カワモズクニュース№20

カワモズクニュース№20
〔市場峡公園・ミョウテンジカワモズク〕
平成24年のミョウテンジカワモズクの経過をご報告
します。
湧水口の金枠に発生していた刷毛状のシャントラ
ンシア体(A)はそのまま年を越しました。1、2月、池
内に幼体に移行するシャントランシア体(B)が現れ
発芽の様子がありました。池内の石や石枠に2㎝ほ
どまで成長するものの消失を繰り返しました。
金枠のシャントランシア体(A)
右顕微鏡写真(100倍)
シャントランシア体(B) 幼体の塊を形成する
金枠に生育するミョウテンジカワモズク(8月)
ミョウテンジカワ
モズクの造果器
(生殖器)側枝に
精子嚢をもつ。
下段は果胞子
体を持つ枝
5月、金枠では刷毛状のシャントランシア体(A)は
次第に消失し、一方シャントランシア体(B)が発生し、
幼体の塊から枝を伸ばし配偶体に成長していきまし
た。生殖器を持つ配偶体は次第に数を増やしまし
た。
8月、今年は湧水は涸れず、水温は18.4度になり
ましたが、ミョウテンジカワモズクは消失することなく
最大78株を数えました。
刷毛状のシャントランシア体(A)は消失しました。
9月にはいるとアオミドロが次第に繁茂し、金枠を
覆ってきました。カワモズクにとってアオミドロは遮光
の役を果たしているのかも知れないと、完全に除去
しないようにしましたが、藻体は大きく成長する事な
く、また、個体数も次第に減少してきました。 一方、
一旦消失したシャントランシア体(A)は、9月になると
新たに発生し始め、12月現在、昨年のように金枠の
4分の1ほどを覆っています。
下のグラフは、1年間の金枠における刷毛状の
シャントランシア体、幼体、配偶体の消長の様子で
す。尚、池、金枠にはアオカワモズクが混生していま
すが見た目では確認できず78株は含めた数です。
金枠におけるミョウテンジカワモズクの消長
シャントランシア体(A)
幼体
配偶体
アオミドロ繁茂
越戸川のチャイロカワモズク
ミクリの残る川面
河床のコンクリートに
黒く付いているのが
チャイロカワモズク。
コンクリートブロック
をびっしり覆っている
所もあり、数える事は
できませんでした。
12月5日、冬の越戸川上流部の
様子を見に行きました。河床を覆っ
ていたミクリは大分衰退していまし
た。
梯子を降りて川に下りたとたん、
目を疑うほどの様子が視界に入っ
てきました。
11月の掃除に下りた時には全く
確認できなかったのに、まるでミクリ
の間を探してくつろぐようにチャイロ
カワモズクの群落がそこにありまし
た。マットのように一面びっしりと河
床のブロックを覆っているところもあ
ります。
北原小学校の橋から上流の東上
線下まで約150メートルにわたって
繋がっています。
下流は北原小学校の橋下から急
速に減少しますが、強清水辺りの
河床にもわずかに見られます。
チャイロカワモズクの造果
器(左)、果胞子体のつい
た藻体(右)
2012.12.5
気温15.4℃ 水温16.0℃
東上線下を過ぎて50メートルほど行くと
1mの段差があります。更に上流に上って
いくと右岸から沢山の湧水が流入してき
ます。が、この上流部にはカワモズクは確
認されていません。
カワジジャが繁茂し、マツバイの群落が
見られました。今年こそ5月には白い小さ
な花が見たいと思っています。
越戸川の最上流部 この上は暗渠となっています。
白子・大坂湧水林保全の会
須貝郁子