カワモズクニュース№35

カワモズクニュース№35
湧水池
→カワモズクの付着図
左:チャイロカワモズク
右:ミョウテンジカワモズク
ミョウテンジカワモズク藻体
(100倍)
造果器:受
精し造胞糸
を形成初期
発芽
果胞子
→匍匐細
胞糸が絡
み合う様子
2015.5.5
〔新倉ふれあいの森〕
新倉ふれあいの森は2006年市民緑地として整備され、その
時、管理区域外ではありますが、湧水口に竹筒を差し、池が出
来ました。
2011年1月池の石にカワモズクの
シャントランシア体(胞子体)が確認
され、4月には藻体に成長しました。
種はチャイロカワモズク
(B.arcuatum Kylin)と同定されまし
た。
しかし、その後池の中が撹乱されたり吐しゃ物が投入さ
れたりして、カワモズクは消失しました。
2012年4月、カワモズクは再発生し、5月にはミョウテン
ジカワモズク(B.gelatinosum(L.)De Candolle f.
spermatoinvolucrum Vis et Sheath)が発現し、原口和夫
氏により埼玉県博物館から報告されています。
更に8月、アオカワモズク(B.helminthosum Bory)も観察
されています。
カワモズクは種によって住み分けしている事が研究者
により報告されていますが、この小さな水域(62㎝×67
㎝)では、現在この3種のカワモズクが混生しています。
それぞれの種がどのような生育を表現していくのか年
間を通して観察していきたいと思います。
〔ミョウテンジカワモズク〕
今池の中ではミョウテンジカワモズクがもっとも盛んです。
藻体の大きさは10㎝以上のものもあり、成熟し果胞子体を形
成しています。
造果器(生殖器)は下膨れで盛んに受精しています。ミョウ
テンジカワモズクの特徴である側枝の精子嚢の形成は23枝
の内3枝(3月21日)と少ないですが、受精後、果胞子体を
形成する時には側枝にたくさんの精子嚢が見られます。
果胞子体:
側枝に精子嚢が形
成されている。
果胞子が放出され、着床する前に発
芽し、匍匐細胞糸をぐんぐん伸ばして
いる様子も見えます。細胞糸は200μ
にもなり、引っ付き合い絡み合ってい
ます。また放出前に果胞子体の上で
発芽しているものも多く観察されまし
た。造胞糸上での発芽はどの時点で
離れるのか継続して観察していきたい
と思います。
〔チャイロカワモズク〕
チャイロカワモズクは市場峡公園でも最近発現し、水
路など日照の強いところで生育しています。
この池では石の上やアオウキゴケの仮根に付くなど全
体に生育しています。
チャイロカワモズクの造
果器は大変小さく、長い造
果器の枝の先に形成され
ています。
造果器の被覆枝は短く
特徴があります。
皮層細胞糸もよく発達し、
中軸を覆っています。
チャイロカワモズクの藻体
造果器
精子嚢とその枝
アオカワモズク藻体(100倍)
アオカワモズクの藻体
〔アオカワモズク〕
アオカワモズクも日照に
強いカワモズクの一つだと
思っています。
藻体の色は濃緑色でと
ても美しいカワモズクです。
造果器はとても長く棒状
です。また中軸近くに付け
被覆枝は丸く、まるで団子
状です。
この池では、精子をつけ
る枝が団子状で精子嚢と
見分けが付かないほどで
す。精子嚢は神楽の鈴の
ように集まって形成されて
います。
造果器
精子嚢とその枝
カワモズクニュース№34の訂正
左ページ下段 「果胞子体から無限成
長する造胞糸・・」→「果胞子体から成
長する造胞糸・・」
3種のカワモズクは今、
仲良く混生していますが、
交雑はしないのでしょうか。
この小さな池のどのような
環境変化と折り合って生
きているのか注視してい
きたいと思います。
(ニュースに対するお問合せ)
白子・大坂湧水林保全の会
会長 友國 洋
文責 須貝 郁子
白子3-35-6-307
(048-464-5545)
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