訴状に出てくる憲法のこと 高松市の手話通訳派遣を考える会 事務局長 太田 裕之 1 訴状に書かれている 憲法のことや法律の ことを一緒に考えて みましょう。 2 まずは、憲法13条 さて、何が書いてあ るのかな? 3 憲法第13条(個人の尊重) 全て国民は、個人として尊重される。 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、 公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、 最大限の尊重を必要とする。 4 憲法13条には、 個人を尊重すると 書いてありましたね。 5 では、個人を尊重す るとは、どういうこと なのでしょう? 6 個人を尊重するということは、ろう者が手話を 使ってコミュニケーションすることも情報収集す ることも自由であり、そのために国や行政は最大 限の努力をしなければならないとしています。 今回の高松市の却下処分は、個人の自由(幸福 追求権)を妨げたとして違憲だと弁護団は主張し ています。 7 そうなんだ! 国民は、誰でも幸せ を求める権利がある んだね! 8 次は、 憲法14条だよ! さて、何が書いてあ るのかな? 9 憲法第14条(法の下での平 等) 1 すべて国民は、法の下に平等であって、人 種、信条、性別、社会的身分又は門地により、 政治的、経済的又は社会的関係において、差別 されない。 2 華族その他の貴族の制度は、これを認めな い。 3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかな る特権も伴はない。 栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来こ れを受ける者の1代に限り、その効力を有する。 10 憲法14条には、 国民は誰でも平等で あると書いてありまし たね。 11 では、平等とは、 どういうことなのでし ょう? 12 全ての国民は平等であり、ろう者が手話を使っ てコミュニケーションすることも様々な場面で手 話通訳を通して情報収集することも自由であり差 別をしてはならないとしています。 今回の却下処分は、障害を理由とした社会的不 利益是正のための公的支援をしなければならない のに、却下をしたということが「法の下の平等」 ではないから違憲であると弁護団は主張していま す。 13 そうなんだ! 国民は、障害に関係 なくみんな平等なん だね! 14 次は、 憲法25条だよ! さて、何が書いてあ るのかな? 15 憲法第25条(生存権) 1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む 権利を有する。 2 国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障 及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 16 憲法25条は、 生存権とも言われて いるんだよ! 17 では、生存権とは、 どういうことなのでし ょう? 18 生存権とは、単に生きるための物質的な条件が 数量的に確保されていることで充たされる権利で はなく、人が「人間らしく生きる」ための権利で す。 生活のありようを自己決定したり、選択の自由 を認めているのが憲法25条の生存権です。 今回の却下処分は、ろう者は手話によるコミュ ニケーションを通して自己決定、選択の自由を実 現することができるのに、却下処分をしたことは 生存権を侵害したということが違憲であると弁護 団は主張しています。 19 そうなんだ! 国民は、自己決定、 選択の自由が保障さ れているんだね! 20 次は、 憲法26条だよ! さて、何が書いてあ るのかな? 21 憲法第26条 (教育を受ける権利・義務教 育) 1 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力 に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。 2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護 する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。 義務教育は、これを無償とする。 22 全ての国民は、教育を受ける権利があり、その 保護者は、その子どもに教育を受けさせる義務が あるとしています。 今回の却下処分は、母親としてこの義務を果た すために子どもが進学を望む学校についての情報 を得る権利があるのに、却下処分をしたことは高 松市が必要な支援義務を怠ったとして違憲である と弁護団は主張しています。 23 そうなんだ! 国民は、教育を受ける 権利があり、保護者に は教育を受けさせる 義務があるんだね! 24 今回の訴状に書かれ ている憲法について、 少し理解できたかな? 憲法には、様々な権利 が保障されていてそれ を具体化したのが法律 になっているんだよ! 25
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