本まとめ 8章

どうすれば社会的ジレンマが
解決できるのか
「日本の「安心」はなぜ、消えたのか」山岸俊男 8章
1201058 内田 愛理
解決方法.1 道徳教育
「利他の心」を教え込み、抜け駆けをなくす
欠点
①教育の効果は人によってムラがある
②利他的精神を身につけた人が利己的精神を
身につけた人に利用される可能性がある。
解決方法.2
「アメとムチ」による監視・統制
「非協力行動よりも強力行動の方が得だ」と思わせる
欠点
①少しでも隙があれば、「ずる」をする人が必ず現れる
②得られる利益>監視・統制にかかるコストの方が大き
い可能性が十分にある
問題
①必ず一部には非協力的な人がいる
②システムのコストをメンバー全員がちゃんと払ってくれ
るのか
なぜこうした方法では
ジレンマが解決できないのか?
最大の原因
…世の中には「協力的な人」と「非協力的な人」の二種
類しかいないことを前提にしている
はたして世の中には二種類の人間しかいないのか?
-NO
たいていの人は、他人の様子で自分の態度を決める
「みんながやるなら自分もやる」主義者がほとんど
…人によって協力か非協力かを選ぶ程度が異なる
臨界質量
…強力行動か非協力行動かを選ぶ潮目の比率
例)信号無視
たった1人2人が信号無視をしても自分もしようと
思わないが、5人や10人になり、信号無視をする
人の比率が「ある一線」を超えると、ほとんどの人
が信号無視をするようになる
この潮目となる比率が
臨界質量
例)いじめ
いじめがエスカレートする理由…傍観者
傍観者の数が多いクラスーいじめ有
〃
少ないクラスーいじめ無
=いじめが起きるか起きないかは、傍観者の比率がカギ
ここでの重要なポイント
…傍観者が多いクラスと少ないクラスにはっきり分かれている
これを解くカギ…「臨界質量」
いじめが起きる教室…傍観者の数が臨界質量に達した
クラスの多数が傍観者側に回ってしまった
いじめが起きてない教室
…いじめを止める子供の数が臨界質量に達した
クラスの多数がいじめを抑制する側に回っているのでは
いじめを解決しようとする場合
「良循環の場合」
最初にいじめを止めようとする人の数が臨界質量を超
えていれば、協力行動をする人が増える
=いじめを止める人が多ければ、ねずみ式に自分も
いじめを止めようとする人が増えていく
いじめ反対!
5人いたら
協力する
6人いたら
協力する
7人いたら
協力する
「悪循環の場合」
最初にいじめを超えようとする人の数が臨界質量を超え
なければ、非協力行動をする人が増えていく
=いじめを止める人が少なければ、ねずみ式に自分も
いじめを止めようとする人が減っていく
4人いたら
協力
しない
協力する
いじめ反対!
いじめ反対!
5人いたら
協力しない
協力する
いじめ反対!
協力
6人いたら
しない
協力する
最初に何人の人がいじめ反対運動に協力するかによって、最
終結果が真逆になる
=スタート地点での人数の違いが、結果を変える
潮目の基準=臨界質量
このような臨界質量に基づく現象からわかること
・社会的ジレンマを解決し、人々の間に協力関係を作り出すに
は、最初から全員に働きかける必要はない
―いじめの例のように、初期状態に臨界質量をわずかでも
超えていれば協力行動をする人が出てくる
(社会的ジレンマ解決に進む)
初期状態で、いかにして臨界質量以上に持っていくか
…「アメとムチ」を使う
アメ…協力行動をとるか迷っている人の背中を押す
ムチ…非協力行動に回らないようくぎを刺す
日本の現状に当てはめて考える
安心社会が崩壊しつつある現在、信頼社会へ移行しなければ
ならないが、うまくいっていない
原因:他人を信用できない
解決策:人々がお互い信頼できるような「臨界質量」を達成する
多くの人はできれば互いに協力し合い、ともに利益を得る関係
を構築したいと思っている
「正直者がトクをする社会」を作れば、他者との間に協力関係を
結ぶ人たちの数は増えていく
その数が一定の比率(臨界質量)を突破すれば、信頼社会の
ネットワークが生まれてくるはず