第2章 名詞と代名詞 6 再帰代名詞(P. 38) ~もし患者が自分自身だったら~ ◦ 日本語では、再帰代名詞として、通常「自分自身」よりも 「自分」を使うことが多い。 ◦ (1) 真優がいつも自分(自身)を{磨いている/見失わな い}(こと)。 ◦ (2) 佳菜が先生に自分(自身)を{アピール/さらけ出} した(こと)。 ◦ (1)の例では、直接目的語位置に現れる再帰代名詞が主語を 指している。 ◦ (2)の再帰代名詞も主語を指しており、目的語である「先 生」を指せない。 ◦ このように、再帰代名詞は主語志向的である。 ◦ 英語のself 形再帰代名詞は、主語志向的ではない。 ◦ himself が動詞の目的語に現れるとき、主語でも目的語でも指す ことができる。 (5) a. Ben defended himself. b. Ben showed May herself in the mirror. ◦ 日本語から英語に訳すときに、「自分」をself 形で、「彼」をhe で表現するのはいつも正しいとは限らない。 ◦ たとえば、「ベンは自分をイケメンだと思っている」といおうと して、ついついhimself を使ってしまわないだろうか。 ◦ (6) a. Ben considers( that) {he/*himself} is handsome. b. Ben considers himself( to be) handsome. ◦ (6a)のように、that 節の主語位置にhimself が現れることはで きず、主語を代名詞he にする必要がある。 ◦ どうしても再帰代名詞を使おうとすれば、(6b)のように consider の後ろには、不定詞節や小節(つまり、主語名詞句と 述語形容詞句のみからなる節)をもってくる必要がある。 この節のまとめ: ◦日本語の再帰代名詞「自分」は直近の主語を指せる だけでなく、遠くの主語を指すこともできる。 ◦一方、英語の再帰代名詞himself は直近の先行詞しか 指せず、遠くの先行詞を指せない。 ◦「自分」はいつもself 形で表せるわけではない。 復習ドリル ◦ 日本語から英語に訳してみよう (J1) ジョンは仕事に忙しくて自分を見失った。 (J2) 太郎は次郎がいつか自分のことをやっつけるだろうと思っている。 答え: (E1) John lost himself in business. (E2) Taro thinks Jiro will beat him/*himself someday.
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