2015年春学期 「経営学入門」 第13回 セブンイレブン 樋口徹 1 【日本の生活におけるコンビニ】 1.日本全国にコンビニは何店舗? 約 4万4千 店舗(平成23年12月末日時点) 2.全国のコンビニの一店舗当たりの一日の平均販売額は? 54万円 3.セブンイレブンの店舗数は? 14,005店舗(平成23年度末) 4.セブンイレブンの一日当たりの平均売上は? 66 万円(平成23年度) 5.セブンイレブン1店舗あたりの一日の来客者数は? 965 人(平成19年度) 2 【セブンイレブンの歴史】 • 1927年アメリカテキサス州の小さな 氷 屋さんから始まる 氷 を買う人の目的は? - 冷蔵庫 - • お客さんが一緒に購入したいものは? - 牛乳、卵(生鮮食料品) - ⇒便利⇒コンビニ • 夏季の営業時間は?週7日・16時間(何時~) • フランチャイズ(サウスアイランド・アイス社)? セブンイレブンの店長は社員・個人事業主? 直営店とフランチャイズの違いは?(経営責任の取り方) ※FCとは、本部(フランチャイザー)が多数の加盟店(フランチャイジー)に商標や商売 に必要なものを提供する代わりに、加盟料及び経営指導料等(売上や利益等に比 例)を受け取るビジネスの形態。セブンイレブンの店長は個人事業主(少額資本)が 基本で、加盟店(フランチャイジー)は商標(看板)や品揃えが共通。加盟店が赤字 を出した場合は加盟店側の責任。 ※日本の一号店は1973年に江東区 3 【セブンイレブン(コンビニ)の便利さ】 ・品揃え 店頭商品のアイテム数は? 約 2800 アイテム 毎週約 100 種類は新製品登場 毎年 70% の商品が入れ替わる ※独立のお店では対応しきれない。 ・24時間オープン 昔の営業時間(朝7時から夜11時まで) ・公共料金の支払い ・宅配の取次 4 セブンイレブンの収入構造 5 【一店舗だけでお店を運営したら?】 • 品揃えは? • どうやって、売れ筋を知る? • どのように仕入れる? • 価格交渉は? • レジはどうする? • 売上の計算は? 6 【最近、コンビニで買った商品】 7 【ドミナント出店⇐物流センター整備】 物流センター整備前 • 一日トラック 70 便 • ダンボール箱単位で輸送 • 在庫スペース一杯 在庫を抑えな がら豊富な品 揃えを確保 物流センター (小分け;必要な量) 直ぐに陳列(保管不要) ドミナント出店(確実かつ効率 的なトラック輸送) 温度帯別配送 【なぜ卸売業や物流センターが存在するのか?】 卸売業者が存在しない場合 M1 M2 M3 M4 R1 R2 R3 R4 (4社が別々に4店舗に運ぶ) 単 純 化 卸売業者が存在する場合 M1 M2 M3 M4 卸売・物流センター R1 R2 R3 R4 (集約するので取引数は半減) 中間業者としての卸売業者の役割明確化したのが取引数単純 化の原理(Hallの第一法則)である。 ※例えば、コンビニの場合多頻度少量配達が必要となるので、 物流センターの充実が不可欠であった。 9 【ドミナント出店(高密度多店舗出店方式)】 狭い範囲にたくさんの店を出店(加盟店には脅威) • 配送効率が良い(店舗間のトラックの輸送時間が短い) • 配達時間の制約充足(お弁当やサラダなどは配達時間が重要) • 知名度の向上(セブンイレブンが強いエリアという印象を与える) • 競争上有利(競合他社が参入を躊躇) • 宣伝効果の向上(動線が違えば、奪い合いにならない?開拓) • 加盟店の経営指導効率改善(OFC;オぺレーション・フィールド・カウ ンセラー;7~8店の加盟店を担当) ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ 4店舗で毎日合計320万円の売り上げ ⑦ ⑦ 5店舗で毎日合計380万円の売り上げに 10 セブンイレブンの店舗数と売上 11 セブンイレブンの物流体制と収益構造 12 【セブンイレブン・ジャパン(本部)の主な儲け方】 配送センター (運営は卸売業者) メーカーA メーカーB メーカーC A B C 輸送 (小分け) ABC ABC ABC ABC ABC ABC ABC 直営店舗 利益=売上-売上原価 FC店舗(オーナー) 輸送 保管・ 陳列 販売 廃棄やロス ※ 売り上 げは毎 日集金。 (運用) ※ 各店舗まで納入 ※ 本部の仕入れ値 ※ 在庫に利子? ※仕入れた分全て しない代わりに、 は明らかにされて 本部には商品 にチャージされる。 センターフィーを の所有権は移 廃棄やロスの分 ない。メーカーから メーカーから徴 転してないが、 までチャージされ の仕入れ値と各店 収 舗への仕入れ値に 決済する際に、 る(ロスチャージ)。 差があれば、セブン 利子徴収? イレブンジャパンの 13 収入 情報システムの進化:目的 14 セブンイレブンジャパンの特徴(資産をできるだけ持たない) • リスク回避 現金や現金等価物を除いてできるだけ持たない(不動産と機 器はリース、商品は所有しない)。不要なものは持たずにリス クを減らしながら、資本の回転率を高める。 • 加盟店から売上総利益(=売上高-売上原価)にチャージ ※売上原価に廃棄分は含まれない!! セブンイレブンの看板を掲げて、セブンイレブンジャパン提供の商品をセ ブンイレブンジャパンが構築した流通・情報システムで仕入れ、販売する。 加盟店の利益より、各店舗の仕入れ額の合計が大きな意味を持つ。 • メーカーからセンターフィーを徴収 日本の商習慣では、卸売りあるいはメーカーが小売に販売す る価格に店舗までの輸送価格が含まれる(蔵出価格)。物流 センターを構築した場合に、店舗まで輸送しない代わりに、 マージンを要求。商社あるいは他の卸売に物流センターの依 頼を獲得したマージンより安く委託。ここでも、物流センターを 経由する商品の総額が大きな意味を持つ。 15 (2)商物分離 • 商物分離とは商流と物流が分離することである。 • 商流は商品の所有権の移転経路のことであり、その商品の所有権を有してい なもいのが商品の荷役・保管・運送・販売を行う場合が商物分離となる。 • 典型的な事例としては、物流機能のアウトソーシングである3PL(3rd-party logistics;サードパーティロジスティクス)や販売機能のアウトソーシングである委 託販売などがある。 • 受託者は委託された運送や販売を行い、料金や手数料を受け取る。 • 下図はFBA商品の商流と物流を図示したものである。FBA商品はアマゾンの物 流センターにおいて在庫が管理され、マゾンのサイト上で販売されるものである。 16 • 消費者にとって、大規模チェーン店で購入する際に、商品の所有権の移転経路 は大きな影響を及ぼすことはほとんどない。例えば、セブンイレブン加盟店で販 売されている商品の所有権が(株)セブン―イレブン・ジャパンを経ていない。 • 消費者にとって重要な事は、原材料調達活動、生産活動、物流活動などのロジ スティクス活動が適切に行われて、購入したい商品が、適正価格かつ高品質で、 安定的に供給されていることが大切となる。 • サプライチェーンの中核企業の中には、商流より物流、情報流、資金流に重点 を置いているものが多い。 17
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