現在抱える問題から考える 奨学金について 中京大学 経済学部 近藤ゼミナール 青木竜也 木田有哉 荒川遥菜 熊澤侑香 牛江俊貴 川田なるみ 寺田光太郎 林慶佑 ◎どうしてこのテーマを選んだのか ・周りに奨学金を借りている生徒が多い →日本の学生の2人に1人 ・しかし、奨学金についてちゃんと理解している、 考えている人はごくわずか ・給付型、貸与型など種類さまざま ・利子や、返済困難、保証人などの観点で多くの問題を 抱えている ◎そもそも奨学金とは 能力のある学生に金銭の貸与や給付を行うこと 経済的に修学困難な学生に修学を促すことを目的とするものも多い ●主な貸与奨学金制度 ・日本学生支援機構 →学力等の採用基準が厳しい第一種奨学金(無利子) ある一定の条件(親の所得等)を満たせばだれでも受けられる 第二種奨学金(在学中は無利子、卒業後有利子 最大で年 3%)がある 返済期間はどちらも最長20年 2014年8月27日 文部科学省は有利子枠を1万8千人減らす代わりに、 無利子枠を3万人分増加する方針発表 また、大学授業料の免税枠も6000人増加 そのほかの奨学金 ・あしなが育成会 ・地方自治体や民間企業の奨学金 ⇒実際に学生に意識調査実施 ●対象:中京大学経済学部1~3年 ●人数:500人 ●項目:1、授業料は誰が払っていますか? 2、奨学金を利用していますか? 3、奨学金の返済について考えていますか? 4、授業料がいくらか知っていますか? 5、授業料は高いと思いますか? 6、あなたの理想の授業料は? 1、現在、あなたに授業料はだれが払っていますか? 6% 8% 両親 自分 86% その他 2、奨学金を利用していますか? はい いいえ 40% 3、奨学金について考えたことはありますか? 60% 13% よく考えたことがある 42% 45% 少し考えたことがある 考えたことがない 4、授業料が半年でいくらか大体把握 していますか? はい いいえ 5、その授業料は高いと思いますか? 20% 3% 10% はい 80% いいえ 87% どちらともいえない 6、あなたの理想の授業料(半年)はいくらですか? 140 120 100 80 60 40 20 0 人数 中京大学 国際教養学部 大内 裕和教授 ◎インタビューや資料からわかったこと、問題点 ・借りすぎて返済に困難する 例)有利子タイプで月10万円を4年間借りる 貸与総額は480万円になる 金利1%、20年返済の場合 毎月の返済額⇒約2万2000円 ・大学の授業料の高額化 国公立と私立大学の格差 一方でいずれ国公立大学と私立大学の授業料同じになる可能性も 高等教育公財政支出のGDPに占める割合は欧米諸国と比べる と低くなっている • 授業料を所得連動型にする議論も ・有利子の奨学金 →将来の結婚などにも影響 晩婚化 少子化につながる ・地方自治体で給付型を実施しているところもある →国での実施につなげられないか ・都心部と地方の進学率の格差 →東京73% 愛知50% 鹿児島県35% 地方に大学が少ない 地方から都会に出ていく若者が増える 地方の人口減少 過疎化につながる ◎問題点から調査したこと ・各大学で実施されている給付型の奨学金について 例)中京大学の給付金制度 奨学金名 説明会日程 給付奨学金 募集要項 春)5月末~ 2年生以上の学部生 6月初旬 年額50万 <留年生・留学生を除 秋)9月末~ 円 採用スケジュール く> 10月初旬 採用人数 40人 募集対象者 支給金額 応募条件 地方自治体独自で奨学金を給付しているところもある。 地域条件がない奨学金 • 給与のみ • 貸与のみ 地域条件がある奨学金 • 給与のみ • 貸与のみ • 貸与給与併用 現状 月額1万~5万が相場 奨学金制度のない自治体の方が多い 愛知県みよし市にインタビュー ~みよし市~ 位置:愛知県のほぼ中央、 名古屋市や豊田市にも近い 人口:62001人 面積:32.19㎢ ・愛知県で唯一大学生に 給付型奨学金制度 を導入している。 ・昭和49年から奨学金制 度を導入。 教育部教育行政課の一丸智詩さんと中島理子さんにインタビュー 始めたきっかけ ・地方自治体で給付型の奨学金を行っているところへ 直接話を聞きに行く インタビュー先:愛知県みよし市 みよし市奨学金 教育委員会 教育学部教育行政課 内容:・奨学金制度の変化 ・借りるための審査 奨学金制度の変化 昭和49年 現在 給付額 給付額 高校生 3000円/月 高校生 6000円/月 大学生 5000円/月 大学生 8000円/月 基金 1300万円 基金 2900万円 奨学金を借りる審査 • まずは市役所に申請します。 申請 • 成績優秀な学生で、就学困難な者 。 • 保護者が1年以上市に居住している者。 審査 • 心身ともに健全で品行方正な者 。 • これらの要件を満たせば奨学金を借りることができます。 • 他の奨学金制度と併用は可能。 適正 • 定員はなく、基準を満たせば借りれます。 ◎奨学金返済について 返済状況 ・奨学金の返済を滞っている人 33万人(2013年) ・奨学金滞納総額 876億円(2013年) ・この数は年々増加している ・滞納者の83%が年収300万円未満 ・日本学生支援機構に毎日3000件もの相談が殺到 返還特別免除制度 ・政令に定められた教育又は研究の職に就いた時の免除制度 ・対象:平成15年度以前に大学院の第一種奨学生に採用とな り、貸与を受けた人 ・平成10年以降、大学、短期大学、高等専門学校に入学した 人の特別免除制度は廃止 返済者へのインタビュー 1人目 ・25歳 愛知県庁非常勤 ・月収13万9000円 一人暮らし ・貸与額二種8万円、返済額516万円 ・現在返済猶予を使っており、1年単位で申請している。 ・返済猶予は10年までしか使えない 返済者へのインタビュー2人目 ・25歳 愛知県庁嘱託職員 ・月収14万円 一人暮らし ・家賃4万、光熱費2万、食費、雑費で貯金ができない ・貸与額二種8万円、返済額400万円 ・現在返済猶予は使っていないが、生活がきつく、すぐにでも猶予を出 したい ◎海外の奨学金制度 ○イギリス 生活費ローン 受給者本人の家計の状況に応じて支給される。 支給金額の上限は様々な条件によって決定される。 授業料ローン 9000ポンドが上限となり、本人の家計の状況は関係ない。 SLCから大学へ直接送金される。(学生は経由しない) ○オーストラリア ・AU$53,345以上の年収で返済開始し、新卒の平均年収がこの額を超えるの が5年目となり、返済開始から平均8.1年で返済完了。 ○アメリカ ・授業料免除、給付型奨学金、学資ローン、教育免税など様々な学生支援制 度があり、主体も連邦、地方政府、民間団体など多様。 ・公共性の高い特定の職業に一定期間従事した場合、返還免除制度がある。 ・社会保障番号によって受給者の移住地調査が容易にできる。 ・未返還者に対してはクレジット会社に信用不良通告などのペナルティ ◎海外を調べてみて ・所得連動型奨学金は一定の収入になるまで返済しなくていいため、個 人にとってリスクが低く返済しやすい。 ⇒平等性の観点から問題ある状況を緩和できる。 ・この3か国はほとんどが国立大学なので資金も国が用意できるが、日本 は私学が多いため資金はどこが用意するのかの問題もある。 ・オーストラリア、イギリスは税とともに徴収しており、利子は物価小 売指数+α(収入が上がると上がる)などがある。 ◎マイナンバーと奨学金 マイナンバーとは 住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、 災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人 の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるもの。 ◎マイナンバーと奨学金 マイナンバー制度が導入されることにより 「所得連動返還型無利子奨学金制度」 からより柔軟な 「所得連動返還型奨学金制度」 が導入される。 ◎マイナンバーと奨学金 所得連動返還型無利子奨学金制度とは 無利子奨学金の貸与を受けた本人が、卒業後に一定の収入を得るまでの間 は願い出により返還期限を猶予することで、将来の返還の不安を軽減し、 安心して修学できるようにすることを目的とした制度。 所得連動返還型奨学金制度とは 奨学金の貸与を受けた本人が、卒業後の年収に応じて返還月額が変動する ことで、景気や年収の増減に応じて返還額が決定するため、低所得の者ほ ど負担が少なく、回収率を上げることができる制度。 ◎マイナンバーと奨学金 所得連動返還型奨学金制度の メリット 種別による不公平感がなくなる。 一定金額以下の所得であれば返還しなくてよくなるため、将来の返還への 不安が払拭される。 デメリット 利息負担が増える。 返還額がゼロとなる奨学生が多く発生し、奨学金事業全体の存続が危ぶま れる。 ◎マイナンバーと奨学金 所得連動返還型無利子奨学金制度と所得連動返還型奨学金制度の違い ◎私たちが考えるこれからの奨学金のあり方 ・貸与型の奨学金を無利子化 ・国で給付型の奨学金を実施 ・給付型奨学金の拡大
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