超低密度リポたんぱく質受容体

ry Low Density Lipoprotein Receptor (VLDLR) Expression Is
rminant Factor in Adipose Tissue Inflammation and Adipo
Macrophage Interaction
The Journal of biological chemistry
Andrew Nguyen, Huan Tao, Michael Metrione, and Tahar Hajri
HE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL. 289, NO. 3, pp. 1688–1703, January 17, 201
低密度リポたんぱく質受容体(VLDLR)の発現が脂肪組織
細胞とマクロファージの相互作用における決定因子であ
2015/09/28
松村明導
背景と目的
• 以前の実験では、VLDLRは前駆脂肪細胞には実質的には欠損してい
るが、脂肪細胞の肥大に影響することが示された。(Biochemical
Pharmacology 82 (2011) 1950–1962)
• そこで今回は高脂肪食を食べる野生型とVLDLR欠損マウスでの脂肪組
織の炎症や脂肪細胞とマクロファージの相互作用の際のVLDLRの役割
について検討した
• VLDLとは
• VLDL(超低密度リポタンパク質)であり、エネル
ギー源になる遊離脂肪酸を脂肪組織や筋組織
に運搬する役割を担う
小型脂肪細胞
M1マクロファージ
インスリン感受性が TNF-α,IL-1bなどを生産
し、炎症の誘導を行う
高い
M2マクロファージ
IL-10,などを生産し炎症
の抑制を行う
マウスの実験開始時体重と終了時の体重および各パラメータ
• 実験終了時のVLDLR-null(vldlr-/-)の体重、生殖腺脂肪、腎臓周囲脂肪、鼠径部脂肪
の重量がWTと比較して減少した。
中糖負荷試験、インスリン耐性試験と、細胞のインスリン感受性の
スでの結果
A:糖負荷試験
B:インスリン耐性試験
C:グルコース取り込み
D:ウエスタンブロット
E:初代培養細胞の上清をキットで計測
F,G:それぞれの細胞の写真
H,I:それぞれの細胞の大きさ分布
VLDLR欠損マウスのほうがインスリン耐性試験、
糖負荷耐性に関して有意に上昇していることが
わかる。
脂肪細胞の大きさも、VLDLR欠損マウスのほう
が小さいことがわかる。
Fig.2 VLDLR欠損マウスの脂肪組織におけるマクロ
ファージの浸潤と、炎症性物質の分泌
損マウスの脂肪組織において、分泌し
の炎症性物質が低値を示した。
肪組織に浸潤しているマクロファージについて
・WTにはM1マクロファー
多く、VLDLR欠損マウスに
マクロファージが多いこと
かる。
Fig.4 マクロファージの走化性について
この実験より、WTと比較してVLDLR-null脂肪細胞の調製培
地がマクロファージの走化性を低下させることがわかった。
Fig.5 脂肪細胞における各シグナル分子の
ウエスタンブロッティングと発現量について
炎症性マーカーであるJNK,p38MAPK,c-Jun、
ストレスセンサーである
Grp78,Atf4,Atf6,Pdi,Erdj4がともにVLDLRマ
ウスでは低値を示している。
Fig.6 VLDLの存在量とシグナル分子の関係について
オイルレッドO染色で
VLDLR欠損の脂質の貯蔵がWTより
も落ちていることがわかる。
炎症性マーカーは、VLDLR欠損マウ
スで減少したことが認められる。
Fig.7 VLDLRと薬理学的刺激の関係について
eIF2a:ERストレスセンサー
CHOP:ERストレスセンサー
VLDLR欠損マウスのERストレスと
Thapsigargin(THAPS)の薬理学的
刺激によるストレスには関係が
ないことが認められた。
Fig.8 VLDLRの脂質とその吸収について
• VLDLR欠損脂肪細胞は脂質、VLDL自身の
取り込みが低下した。しかし、パルミチン酸
の吸収に関しては差がなかった。
• パルミチン酸の吸収による炎症マーカーで
あるL-6,MCP-1の発現にも差異がなかった。
Fig.9 VLDLがマクロファージに与える影響
• マクロファージにおいてもVLDLR
欠損マウスのほうがTGの蓄積が
低減され、炎症性物質の発現も
減少した。
脂肪細胞とマクロファージの共培養におけるシグナル分子につい
• 共培養によって、それぞれの炎症性物質
発現量がそれぞれを培養した時より増加
したことがわかった。
3T3-L1
RAW264
培地
結論
• VLDLRの欠損は、WTと比較して血中グルコースの
取り込みを促進し、マクロファージの浸潤の抑制
や炎症性物質の分泌の抑制する効果があると分
かった。
• 以上の結果からVLDLRの発現は高脂肪食におい
て、脂肪組織の炎症やその増大を抑えることがわ
かった。
Fig.1の実験
物と飼料
WTとVLDLR-nullマウスはジャクソン研究所から雌雄とも6週齢マウスを購入
カロリー比36%が脂質のエサを16週与える
中パラメータ
非エステル化脂肪酸(NEFA)とトリアシルグリセロールをキットで、空腹時インスリ
をELISAで測定
イトカインとケモカインなど
TNF-α,IL-6,MCP-1とレプチン濃度は培養培地をELISA kitで計測
負荷試験とインスリン抵抗性テスト
一晩絶食の後、腹腔内に体重1kgあたり2mgのグルコースを注入し、尾部静脈の
中グルコースを指定時間ごとに測る。
4時間絶食の後、インスリンを腹腔内注射(0.75units/kg)し、血中グルコースを指
時間ごとに測る。
食事組成(HFD)
肪細胞組織学と免疫組織化学
精巣白色脂肪サンプルは4%パラホルムアルデヒド含有0.1Mリン酸バッファーに浸漬し
定する。
5μmの肥厚した連続する切片はパラフィリン包理組織から得る。
脂肪組織は、ヘマトキシン/エオジン染色(HE染色)を用いて染色した。
• 脂肪細胞の大きさは100倍の組織画像を2値画像に変換し、ImageJを用いて計測した。
• 細胞を4つのマウスの5つの部位から合計500個取ってきて部位ごとの平均を最初にとり、次に個
の平均をとった。大きさの分布は普通の大きさからの相対度数で取った。
• 残りはマクロファージの免疫染色に用いた。
免疫染色
• 脂肪細胞マクロファージをF4/80一次抗体を用いて一晩インキュベートし、ビオチン標識HRPラット
ギIgG二次抗体で発色させる。
• 組織化学の反応は、En Vision Doublestain Systemとヘマトキシリンの対比染色を用いる。
• 光学顕微鏡によって切片が評価され、デジタルイメージはマクロファージの量を評価する。
• CLS(Crown-Like-Structure)の数は1グループに4匹いるマウスから異なった場所を5つ観察してその
計測する
• Data were expressed as number of crown-like structures per low power field
• マクロファージの免疫蛍光染色は切片はウサギポリクローナルCD11c抗体に一晩つけ、適切な二
体で発色させる。
• 染色切片は蛍光顕微鏡で調べる
肪組織の培養とケモカインの産生
WTとvldlr-/-マウスの精巣上体脂肪を切り刻んでHEPES/塩バッファーで洗浄する。
500mg以下のサンプル95:5 O2/CO2の条件で2mlの1%BSA入りM199無血清培地で培養し毎
培地を添加する。
培地からケモカインの分泌をELISAでみる
肪組織から初代脂肪細胞と血管間質画分の分離
脂肪細胞と脂肪組織血管間質画分(SVF)は、精巣上体脂肪パッドを1%BSAと塩化カルシウム
入ったPBSに細かく切って入れる。組織懸濁液はPBSですすいで赤血球と遊離細胞を取り除
それを1mg/mlのタイプⅠコラゲナーゼと脂肪酸を含まない1%BSAを含むKrab Bufferで振盪し
がら20分37℃で消化する
懸濁液は100μmのナイロンメッシュで無菌濾過し、500×gで5分遠心する。
遠心後、浮力のある脂肪細胞は分離され、2回Krab-Ringer HEPES Bufferで洗浄し、脂肪細胞
画を得た。
残ったペレットは、3回Krab Bufferで洗浄し、赤血球溶解バッファーで赤血球を取り除きSVFを
この分画はqPCRで遺伝子発現を,フローサイトメトリーでマクロファージ特異的な遺伝子発現
る。
洗浄後、SVFは300μlの染色バッファー(FcBlockと抗体と共役した染色) 暗所、氷中で30分
細胞表面に対する染色抗体はCD11c-EP,F4/80FITCそしてCD206-APCを用いた
3種類の細胞の調整はCD11c-EP,F4/80FITCとCD206-APC,F4-80FITCの2通りで染色した。
サンプルはLSR2フローサイトメーターで処理され、データはCytopaint Classic software で調べ
クロファージフェノタイプとフローサイトメトリー
SVFの洗浄後、FcBlockを含む染色バッファーを300μl加え、さらに抗体と結
させて染める。暗所氷上で30min
染色表面の抗体にはCD11c-EP,F4/80-FITCとCD206-APCで染色した。
それぞれのサンプルはCD11c-EP,F4/80-FITCと、CD206-APC,F4/80-FITCで二
染色し、LSRⅡフローサイトメーターで処理し、Cytopaint Classic softwareで
べた。
FSc-A/Fsc-H gateはsingle cellを認識するために用います。
サンプルの蛍光強度はコントロール抗体で標準化され、細胞は結合した
体がない培地で培養される。生細胞はpropidium iodide染色で決定する
代脂肪細胞のグルコース吸収の測定
トリチウム標識をしたグルコースを用いて放射能をscintillation counterを
いて計測した。
• Krebs Ringer Buffer(KRP) Bufferを用いて細胞をばらばらにし、37℃20分インスリン有
の状態で培養し、0.25mmol/l,10μl KRP Buffer含む非標識2-DG(デオキシグルコース
0.1μCi標識2DGを加えて10分インキュベートした。細胞は氷冷したPBSで洗浄し、
0.1MNaOHで溶解させた。のち放射能計測
腔マクロファージ(PM)の培養とケモカインの産生
PBSの腹腔内注射でPMを取り、12well plateでRPMI1640で培養。接着した
胞を培養してPMを選別
走Assay
Boyden chamber migration assayを使用
• トランズウェルの下部に細孔を開け、マクロファージの下部への移行
顕微鏡などで観察する。24h脂肪細胞を培養した培地を下のチャンバ
へ入れて16hおく。染色はDAPIで行う。
漿VLDL分離
超遠心にかけ、PBSで希釈、タンパク、TGを計測。VLDLが持つ脂肪酸は、
体ガスクロマトグラフィーにかける。調製VLDLは1日以内に使用する。
腔マクロファージの培養とVLDL over load
12well plate 24hVLDL過剰培地で培養し、4%ホルマリンに付けた後、Lipi
TOXに30分、フローサイトマイクロスコープで計測
遊走Assay
直径8μmの細孔が内側のwellにあいており、外
側のwellに脂肪細胞由来調製培地を置いて、外
側のwellに遊走した細胞数を数える
参考:Uro lead
http://www.urolead.com/i
ps/products-and-services