 • 託児所を希望する。詳細な情報を早い時期に示して欲しい。 • 託児サービス、おむつ替え設備、子供と共に食事が取れるスペースがほしい。 • 若手がさまざまな境遇の女性研究者の実体験を聞ける機会がほしい。 • 若手が積極的にコミュニケーションができるよう、休憩・談笑の場所を広くとって欲し い。 • 企業での研究者がもっと学会に参加できるような環境作りを希望する。 • 女性研究者同士の情報交換のネットワークができればよい。 • 様々な角度(性別、年齢、立場)から意見交換ができる場があるとよい。 まとめ・男女参画に対する意識 • 回答者の性別にかかわらず、女性研究者の数は少ないが、男女間の処遇差はない と思っている人が多かった。 • 女性研究者の少ない理由として、男性回答者は家庭環境や社会の偏見が多かった が、女性自身は家庭との両立の困難さ、男女の社会的分業、ロールモデルが少な い事などを多くあげていた。 • 配偶者のいる女性回答者は全員が共働き(そのうち6割は配偶者も研究者)であっ たのに対し、配偶者のいる男性回答者は36%が共働き(そのうち研究者は29%)で あった。また、転職・離職を考えたことのある女性研究者の53%が家庭(結婚、同 居、育児等)を理由にあげており(男性では4%)、仕事と家庭の両立の困難さがキャ リアの継続に大きく影響していることが示されている。 • 調査結果の全体的な傾向としては生物系他学会と同様の結果を示したが、本学会 では40歳以上の回答者の女性比率及びPIレベル(講師以上)の女性教員率が他学 会と比べても低く、ロールモデルとなる女性PIが少ないことが示唆された。 • 学会年会時における託児所については回答者の8割以上が開設に賛成であった。こ の結果をうけ、第28回豊橋大会において今後の学会年会における託児所の常設が 決定された。
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