さすけ・なぶる ファイル - 高知大学 Moodle

もし、高知大学が
大規模避難所になった
ら?
東日本大震災の事例から
考える
地域支援計画検討部会
大槻 知史
部会長
南海トラフ地震の発生確率:
• この30年で、
60-70%
もちろん、今、この瞬間に
起きてもおかしくありません。
今、地震が来たら
高知大学は
どうなる?
(1)学生・教職員の安否確認
生活支援
<福島大学>
・全学向け安否確認システムなし。
・大学メールを見ない学生、留学生の安否確認困難。
→生協twitterによる連絡呼びかけが効果大。
・下宿の明かりを確認にいく
・連絡取れた学生へのインタビューで情報収集
・安否確認後、学生への緊急時連絡体制を確立
(自宅、周辺アパート、寮)。
・学生への情報提供のために、twitterアカウントを開設。
中央教育審議会 教育振興基本計画部会 ヒアリング(福島大学)
福島大学教員インタビュー
<東北大学>
・被災後、ネット・電話がつながらない状況
・回復後、人海戦術で安否確認
・安否の最終確認までに2ヶ月を要した。
・大学WEBサイトのtext化→携帯でもアクセスが容易に
<安否確認のポイント>
・紙媒体による学生リスト(cf.石巻専修大学)
・多様な連絡手段の確保
(メール、LINE、SNS、twitter、新聞、告知張り紙・・・)
→普段からの情報チャネルとしての活用が大切
・学生ネットワークの活用
・最後は、教職員が自分の足で確認しに行く
(cf.神戸大学、石巻専修大学)
国立大学リスクマネジメント情報2011年10月号,KDS国大協サービス
学生の生活支援
• 授業料の減免、奨学金の提供
• 家賃、生活費の一時補助
• 他大学への学生・院生の受入支援
• 帰省支援(バスチャーター等)
• ボランティア学生に対する支援...
(2)施設の安全確認と
学生・住民の受入・施設提供
人は津波
「受入を拒むことは困難」
↓
学生・住民の滞在を想定し、
受入場所・支援方法
授業再開との兼ね合いを
事前に検討しておく
石巻大学の事例
・指定避難所ではなかったが被災者が避難を希
望
↓
・避難者数十名を受入
↓
市長による受入要請
↓
最大1,200名強の学生・住民が避難
『避難者受け入れの内容と 規模、経過』,専修大学WEBサイト,http://www.senshu-u.ac.jp/
朝倉キャンパスへの
避難者の簡易推計(H25年度版)
被災当日の 被災後3~7日目の
住民避難者 住民の追加避難者
(家屋倒壊)
(断水・食糧難)
学生避難者
合計
家屋倒壊による
住民死者数
ケースα
602
1,065
-
1,667
103
ケースβ
1,751
4,865
3,130
9,746
215
ケースα:学生帰省時に発災し、想定震度の中間的な揺れ。かつ、家屋半壊時、断水時に避難行動率、避難所避難選択率が低かった場合(避難行
動率は2013中央防災会議、高知県モデルを参考)
ケースβ:授業期間中に発災し、想定震度の最大揺れ。かつ、家屋半壊時、断水時の避難行動率、避難所避難選択率が高かった場合(避難行動
率は2012東京都,2006中央防災会議推計モデルを参考)
補足:
①火災による避難者、市中心部からの津波避難者は考慮していない。
②家屋倒壊による避難者推計は、人文学部飯國研究室・吉良氏の卒業論文を参考にした(家屋倒壊による住民避難者、死者数の最小ケースにつ
いては、氏の推計をそのまま活用)
③家屋倒壊による死者数については、夜間発災時を想定。また、死者数の推計に学生は入っていない。
④本推計は、被害想定の変更、詳細データの入手等により変更の可能性がある。
職員のみなさんは
たとえ「避難所担当」でな
かったとしても
避難者の受入、支援に
全力で当たることになるでしょう
避難所の開設は
数ヶ月以上になると
予測されます。
このような状況の中で、
高知大学が、どのような避難者支援
避難所運営を行なうかは、
「地域の大学」としての高知大学
の未来を左右する
大きな課題です。
本日みなさんに
ご参加頂くのは
~あなたの人生がマニュアルになる~
避難所運営ゲーム
「さすけ・なぶる」
「ビッグパレットふくしま」
・福島県最大の避難所
・原発避難者 数千名が数ヶ月に渡って避難所生活を送った。
・長期化する避難生活で発生した、さまざまな「正解のない問題」を、
スタッフたちは、人生経験を生かして考え抜き、なんとか乗り越えた。
「さすけ・なぶる」
「ビッグパレットふくしま」避難所責任者の福島大学 天野教授が、
自らの経験や福島県内での大規模避難所での「リアル」をもとに
作成した、「正解がない状況」での対応を考える避難所運営ゲーム。
ゲームの世界
撮影:大槻 知史(2011年4月9日・石巻市)
皆さんは、
災害対策本部のメンバーとして、
避難所の運営に
関わっているとします。
避難所運営で
出てくる様々な
課題に対して
どのように対応を
するのか
グループで
考えてみてください。
「正解」はないので
みなさんが一番いいと
思う意見を
聞かせてください
1
トラブル
.
新聞屋と呼ばれた人たち
トラブル1.
新聞屋とよばれた人たち
避難所には、被災者の人数以上に新聞が届
けられていました。しかし、毎日その新聞が、
全ての希望する人に行き渡らなくて困ってい
ました。
調べてみると、何人かの人たちがたくさんの
新聞を持っていってしまうことがわかりました。
そのうちに新聞を巡って、けが人が出るなど
トラブルが多数発生しました。
大切な考え方
×「公平」
↓
○「公正」
公平
公正
Note: This image was adapted by the City of Portland
Office of Equity and Human Rights from the original graphic:
http://indianfunnypicture.com/img/2013/01/Equality-Doesnt-Means-Justice-Facebook-Pics.jpg
避難所運営の5つのポイント
• 被災者の実態や課題を的確に把握する。
• 被災者の声を集約し、生活環境の改善に向けた
調整をする。
• 被災者が交流できる場を保障する。
• 自治的な組織を確立し、被災者の参画で取り組
む。
• 地域における専門機関や団体とのネットワーク
を活用し、避難者内の課題解決に当たる。
2
トラブル
.
シャワー室は貸せません!?
トラブル2.シャワーは貸せませ
ん!?
お風呂に入れない生活で被災者の我慢は限界。
講師宿泊施設や理学部棟、特別支援学校など
にあるシャワー室を開放してほしいとの要望が
ありました。
しかし、施設管理の責任者は「事前の計画では
避難者に開放する予定に入っていなかった。」
「開放すると、講義再開の妨げになる。」
と、頑なに開放を拒みます。
あなたは板ばさみになって困っています。
さて、どうしますか?
このトラブルを
どう処理しますか。
また、なぜその対応をすることに
したのか、理由も考えてください。
3
トラブル
.
毎日が恥ずかしいんです。
女性たちの訴え
トラブル3.毎日が恥ずかしいんで
す。
女性たちの訴え
避難所の本部に、入所をしている被害者の女性たち
数人が相談があるとして訪ねてきました。話を聞い
てみると、「私たちは着替える場所がなく毎日が恥
ずかしいんです。」との訴えがありました。
また、夜になると男性の目があり一人でトイレや
喫煙所などにいくことも怖いという話や子育て中の
母親からは授乳するにも他の人たちの目があってや
はり恥ずかしいとの話も出てきました。
さらに、着の身着のままの避難者であったために
ブラジャーなどの女性用の下着がないということも
わかりました。
このトラブルを
どう処理しますか。
また、なぜその対応をすることに
したのか、理由も考えてください。
4
トラブル
.
ラーメンのスープ
トラブル4.ラーメンのスープ
あたたかい食べものが欲しいという被災者の声
に応えて、運営本部は手軽に食べられる「カッ
プラーメン」を配布しました。
ところが食べ終わった後のスープをトイレに
捨てる被災者が続出したためトイレが詰まって
しまうという事案が度々起こってしまいました。
困った本部は、残ったラーメンスープをトイ
レに捨てないように注意喚起したところ、飲み
干してしまう人たちが増えてしまいました。そ
の結果、血圧が高くなってしまう人たちが出て
きました。
このトラブルを
どう処理しますか。
また、なぜその対応をすることに
したのか、理由も考えてください。
5
トラブル
.
避難所に食料をもらいに
来た主婦
トラブル5.
避難所に食料をもらいに来た主婦
避難所の本部に60代後半の女性がきて、相談があ
るような素振りで立っていました。スタッフが声を
かけると、「避難所の食料を分けていただけないで
しょうか。」との話でした。
事情を聞いてみると、家族に「寝たきり」の要介護
者がいるために避難所に入所できず、被災した家で
の生活を余儀なくされていました。加えて、災害に
よって物流がストップし食料を調達できない状況も
あるということが分かりました。
しかし、避難所の食料は避難所内の被災者のためのも
のであるという、災害対策本部の規則がありました。
このトラブルを
どう処理しますか。
また、なぜその対応をすることに
したのか、理由も考えてください。
6
トラブル
.
足湯でのセクシャルハラスメント
トラブル6.
足湯でのセクシャルハラスメント
被災者が経験した体験や被災前の生活な
どを聴く「傾聴ボランティアの女性(大学
生)から、「常連のようになっている足湯
利用者の男性から、携帯のアドレスや番号
などを聞かれて困っている。外でも会おう
と誘われて困っている。」という苦情が寄
せられました。
このトラブルを
どう処理しますか。
また、なぜその対応をすることに
したのか、理由も考えてください。
振り返りワーク:
・あなたが、今回のゲームを通じて、ど
のようなことを感じましたか。
(ゲームを通じて新しく気づいた点、心
を揺さぶられた問題、納得できない
点・・・・)
・高知大学が避難所になった際に、被災
者の「人権」を守りつつ、円滑に運営す
るために、どのような準備が必要だと思
いますか?
高知市を100人の大家族とすると
25人
は、65歳以上のお年寄りです。
9人
5人
お年寄りのうち
また
は、一人暮らしをされています。
は、要介護・要支援のお年寄りです。
平成26年度4月1日の住民基本台帳人口等を元に計算
53人は、女性です。
12人
6人
は、14歳以下の子どもです。
は、手帳を持っている障がい者の方です。
3人
は、食物アレルギーを持っています。
平成26年度4月1日の住民基本台帳人口等を元に計算
やってしまいがちなこと
「排除」「隔離」「無視」「我慢の強制」
・着替え場所がなかった女性
・入れてもらえなかった障がいを持つ子ども
・泣きながらパンを食べたアレルギーの子
人を救うのは人しかいない
大切なのは
「想像力」
を養うこと
「想像力」を受入に生かすために
避難者受入の計画をつくる
≠
長大な指揮命令系統を創る
分厚いマニュアルを作成する
コンセプトに基づき
現場が臨機応変に対応し、
上層部が支援する体制づくりが必要
避難所運営の5つのポイント
• 被災者の実態や課題を的確に把握する。
• 被災者の声を集約し、生活環境の改善に向けた
調整をする。
• 被災者が交流できる場を保障する。
• 自治的な組織を確立し、被災者の参画で取り組
む。
• 地域における専門機関や団体とのネットワーク
を活用し、避難者内の課題解決に当たる。
ありがとうございまし
た。
タイムスケジュール
時間
スケジュール
10時-10時15分(15分)
事前プレゼン
10時15分-10時35分(20分)
練習問題(問題1)
10時35分-10時40分(5分)
5つのポイント説明
10時40分-11時00分(20分)
問題2&投票
11時00分-11時20分(20分)
問題3&投票
11時20分-11時40分(20分)
問題4&投票
11時40分-11時45分(5分)
振りかえり(何人か当てる)
11時45分-11時55分(10分)
デブリーフィング
11時55分-12時(5分)
感想を記入(終わらなければ宿題)