Ⅶ型コラーゲン

Journal of Investigative Dermatology, 15 May 2014
Loss of Collagen VII Is Associated with Reduced
Transglutaminase 2 Abundance and Activity
Ⅶ型コラーゲンの欠損はトランスグルタミナーゼ2発現量と活性の低下に関わる
2015.05.22 ゼミ
M2 中山千華
Ⅶ型コラーゲン
・表皮角化細胞、真皮線維芽細胞の両方から分泌される
・基底膜中のラミニン332と結合し、真皮-表皮を接着する
(Nystrom et al., 2013, Moethods Mol Biol)
・Ⅶ型コラーゲンの欠乏は、 線維化・潰瘍形成・皮膚癌の
誘発等、細胞や組織に様々な影響を与える
(Fritsh et al., 2008, J Clin Invest)
・COL7A1遺伝子異常により
栄養障害性表皮水泡症(RDEB)を引き起こす
水泡やびらんが全身に繰り返し出現し、傷痕が残る
(Ng et al., 2012, Cancer Res)
https://www.shiseidogroup.jp/releimg/2150-j.pdf
トランスグルタミナーゼ
・哺乳類では8種類見出されている酵素であり、グルタミン残基とリシン残基を架橋する
・皮膚においては、少なくともTGase1, 2, 3, 5の存在が確認されている
(Raghunath et al., 1998 Arch Dermatol Res)
本実験では、
RDEB患者由来のNHDFを用いて、Ⅶ型コラーゲンの欠損が細胞内のタンパク質変
動に与える影響を網羅的に調査し、さらにⅦ型コラーゲンと安定結合するTGM2
の活性と発現量を評価した。
Fig① Ⅶ型コラーゲン欠損線維芽細胞にみられる特徴
Supplementary Figure
Ⅶ型コラーゲンの欠損が認められた
RDEB/NHDFの方が接着能が弱い
(C-A:コンカナマイシンA)
RDEB/NHDFの方がオートファジー活性が低い
細胞内におけるタンパク質の分解
オートファジー経路
Singh, R. (2011). Aging (Albany NY), 3(10), 934.
Fig① Ⅶ型コラーゲン欠損線維芽細胞にみられる特徴
正常NHDFにおいてshRNAを用いてCOL7A1をノックダウン
mRNA発現量・タンパク質分泌量ともに減少し、オートファジー溶解能も低下した
Fig②RDEB患者由来のNHDFにおける細胞内タンパク質の変化
〇
〇
(左)2048個のタンパク質を定量した
Controlと比べてRDEBで有意に増加したものは134個
減少したものは157個
(右)それらをカテゴリーに分類した
〇
〇
Fig②RDEB患者由来のNHDFにおける細胞内タンパク質の変化
Up regulated
Down regulated
Fig③Ⅶ型コラーゲンの結合パートナーの特定
Fig③Ⅶ型コラーゲンの結合パートナーの特定
TGM2はⅦ型コラーゲンとの安定結合パートナーである
TGM2
TGM2
Fig④Ⅶ型コラーゲン欠損線維芽細胞におけるTGM2の発現・活性
RDEB患者由来のNHDFにおいてTGM2はmRNA発現量・タンパク質分泌量ともに減少した
Fig④Ⅶ型コラーゲン欠損線維芽細胞におけるTGM2の発現・活性
細胞外のⅦ型コラーゲンが、TGM2発現を回復できるか確認
・コントロール基質or組換えⅦ型コラーゲンを培地に12時間添加して培養後、蛍光免疫染色
細胞外のⅦ型コラーゲンは、RDEB患者由来のNHDFにおいてTGM2発現を回復した
Fig⑤RDEBにおけるTGM2活性の評価
RDEB患者由来のNHDFにおいてPABの取り込み能が減少した
RDEB患者由来の皮膚組織切片においてTGMの活性が低下した
総括
①Ⅶ型コラーゲン欠損による様々な形質の変化
・接着能、オートファジー活性の低下
②RDEB患者由来のNHDFにおける細胞内のタンパク質
・小胞体輸送関連、ECM⇧、ミニ染色体維持複合体、接着因子⇩
③Ⅶ型コラーゲンの結合パートナーの特定
・TGM2は安定結合する
④、⑤Ⅶ型コラーゲンの欠損による形質変化とTGM2との関係
・RDEB患者由来のNHDFにおいて、TGM2の発現量は低下するが、
Ⅶ型コラーゲン添加培地で培養すると回復する
▶Ⅶ型コラーゲンの減少によるタンパク質の変動やⅦ型コラーゲンの結合
パートナー等、分子メカニズムが明らかになった
…RDEBの原因療法の解明に繋がる